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2024年11月1日
特別展「Colorful JAPAN ―幕末 ・ 明治手彩色写真への旅」/神戸市立博物館
神戸市立博物館にて、特別展「Colorful JAPAN ―幕末 ・ 明治手彩色写真への旅」が、5月19日まで開催中です。
「手彩色写真」という言葉を聞いたことがないという方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
手彩色写真とは、白黒写真に絵の具で色をつけた写真のことです。
幕末から明治にかけて、それまで鎖国で外国との交流がほとんどなかった日本に、多くの外国人が訪れるようになります。
手彩色写真は、そんな外国人向けの手土産として販売されていました。
今回の展覧会では、当時の手彩色写真と関連資料150点を公開。こんな大規模な手彩色写真の展覧会はとても珍しいそうです。
その珍しい展覧会に、早速行って来ました。
「衣装を着た男性」明治時代 ピエール・セルネ氏蔵(通期展示)
左が白黒写真、右が手彩色写真です。
このように白黒の写真に絵の具で色をつけた写真のことを「手彩色写真」と言うのですが、これらは重厚な表紙のアルバムに収められ、非常に高く売られていたそうです。
当時の小学校教師の初任給よりも高かったというのですから、なかなか、手が出せない値段だったということがよくわかりますね。
これらの写真は、もっぱら外国人をターゲットとして販売していました。
そのため、手彩色写真は外国人がお土産にしたくなるよう、日本文化を全面に押し出した写真が多かったようです。
116「WRITING LETTER」日下部金兵衛 明治時代中期 ピエール・セルネ氏蔵(通期展示)
今回の展覧会では、手彩色写真の制作道具も合わせて展示されています。
まず、目を引くのは幕末から活躍した日本人写真家の上野彦馬のカメラです。
「上野彦馬写真機」明治時代初期 長崎歴史文化博物館(通期展示)
スマホや、デジカメなどでの撮影に慣れた現代の私たちから見ると、非常にどっしりして重厚感があるカメラでビックリしますね。
上野彦馬自身が、本展で展示されているような手彩色写真を制作することはなかったのだそう。
しかし、彼が撮影した写真が別の写真館で彩色され、販売されていたようです。
それから、写真着彩用の水彩絵の具です。
「写真着彩用水彩絵の具」 製造者名オー・サカ 近代 横浜市民ギャラリーあざみ野(通期展示)
写真を着色する時はまず、水分をふくませた綿で写真の表面をよく湿らせます。
それから、小さじ1杯ほどの水に絵の具を1滴加えてよく溶かし、それを着色したい箇所に置きます。
十分に色がついたら、余分な個所をふき取ったら着色できるんだそうです。
「手彩色用器具」という折りたたみ式の木製台もありました。
折りたたまれたところを見ると、ただの四角い箱のように見えますが、広がったところはとても不思議な形になるんです。
「手彩色用器具(修正台)」明治15年~20年 東京都江戸東京博物館(通期展示)
上のガラスの部分に写真を置き、下の鏡の部分に光を当てます。
そうすると、台がライトテーブルのような役割を果たして、写真に色を付けたり、修正したりする細かい作業がやりやすくなるのだそうです。
こういった作業は、絵付師が行っていました。
「ベアトの主任絵付師」 フェリーチェ・ベアト 江戸時代~明治時代初期(通期展示)
東京工芸大学中野図書館
2069「CHERRY BLOSSOMS AND JINRIKISHAS」 日下部金兵衛 明治時代中期~後期 東京都写真美術館(通期展示)
人力車に乗る4人の女性を撮影した、こちらの写真。会場で実際にこの写真を見ると、そのナチュラルな色の美しさに驚きます。
スマホなどで桜を撮影する時、その微妙な美しさを表すのが難しいと思ったりしませんか?
この手彩色写真の桜は、現代のカラー写真よりももっと落ち着いていて、もっと自然色に近く、桜のはかない美しさがそのまま表れています。
そのために余計、明治時代の世界がそのまま、そこに現れたかのような不思議な感覚を覚えました。
「太夫」明治時代 ピエール・セルネ氏蔵(通期展示)
「太夫」は、実際に見るとナチュラルで優しい色彩が施されており、女性の美しさがグッと目をひきます。
手彩色写真には、現代のカラー写真のような鮮やかさはありません。
けれども、もっと自然な明治時代の風景が、そのまま現れ出たような優しい風合いを楽しめます。
展示会場を出ると、記念撮影が出来るフォトスポットも用意されています(展示室内は撮影禁止)。
また展覧会図録も、販売しています。図録では前後期の展示作品を掲載。
会場では見ることのできなかった手彩色写真も、合わせて見ることが出来ます。家でもう一度楽しめる図録もぜひ、購入してみては?
急激に外国との交流が始まった幕末から明治という時代に思いをはせつつ、楽しんでみて下さい。