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2024年11月1日
岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師/千葉市美術館
千葉市美術館にて、企画展「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師—摘水軒コレクションを中心に」が8月25日(日)まで開催されています。
岡本秋暉(おかもとしゅうき)は、江戸時代後期に活躍した絵師。華麗で細密な花鳥図、なかでも孔雀を描いた作品で知られています。
本展では、摘水軒記念文化振興財団の所蔵品を中心に、初期から晩年までの約100件の作品で、秋暉の画業とその生涯をたどります。
江戸時代、 柏村 (現千葉県柏市) の名主で、 「摘翠軒(てきすいけん)」と称された寺嶋家は、文化サロンのような役割を担っていました。
秋暉は40歳ごろ寺嶋家を訪れて、そこで小襖や屏風を描いたと伝えられています。
そうした縁から、寺嶋家をルーツとする摘水軒記念文化振興財団では秋暉の作品を積極的に収集し、いまでは世界一の秋暉コレクションを所蔵しています。
企画展「江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展」のレポートはこちら▼
彫金家の次男として生まれ、幼いころから画を好んだ秋暉。小田原藩士として江戸中屋敷で見回り役を勤めるかたわら、絵も描いていました。
小田原城の藩主御殿の玄関を飾ったと伝わる《孔雀図》《梅図》や、江戸の小田原藩邸の玄関を飾ったという《花車図》は、藩のために描いた作品。
農村復興の指導者として有名な二宮尊徳の肖像画など、藩にゆかりのある作品も紹介されています。
江戸時代中期以降、めでたい画題として孔雀が多く描かれるようになるなか、秋暉は孔雀の名手として人気を博しました。
会場の一角では、画業がピークを迎える40代の作品を中心に、孔雀図がまとめて紹介されています。
秋暉による孔雀図は、金泥や群青・緑青といった高価な画材を用いた豪華な仕上げが特徴。
孔雀のポーズや画面の大きさ、構図、孔雀の背景にはさまざまなバリエーションがあり、繰り返し依頼された人気の題材であったことがうかがえます。
47歳の頃に描いた《孔雀図》は、その中でも最上ランクといえる作品。細かな部分まで入念に仕上げられた円熟期の傑作です。
会場では孔雀だけでなく、鶏や鷹といったさまざまな鳥を描いた作品も多く紹介されています。
秋暉は、同時代に活躍した渡辺崋山や椿椿山(つばき ちんざん)といった画家たちと交流し、彼らから影響を受けました。
会場では、崋山、椿山の作品や、秋暉が崋山の弟子・福田半香(ふくだはんこう)とともに描いた大作 《松に飛鶴図》も展示されています。
40代後半頃から、秋暉の作風はわずかに変化していきます。
情趣豊かに月ごとの花鳥を描いた《十二ヶ月花鳥図》は、これまであまり手がけていない、やまと絵系の画題の作品です。
《百花一瓶図》は、大きな花瓶にさまざまな花々が咲き競う華麗な一図。
「秋葵」 という別名があるトロロアオイも描かれていますが 、これは音読みすると 「シュウキ」 。ほかの絵師との合作でも自分のモチーフとしてトロロアオイを描いている作品があるそうです。
晩年期の多彩な作品は、彼が最後まで意欲的に新たな表現を模索し続けたことを伝えてくれます。
本展は、18年ぶりに開催される秋暉の回顧展です。
この機会に、彼が生涯を通じて追求し描き続けた、色鮮やかで華麗な花鳥画の世界をご覧ください。
※所蔵について記載のない作品は、すべて摘水軒記念文化振興財団蔵
※展示期間の記載がない作品は通期展示
同時開催の「江戸絵画縦横無尽! 摘水軒コレクション名品展」もお見逃しなく▼
前期:6月28日~7月28日
後期:7月30日~8月25日