上野でメキシコ文化に触れてみよう。この夏おすすめの2展を紹介【東京都美術館・東京国立博物館】

2023年8月1日

上野でメキシコ文化に触れてみよう。この夏おすすめの2展を紹介/東京都美術館・東京国立博物館

2023年夏は東京都美術館の地下空間で、ちょっぴり怖くて、どこか懐かしい世界を体感してみませんか?

同館では現在、うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展が、2023年10月9日まで開催中です。

荒木珠奈展公式サイト:https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/

へんてこなかわいらしさとゾクッとする感覚が混ざり合った魅力的な世界観を作り出す荒木珠奈。

本展では、詩情豊かな版画や立体作品など、初期から最新作までの90点以上を紹介。

さらに、メキシコの先住民やさまざまな国のルーツを持つ子どもたちと共同制作した作品も展示し、幅広い表現活動を続けてきた荒木珠奈の魅力に迫ります。

荒木が創り出した日常と非日常の境界を行き来するような、不思議な旅が味わえる展示空間を、元気いっぱいな3兄弟と一緒にレポート。

大人はもちろん、子どもも一緒に楽しめる、この夏おすすめの企画展「うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」の魅力をたっぷりとご紹介します♪

色とりどりのあかりを灯す。
メキシコシティの情景を模した参加型展示

《Caos poetico(詩的な混沌)》は、メキシコとの出会いから生まれた作品です。今回、いくつか体験できる作品がありますが、この作品も体験型展示のひとつ。

本作は、電柱から無断で電線を引き、家や屋台の灯りに使っていたメキシコの人びとのたくましい暮らしに、インスピレーションを受けた作品です。

カラフルな電球がついた箱がたくさん吊るされています。箱の一つひとつが一軒ずつの家をイメージしたものです。

作品のそばにいる、展覧会ファシリテータ「ケエジンさん」のところで箱を選び、実際につけてみましょう。

鍵を開けてのぞいてみよう。
親子で楽しめる体験型展示

白いベニヤ板で作られた箱が、たくさん並ぶこちらの展示室。

薄暗い室内の中で、箱の中に灯るオレンジ色の光がぼんやり浮かんで幻想的な雰囲気が漂います。

《うち》というこの作品は、団地から着想を得たもので、一つひとつの部屋には番号と鍵がついています。

部屋番号と同じ番号の鍵をつかって、鑑賞者が部屋の扉を開いていくという体験型展示です。

部屋番号はランダムに配置されているので、鍵と同じ番号の部屋を探すのはちょっぴり大変。

そんなのも、宝さがしみたいでワクワクしますよね。そして、扉を開けると、そこに見えるものは・・・。

「あっちかな」「こっちかな」と参加者同士でおしゃべりしながら、展覧会を楽しめますよ。

みんなで仲良く絵本を読んでみよう

蝶の羽の形をした作品《むかし、むかし…》では、テントの中に座って、絵本を読むこともできます。

このテントについて荒木は、「子どもたちが安心して本を読んでいられるような、“避難所”のような意味を込めている」と語っています。

展示を観て、ぞくっとしたり、少し怖くなってしまった子も、この部屋で絵本を読んだり、すぐ隣のアニメーション作品《迷惑なコヨーテ》を観たりして、心を落ち着かせることができますよ。

 

いざ、上野の地下へ。
大型インスタレーションを体感

最後の大きな地下空間に入ってみると・・・ひときわ目をひく鳥かごのようなオブジェが。

こちらの《記憶のそこ》は、荒木が本展のために制作した新作です。

作品の中に入ることも可能(小学生以下は、保護者同伴)。あわてずゆっくり入ってくださいね。

この展覧会は、全作品写真撮影OKなので、このような光と影が織りなす幻想的な写真も撮ることもできますよ。

東博で「古代メキシコ」の文化に触れる

東京国立博物館では現在、特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」が、9月3日まで開催中です。

特別展「古代メキシコ」公式サイト:https://mexico2023.exhibit.jp/

35もの世界遺産があるメキシコ。

本展では、メキシコの代表的な3つの文明であるマヤ、アステカ、テオティワカンに焦点を当てて紹介します。

中でも注目の展示は、日本初公開となる「赤の女王(レイナ・ロハ)」です。

赤の女王の墓の出土品 マヤ文明、7世紀後半 パレンケ、13号神殿出土 アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館蔵

「赤の女王」のマスクは、マヤ文明の代表的な国家であるパレンケで出土されました。

ちなみに「赤の女王」と呼ばれる理由は、遺体が深紅の辰砂(しんしゃ/顔料や防腐剤、水銀の原料のこと)に覆われて発見されたからとのこと。

じっと観ていると、吸い込まれそうな目ヂカラを持っています。ぜひ、会場でじっくりと堪能してみてくださいね。

《死のディスク石彫》テオティワカン文明、300~550年 テオティワカン、太陽のピラミッド、太陽の広場出土
メキシコ国立人類学博物館蔵

また本展は、会場内の全作品の撮影が可能です(フラッシュ・三脚使用不可。その他の撮影ルールは、館の指示に従ってください)。

東京都美術館と東京国立博物館は、徒歩約10分と近い距離にあります。

ぜひ、荒木珠奈展と一緒に、特別展「古代メキシコ」にも足を伸ばしてみてくださいね。

幅広い表現活動を続けてきた荒木珠奈の初めての回顧展となる、「うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」

この夏は、上野の地下空間で不思議な旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Exhibition Information

うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展
会場:ギャラリー A・ B・ C
会期:2023年7月22日~10月9日
公式サイト:https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/

特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」
会場:東京国立博物館 平成館
会期:2023年6月16日~9月3日
公式サイト:https://mexico2023.exhibit.jp/