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2024年11月1日
本橋成一とロベール・ドアノー/東京都写真美術館
本橋成一とロベール・ドアノー、2名の写真家に焦点を当てた展覧会が東京都写真美術館にて開催中です。
本展では、生きた時代も地域も異なる2名の写真家が残した作品を通して、生きることの豊かさについて考えます。
本橋成一(もとはし せいいち)とロベール・ドアノーには親子ほどの年齢差があり、また生きた地域も東京とパリで異なります。
しかし両者とも、戦後の激動の時代を生き抜いたこと、人びとへ寄り添った「まなざし」は共通するものがあります。
ドアノーに憧れていたという本橋は、パリに渡ったこともあるそう。
飛行機の遅れによりドアノー本人に会うことは叶いませんでしたが、約束の場所にメッセージ入りの写真集が置かれていたのだとか。
一見意外に思われる2名の競演ですが、実はテーマが重なっていたりと共通点もあります。本橋とドアノーそれぞれの生み出した物語を、会場で是非ご覧ください。
ドアノーと聞くと、あの有名なキスの写真を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
《パリ市庁舎前のキス》は本展でも展示されていますが、ドアノーは懸命に生きる労働者や「サーカス」「市場」などをテーマに、市井の人びとを撮り続けました。
そしてこうしたテーマは本橋とも重なる部分があります。
ドアノーはパリ近郊のジャンティイの貧しい家庭に生まれ、10代のころから働きづめだったそうです。
写真家として有名になった後も郊外に住み続け、弱者や労働者を写しました。
一方で本橋は、書店の息子として生まれ、教育熱心な家庭に育ち、写真専門学校も卒業しています。
デビュー作は九州・筑豊に通い詰めて制作された『炭鉱〈ヤマ〉』シリーズで、炭鉱の風景、死と隣り合わせの日常を切り取っています。
また、本橋は国内だけでなく、チェルノブイリやウクライナなど原発事故の被災地を訪れ、その土地を離れず生きる人びとを写しました。
おいたちの異なる両者ですが、共通するテーマが多く、展示室ではテーマごとに2名の作品が並びます。
特にドアノーの炭鉱の作品は日本初公開となっていますので、お見逃しなく。
本展は展示室も見どころのひとつ。
ただ整然と並んでいるのではなく、壁一面に作品がズラリと並んでおり、一気に両者の世界観に引き込まれます。
ドキュメンタリー映画を見ているかのような展示室ですよ。
最終章では、ドアノー作品では数少ないカラー写真が登場。
パリの開発が進み、街の風景が一変したことが分かるようなシリーズです。
また、本橋作品は原点回帰とも言えるシリーズ「アラヤシキ(新屋敷)」を展示。
本シリーズは、長野県小谷村の真木集落にある真木共働学舎を舞台としたもので、そこでの人びとの暮らしを写しています。
また、本橋の最新作として《奈良美智のアトリエ》も展示されていますよ。
ドアノーと本橋、2名が写す人びとからは、力強さや豊かさが感じられます。
そしてそれは両者が人間に対して愛情と好奇心を持っているからなのです。
写真や映像は、相手に対する想いとイマジネーションだ。 ―― 本橋 成一
相手をこよなく愛してこそ、写真を撮ることが許されるのだ。 ―― ロベール・ドアノー