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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
今回のアートな街歩きは、アート溢れる六本木から神谷町を目指します。
マティスの切り紙作品にスポットを当てた展示、本能寺の変後に「逃げた男」と呼ばれた織田有楽斎の展覧会、現代陶芸の公募展、日本最古の私立美術館、そして去年開業した麻布台ヒルズにてオラファー・エリアソンの現代アート作品を観賞するで約50分(ルートのみ)のコースです。
千代田線「乃木坂駅」直結の国立新美術館。
2007年に開館した国立新美術館は、大阪の国立国際美術館以来30年ぶりに新設された国立美術館の施設で、黒川紀章の最後の設計としても知られています。地下1階、地上4階建てのこの施設は、延床面積約4万9千平方メートルで日本最大級の規模を誇り、それまで最大だった大塚国際美術館を約1.5倍上回ります。
所蔵コレクションを持たず、さまざまな展覧会や教育普及活動を展開するユニークな美術館です。
リヨンと同じ料理を同じスタイルでご提供するフランス料理「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」、軽食やドリンクを楽しめる「サロン・ド・テ ロンド」などの食事施設もあり、芸術鑑賞後のリラックスタイムを過ごすことができます。
黒川紀章設計で日本最大級の広さを誇る国立新美術館の外観
現在開催されている「マティス 自由なフォルム」は、20世紀を代表する芸術家、アンリ・マティスが生み出した革新的な技法「切り紙絵」にスポットを当てています。
本展では、ニース市マティス美術館に保管されている豊富なコレクションを基に、マティスの経歴を通じて制作された絵画、彫刻、版画など、約150点のアート作品が紹介されています。
見どころを2つ。まず、ニース市マティス美術館のメインホールを飾る、4メートル×8メートルの壮大な切り紙作品『花と果実』が、修復後、日本で初めて公開されます。
修復後日本公開の4メートル×8メートルの壮大な切り紙作品『花と果実』
もうひとつは、マティスの人生の仕事の集大成とも言える、ニースから約20km離れたヴァンスにある『ロザリオ礼拝堂』です。本展では、原寸大のレプリカを通して、ステンドグラスから差し込む鮮やかな光を含め、一日の光の変化を約3分間で体験できます。
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展覧会名:マティス 自由なフォルム
開催期間:2024年2月14日~5月27日
会場:国立新美術館
公式サイト:https://matisse2024.jp/
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東京ミッドタウンの3階にあるサントリー美術館。
1961年にサントリー社長・佐治敬三によって東京・丸の内で開館され、1975年に赤坂へ移転を経て、2007年には隈研吾の設計のもと、現在地の東京ミッドタウン内にリニューアルオープンします。「和のモダン」をテーマにしたリニューアルでは、外観に白磁のルーバーを採用し、内装には木と和紙を使用して自然の温もりと柔らかな光を表現しています。
日本の古美術を中心に絵画、漆工、陶磁、染織などの所蔵品、エミール・ガレや江戸切子、薩摩切子といった東西のガラス工芸品が代表的なコレクションです。また、ウイスキー樽材を床材に再利用するところは、ウイスキー製造100年の歴史を持つサントリーらしいです。
東京ミッドタウン3階にあるサントリー美術館のエントランス
現在開催中の「大名茶人 織田有楽斎」展は、織田信長の弟であり武将から茶人へと転身した有楽斎(織田長益)に焦点を当てています。
京都の建仁寺塔頭「正伝院」を再興し、利休七哲の一人としても知られる彼の人生は、本能寺の変での逃走、信雄や秀吉への仕官、関ヶ原の戦いでの東軍参加など、波乱に富んでいます。
本展では、「逃げた男」とのレッテルの原因となった書物、古田織部、細川三斎、伊達政宗といった人物との交流を示す書状、正伝院の再興や国宝「如庵」の3D再現といった有楽斎の業績と生涯を深く掘り下げています。
チケットを提示して、さあ入場しましょう。
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展覧会名:四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎
開催期間:2024年1月31日~3月24日
会場:サントリー美術館
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_1/
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ホテルオークラに隣接する大倉集古館。
ホテルオークラを創立させた大倉喜七郎(1882~1963)の父、大倉喜八郎(1837~1928)は、明治維新以降の日本で産業振興と貿易発展に貢献します。
そのかたわら、文化財の海外流出に危機感を持ち、日本文化の保護と向上に尽力し、1902年に自宅で日本最古の私立美術館となる「大倉美術館」を、1917年には、収集した文化財と共に日本初の財団法人私立美術館である「大倉集古館」を設立しました。
関東大震災後、「大倉集古館」の再設計を日本近代建築の重鎮、伊東忠太に委ね、1928年に新展示館が再開館し、その後1962年には大規模な改修を施しました。1990年と1997年には、それぞれ東京都の歴史的建造物と国の登録有形文化財に指定され、2014年から5年半の改修工事を経て、2019年にリニューアルオープン。喜七郎は父喜八郎の遺志を継ぎ、自ら収集した近代絵画を含む名品を寄付し、館蔵品を充実させました。
ホテルオークラに隣接し、日本最古の私立美術館でもある「大倉集古館」
令和6年春を迎えるにあたり、干支、吉祥、花鳥風月をテーマにした絵画展が開催されています。
本展では、末広がりを象徴する扇面の作品、特に大倉集古館に収蔵された宗達派の《扇面流図屏風》。また、今年の干支である辰(龍)にちなんだ作品や、大倉集古館ならではの中国伝統衣装、珍しい古代硯なども展示します。
春の訪れを告げる美しい景物を描いた横山大観の《夜桜》を含む、墨の諧調や彩り豊かな作品を通して、新春を祝い、春の到来が楽しみになる展覧会です。
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展覧会名:大倉集古館の春 ~新春を寿ぎ、春を待つ~
開催期間:2024年1月23日~3月24日
会場:大倉集古館
公式サイト:https://www.shukokan.org/exhibition/
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菊池寛実記念 智美術館は、2003年に虎ノ門の静かな高台に開館した、現代陶芸専門の美術館。現代陶芸コレクターである菊池智(1923〜2016)の私的コレクションを基に設立されました。
この地は、菊池の父で実業家の菊池寛実(1885〜1967)が晩年を過ごした場所であり、美術館の名前も彼の遺した影響を讃えて名付けられました。
菊池寛実記念 智美術館では、現代陶芸の優れた作品を紹介する展覧会を多数開催し、陶芸に限らず現代工芸全般の情報発信基地としての役割を果たしています。
虎ノ門の静かな高台にある現代陶芸専門の「菊池寛実記念 智美術館」
ガラスアーティスト横山尚人によって作られた螺旋階段の手すりが地下へと続きます。この階段の壁面には、銀色の和紙を用いた篠田桃紅のコラージュ作品が飾られており、これらの作品の調和は美術館の空間に美しい雰囲気をもたらしています。
展示室のデザインはアメリカのデザイナー、リチャード・モリナロリが手掛けており、現代の陶芸作品をじっくりと鑑賞するための配慮が随所に施されています。
隔年で開催されている「菊池ビエンナーレ」の入賞・入選作品の展示風景
「菊池ビエンナーレ」は2004年より隔年で開催されている現代陶芸の公募展で、今年で10回目を迎えます。
本展は、年齢や作品の内容にこだわらず、現代陶芸作品の応募を受け付けてきました。全359件の応募作品から選ばれた53件の入賞・入選作品が展示されており、現代陶芸家たちの創造性と技術の高さを示す、幅広い魅力を紹介しています。
展示されている53件の作品は、それぞれ異なる表現を見せており、訪れる人びとに自分の感性に合う作品を見つける楽しさを提供しています。
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展覧会名:第10回 菊池ビエンナーレ 現代陶芸の今
開催期間:2023年12月16日~2024年3月17日
会場:菊池寛実記念 智美術館
公式サイト:https://biennale.musee-tomo.or.jp/
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麻布台ヒルズはイギリスのヘザウィック・スタジオのデザインによる目を引く建造物群で、大屋根「The Cloud」や「Net Fram」を特徴とする麻布台ヒルズアリーナ、ガーデンプラザが特に有名です。このエリアは「街全体がミュージアム」というコンセプトのもと、アートと文化が一体化した空間を提供しています。
最近は、2月9日にオープンした「エプソン チームラボボーダレス」や奈良美智、曽根裕によるパブリックアートなど、訪れる人びとに新しい文化体験をもたらしています。
外観が特徴的な低層部の建物はイギリスのヘザウィック・スタジオのデザイン
麻布台ヒルズの開業に合わせて開館した麻布台ヒルズギャラリーでは、アイスランド系デンマーク人の現代芸術家のオラファー・エリアソンの展覧会が開かれています。
彼のコンセプトは、普段の生活と世界とどうつながっているかを考えさせる作品です。彼のアートは、私たちがどう感じるか、自然にどう関わっているかにインスピレーションを得ていて、色や光、動きを使って、人間と自然の間の難しい関係や、未来を良くするために私たちがどう行動すべきかを問いかけます。
今回は、振り子を利用して幾何学模様を描くドローイングマシン(予約事前必要)や、暗い部屋で水滴が落ちる瞬間をストロボライトで照らし出すインスタレーションなど、興味深い作品がいくつか展示されています。
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展覧会名:麻布台ヒルズギャラリー開館記念 オラファー・エリアソン展:相互に繫がりあう瞬間が協和する周期
開催期間:2023年11月24日~2024年03月31日
会場:麻布台ヒルズギャラリー
公式サイト:https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/olafureliasson-ex/
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六本木は、上野に次いでアートの街としての地位を築きつつあります。
六本木から六本木一丁目、神谷町、そして虎ノ門ヒルズにかけて、新しいアートスペースが次々と開設されています。そのため、単に散策するだけでもさまざまなアート作品に触れることができるでしょう。
春に向けての散歩コースとしても最適だと思います。
▼麻布台ヒルズ「チームラボボーダレス」取材レポート
▼サントリー美術館「大名茶人 織田有楽斎/サントリー美術館」読者レビュー