三島喜美代―未来への記憶/練馬区立美術館

現代美術家・三島喜美代の創作の全貌を紹介【練馬区立美術館】

2024年5月29日
三島喜美代―未来への記憶/練馬区立美術館

《球 Copy-78-A5》1978年 陶・転写 個人蔵

練馬区立美術館にて、現代美術家の三島喜美代(1932-)の個展「三島喜美代―未来への記憶」が、2024年7月7日まで開催中です。

本展では、三島喜美代の70年にわたる創作の軌跡を主要作品を通して紹介。
東京の美術館では、初めての個展となります。

また、三島の代表作にして最大規模のインスタレーション作品《20世紀の記憶》を、練馬区立美術館の展示室一室を使ってフルスケールで展示!

そんな見どころたっぷりな展覧会「三島喜美代―未来への記憶」を紹介していきます。

東京の美術館では初個展
三島喜美代の創作の全貌を紹介

(手前)《マスカット》1951年 油彩、カンヴァス 個人蔵

1932年の大阪に生まれた三島喜美代。
高等女学校(現在の中学校)の担任が画家であったことから、絵を描くことに興味を覚え、油彩を始めたといいます。

陶で作られた「割れる印刷物」という立体作品の印象が強いため、あまり知られていませんが、三島は絵画を出発点に現代美術家としての活動をスタートさせました。

本展では、1950年代から1970年頃に描かれた初期の絵画作品を展示。
三島の創作活動のスタート地点を、ていねいに紹介します。

(前)《作品 65-Ⅲ》1965年 個人蔵 (右奥)《Untitled》1970-71年 個人蔵

「割れる印刷物」!?
不思議な立体作品を間近で見てみよう

《Comic Book ’80》1980年 陶、転写、彩色 滋賀県立陶芸の森 陶芸館

1970年頃から、三島喜美代の代名詞となる「割れる印刷物」の制作が始まります。

土を紙のように薄く伸ばし、シルクスクリーンや手書きによって陶土の表面に新聞やチラシの文字を転写し焼成する。

この技法によって生み出された三島の立体作品「割れる印刷物」は、半世紀にわたり独自の表現として展開されています。

《Work 21-C2》2021年 陶、転写、彩色、鉄 個人蔵

間近で観ても、陶器ではなく本物の空き缶にしか見えない本作。

「さわれる」コーナーにあった陶でできた空き缶を触ってみました。

ずっしりとした陶器の重みを感じるのに、見た目は軽い空き缶。脳がバグる感覚があります。

代表作《20世紀の記憶》をフルスケールで体感

本展の目玉展示となる巨大インスタレーション作品《20世紀の記憶》。

2階の展示室3の空間すべてを使い、フルスケールで展示されています。

《20世紀の記憶》(部分)1984-2013年 耐火レンガに転写 個人蔵

《20世紀の記憶》は、三島の代表作にして最大規模のインスタレーション作品です。

本作は1984年に制作が開始され、制作過程での部分的展示を経て、2014年にART FACTORY城南島において完成作が披露されました。

以降、同地で常設展示されていた本作。今回は城南島を初めて離れ、練馬区立美術館でフルスケールで展示されます。

この貴重な機会をお見逃しなく。

《20世紀の記憶》(部分)1984-2013年 耐火レンガに印刷 個人蔵

現代美術家・三島喜美代の東京の美術館では初の大規模個展となる「三島喜美代―未来への記憶」。

会場の練馬区立美術館は、西武池袋線「中村橋駅」から徒歩3分と、駅から近い美術館です。

国内外で注目を集める三島喜美代の作品を観に、ふらりと訪ねてみては?

晴れたら気持ちのいい、練馬区立美術館に隣接する緑地「練馬区立美術の森緑地」でゆったり過ごすのもおすすめです

Exhibition Information