【特別展】江戸三作と門弟たち/名古屋刀剣ワールド

新々刀の祖・水心子正秀と「江戸三作」が魅せる日本の知の結晶 【名古屋刀剣ワールド】

2025年12月3日

新々刀の祖・水心子正秀と「江戸三作」が魅せる日本の知の結晶 【名古屋刀剣ワールド】

2025年11月1日(土)から、名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」にて、特別展「江戸三作と門弟たち」が開催中です。

2025年は、「新々刀」と呼ばれる新しい日本刀のかたちを作り上げた名刀工・水心子正秀の没後200年という区切りの年。

正秀とその弟子たちの技と美意識の真髄を観て、幕末に思いを馳せてみませんか?

刀剣界の革命児「江戸三作」とは


(《刀 銘 水心子正秀 天明五年二月日彫同作》1785年)

本展を最大限に楽しむために、まず今回の特別展の名前になっている「江戸三作」とは何かを知っておきましょう。

「江戸三作」とは、江戸に拠点を構えた経歴のある名刀工3人のこと。

具体的には、江戸時代後期に作られた「新々刀」の祖とも呼ばれる水心子正秀(すいしんしまさひで)と、その弟子大慶直胤(たいけいなおたね)、そして幕末随一の人気刀工・源清麿(みなもときよまろ)を指しています。

水心子正秀は、平和が長く続いたために衰えてしまった日本刀の振興を目指し、昔ながらの鍛刀法に立ち返るべきと主張。正秀の主張である「復古刀論」は江戸に広まり、やがて「新々刀」と呼ばれる新しい日本刀を作り上げました。

没後200年!新々刀の祖・水心子正秀

今回の特別展「江戸三作と門弟たち」では、水心子正秀をはじめとした江戸三作とその弟子の生み出した日本刀が一堂に展示されています。


(《刀 銘 水心子正秀 天明五年二月日彫同作》1785年)

正秀が刀工として活動を始めた初期のころの作品です。荒波のような刃文(刃と地鉄部分のあいだの模様のこと)は、現代でいう大阪を中心に発展した「大坂新刀」に倣っています。

刀に詳しくない筆者が素人目に見ても格好いいと感じたのが、こちらの刀身彫刻。

倶利伽羅龍(くりからりゅう)を模した彫刻は、正秀本人が優秀な彫師を模して自ら彫を入れたと考えられています。

願いを成就させる不動明王の化身が、願掛けの意を込めて彫られているのです。


(《刀 銘 一竿子粟田口忠綱 彫同作》)

すぐ近くに、正秀が参考にしたと思われる大坂新刀を代表する刀工の作品も展示されています。先ほどの正秀の刀と見比べると、鱗や顔の描写が違うことがわかります。

努力の天才・大慶直胤と幕末随一の人気刀工・源清麿

水心子正秀の復古刀論に共感した弟子の中でも、探求心が強かったと言われる大慶直胤。彼は刀の道を究めるために全国各地を旅したと言われています。


(《脇差 銘 直胤(花押)天保六年八月》1835年)

こちらの刀は、俱利伽羅龍の透かし彫りが最大の見どころ。刀に彫りを入れることは軽量化目的から始まり、やがて緻密な芸術に発展。図柄の周りを建物の欄間のように彫り透かし、細かく描写した龍の姿はデザイン性も抜群です。

江戸三作と呼ばれる刀工の中でもひときわ異彩を放つのが、三人の中でもっとも若く、短い一生を駆け抜けた源清麿。

彼の刀剣のルーツは鎌倉時代に広まった作刀法にもとづいており、刀としての性能と覇気あふれるデザインを両立した刀は幕末期でも随一の人気を誇りました。


(《脇差 銘 源清麿 嘉永二年二月日》1849年)

清麿の実力が発揮されたこちらの脇差は、三河国西端藩(現在の愛知県碧南市)の藩主・本田忠寛が所用していたとされる名作。

脇差ながら薙刀を模した大きな切先(きっさき。刀身の先端部分のこと)を持っているのが特徴で、これは「薙刀直し」と呼ばれる薙刀を脇差に改造した刀をイメージしています。

刀身と同じ方向に筋が流れるような刃文が勇ましく、まるで刃からオーラでも出ているかのようです。

刀身彫刻や刃文の違いをよりじっくりと楽しみたい方は、単眼鏡の使用もおすすめです。単眼鏡は持っていないという方向けに、名古屋刀剣ワールドの受付でレンタルも行っているそうですよ。(1台100円)

幕末ロマンを刀剣を通じて感じよう

名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」特別展「江戸三作と門弟たち」では、特別展のためだけに作られた限定グッズが数多く販売されています。

広報の方によると、展覧会のキービジュアルでもある江戸三作による3振りの刀剣をイラスト化したトートバッグや、御朱印ならぬ刀朱印などが人気なのだとか。

出口前には江戸三作が手掛けた刀の茎を模したアクリルキーホルダーも限定販売中。刀身ではなくあえての茎デザイン。絶対に他にはないものを作るというスタッフのこだわりを感じます。


(「名古屋刀剣ワールド」常設フロア)

また、今回は特別展を中心に紹介しましたが、名古屋刀剣ワールドは常設展も見ごたえ抜群です。

刀剣はもちろん、甲冑や火縄銃、海外製の機関銃まで国内外のさまざまな武具がこれでもかと並んでいる姿は圧巻!

中には本物の火縄銃に触れられるコーナーもあるなど、体験スペースも充実。

刀好きはもちろん、歴史や大河ドラマが好きな方なら楽しめること間違いなし。名古屋観光の新たな目的地としても、おすすめの施設ですよ。

Exhibition Information

展覧会名
【特別展】江戸三作と門弟たち
開催期間
2025年11月1日~2026年1月18日 終了しました
会場
名古屋刀剣ワールド
公式サイト
https://www.meihaku.jp/