オランダを代表するアーティスト ウェンデリン・ファン・オルデンボルフの新作展覧会【山口情報芸術センター[YCAM]】

2024年10月5日

山口情報芸術センター[YCAM]で、オランダの現代美術を代表するアーティストの一人、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフの新作を発表する展覧会「Dance Floor as Study Room ̶ したたかにたゆたう」が開催されます。

メディア史におけるジェンダーを紐解く


Credit: Jakub Danilewizc
courtesy of Artist,

オランダの現代美術を代表するアーティストの一人ウェンデリン・ファン・オルデンボルフの新作を発表する展覧会です。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフはこれまで映像作品やインスタレーションを通じて、人種差別、ジェンダー問題、歴史、植民地主義などの支配的言説や権力構造に対峙する作品を発表してきました。


ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《彼女たちの》(2022年)
courtesy of Artist, MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO.

特に近年は、日本とオランダ、そしてインドネシアにゆかりのある女性アーティストのリサーチを進めており、その中には山口ともゆかりの深い、女優で映画監督の田中絹代(1909-1977年)や、作家の林芙美子(1903-1951年)が含まれます。

本展では、こうしたアーティストたちに焦点をあて制作した脚本による新作とこれまでに制作された作品のほか、多様な文化や社会を表す装置として、会場をダンスフロアに見立てたインスタレーションを展開します。

ダンスフロアとスタディルームをキーワードに展開する、多彩なプログラム


ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《指示》(2009年)
courtesy of Artist,

本展の邦題「したたかにたゆたう」は、他者からの圧力に対し、暴力を用いずに立ち向かう術を探り、何ものにも分類されない意思に根差した自由な状態を表しています。

展覧会会場では、人種差別やジェンダー問題、歴史、植民地主義といった支配的な言説や権力構造をもつテーマに映像を通して対峙した新作を含む、4つの作品を公開します。

本展で公開となる新作は、1930年代から50年代にかけて日本、オランダ、インドネシアで活躍した田中絹代、林芙美子、ベブ・ファイク(1905-1991年)、ラトナ・アスマラ(1913-1968年)、スワルシ・ドジョジョプスピト( 1912-1977年)といった女性たちにインスピレーションを受け、制作されました。

彼女たちが生きた時代のインドネシアは、オランダと日本の植民地支配下にあり、政治や生活環境が大きく変化した時代でもありました。

作品は、抑圧的な体制下での個人の闘争に焦点をあてることで、女性たちのもつ共通点や今日まで連なる人種差別やジェンダー問題といった課題の根本を問いかけます。

また、会場には展覧会テーマにちなんでクィア文化に触発された「ダンスフロア」を取り入れた展示構造を制作し、展覧会テーマを体現したインスタレーションを展開します。

このほかにも会期中はYCAMがこれまでに培ってきたワークショップ開発のノウハウを駆使し、他分野の識者、研究者、アーティストなどを招きおこなうトークイベントや対話型観賞イベント、読書会など展覧会の鑑賞体験を深めるための多彩な関連イベントを開催します。

展覧会タイトルにもある、「ダンスフロア」と「スタディルーム」をキーワードに心身を通じて観察し、体験することで展覧会テーマが体現できるプログラム構成となっています。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ
Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう

会期:2024年11月30日(土)~2025年3月15日(土)
開館時間:10:00~19:00
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日(日)~1月3日(金)、2月26日(水)~ 3月6日(木)
料金:入場無料
https://www.ycam.jp/events/2024/dance-floor-as-study-room/