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2024年11月1日
楽しい隠遁生活 ― 文人たちのマインドフルネス/泉屋博古館東京
泉屋博古館東京にて、中国・日本の文人たちが憧れた「隠遁」を紹介する展覧会が開催中です。
楽しい隠遁生活 文人たちのマインドフルネス 展示風景より
本展では、文人たちの“理想の隠遁空間”を表現した絵画作品や、細緻な文房具などを展示。
忙しない時代を生きる私たちにとって、シンプルに暮らしを楽しむヒントが得られる展覧会となっています。
「隠遁(いんとん)」とは何でしょうか?辞書を引いて見ると、「世間から離れて暮らすこと」「山中などで仏教の修行に励むこと」など。
つまり根底にあるのは、「脱俗」の考えということです。
贅沢や名誉などの欲望から、また政治などから逃れ、自然の中に身を任せて生活することが隠遁の理想と言えます。
かつて隠遁者と呼ばれた人びとは知識階級に属しながらも、政治の世界に干渉することなく、世間から逃れた高潔に生きました。
古代中国の有名な隠者であった許由(きょゆう)や三国時代末の竹林の七賢などは、絵画工芸のテーマとしてもよく取り上げられています。
もうひとり、中国禅宗の始祖である達磨(だるま)も隠遁者のひとりです。
王震《達磨像》中国・民国時代 泉屋博古館
達磨は仏教を庇護する武帝と問答を交わしましたが理解されず、孤独な隠遁に入ったといいます。
するどいまなざしや、髭がボサボサと生えたようすで描かれるのも達磨の特徴です。
日本だと誰が隠遁者でしょうか。
それは例えば平安・鎌倉時代の西行や鴨長明、さらには芭蕉など、俗世から離れた暮らしを求めた人たちが挙げられます。
ひとくちに隠遁と言っても、その理想は十人十色。
ある人は厳しい現実から逃避するために積極な隠遁をめざす「過激な」隠遁をしていたり、
田舎暮らしのスローライフを求める「楽しい」隠遁をしていたり。
展示室に並ぶ隠遁生活をのぞいてみると、実に多種多様であることが分かりますよ。
特集展示「住友コレクションの近代彫刻」では、住友に伝わった彫刻群を展示しています。
山崎朝雲《竹林の山濤》大正元年(1912) 泉屋博古館東京
この中にも竹林の七賢のひとりである山濤の木彫像がありますので、お見逃しなく。
現代を生きる忙しない私たちでも、隠遁したくなる時がありませんか?
それは例えば誰にも邪魔されずに家でゆったりすることだったり、星空を見ながら友人とおしゃべりすることだったり。
かつての隠遁者たちもそれぞれの理想があり、その生活は私たちに「生きるヒント」をくれるのではないでしょうか。
泉屋博古館東京が位置するアークヒルズ付近だと、建物を出て右、アークヒルズ仙石山もりタワー前の仙石山プラザに竹林があるそうです。
これから秋の気候になってくるので、鑑賞後にプチ隠遁気分を味わってみるのも良さそうです。