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2024年11月1日
特別展「ポンペイ」/東京国立博物館
紀元後79年、火山噴火により突如として姿を消した古代ローマの都市、ポンペイ。
現在東京国立博物館にて、謎に包まれたポンペイの文明や、人びとの暮らしについて詳しく紹介する展覧会が開催中です。
展示風景 特別展「ポンペイ」
本展では、ポンペイに関する資料を数多く収蔵するナポリ国立考古学博物館の至宝約150点を展示。古代ローマの人びとが生きた時代を、資料や再現展示などで多面的に紹介します。
※展覧会情報はこちら
イタリア・ナポリ国立考古学博物館は、王立博物館として1816年に開館しました。
そのコレクションは、18世紀にナポリ王カルロ7世が進めたヴェスヴィオ地区発掘調査による出土品と、その母エリザベッタから受け継いだファルネーゼ・コレクションを中心としています。
展示風景 特別展「ポンペイ」
同館が所蔵する古代ギリシア・ローマ、特にポンペイ周辺から出土した遺物は、質・量が高いことでも有名です。
本展はナポリ国立考古学博物館の全面的な協力のもと、日本初公開を含む約150点の名品を紹介します。
展示風景 特別展「ポンペイ」
貴重な史料をただ並べるだけでなく、当時の邸宅を一部再現した演出や8K高精細映像などを駆使。
展示室内を歩きながら、2000年前にタイムスリップしたような感覚が味わえる展示となっています。
ローマ帝国の都市であったポンペイ。質の良いワインやオリーブオイルなどが有名で、ポンペイに暮らす人びとはとても豊かな暮らしをしていました。しかし紀元後79年のある日、ポンペイは突如として街ごと火山噴出物に飲み込まれました。ナポリ近郊のヴェスヴィオ山で大規模な噴火が発生したのです。
灰に飲み込まれたまま時間が過ぎたことで、次第にポンペイという名は忘れ去られていき、そこに古代都市があったという記憶だけが残っていました。
展示風景 特別展「ポンペイ」
ポンペイの姿が再び現れ始めたのは、18世紀に発掘調査が始まったことがきっかけでした。火山灰で埋没した古代の居住地はとても保存状態が良く、そこには当時の人びとの生活空間や家財が「タイムカプセル」のように封印されていました。
しかし、当時の発掘調査は、18世紀のヨーロッパ美術や文学に大きな影響を与えたものの、出土位置などの記録が不十分であり、ポンペイの痕跡が多く失われてしまいました。
展示風景 特別展「ポンペイ」
20世紀に入り考古学が発達していくと、遺跡を破壊せず、保存と修復しながら発掘が進められるようになりました。ポンペイの調査研究は、現在でも続いています。
ポンペイは水道や道路の整備がされていたり、都市部にはさまざまな職業に就く者がいたりと、非常に高度な文明を持っていました。
本展では、モザイク、壁画、彫像などの傑作から日用品まで多様なジャンルの出土品を展示。古代ローマの都市の繁栄と、市民の豊かな生活に迫ります。
ポンペイは紀元前89年にローマ人により征服され、ローマ帝国の支配下となりましたが、征服以前よりあったヘレニズム文化の豊かさを伝える優品も展示されています。
展示風景より、躍るファウヌス 紀元前2世紀
《踊るファウヌス》は、ポンペイ最大の邸宅だった「ファウヌスの家」で発見された像です。
乱れた髪のあいだからのぞくヤギの角や、両手を挙げて踊るような足取りが表現された本作。身体を大きくひねった、らせん状のような動きはヘレニズム美術特有のものです。
こうしたポンペイ独自の美しい文化も見逃せません。
ポンペイの街中にはパン屋や、テイクアウトができる料理屋があり、手軽に食事をとることができたそうです。
テイクアウトのできる料理屋のカウンターには、料理を入れる鍋のようなものが埋め込まれていました。
展示風景より中央、パン屋の店先 50~79年
フレスコ画の《パン屋の店先》では、パン屋の店先でパンを差し出す人と、それを受け取ろうとする人のようすを描いたものです。
当時、ポンペイ全体にはパン屋が30件ほどあったようです。彼らの主食は現在と同じパンでした。
フレスコ画に描かれたパンと似たような形をしたパンそのものも出土品として展示されています。
展示風景 特別展「ポンペイ」
他にもキビやイチジク、干しブドウなども状態の良いまま出土しています。どれもポンペイ住宅の台所で発見されました。
ポンペイで作られるパンは美味しかったのでしょうか。現在でも食べられるパンを古代の人も食べていたのは、とても親近感が湧きますね。
ポンペイの発掘調査を進めていくと、たまに噴火物のなかに空洞を見つけることがあるそうです。これは、有機物が分解されることで起きる現象で、こうした空洞に水を溶いた石膏を注ぎ、乾いてから掘り出すと、空洞の原因となったものが姿を現します。
展示風景より左、女性犠牲者の石膏像 79年/1875年 ポンペイ出土
《女性犠牲者の石膏像》は、若い女性の遺体で、1875年に石膏取りされました。
空洞となった遺体の周辺には、分解されなかった金属製の持ち物などが含まれていることもあるそうです。
噴火に驚き街から脱出した人もいましたが、家に隠れた人などは、大量に降り注いだ灰や軽石などで家が倒壊したことにより閉じ込められました。噴火当時の状況を知る手がかりも展示されます。
ポンペイ遺跡は、長い年月ものあいだ埋もれていたことからとても保存状態が良いことでも有名です。
本展では、代表的な3つの邸宅の一部を再現した展示が出現!
展示風景 特別展「ポンペイ」
再現される家は、「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」の3つ。 当時の生活空間に入り込んだような演出がとてもユニークです。
犬がいた邸宅には、「猛犬注意」と書かれたモザイクなども施されていたそうです。
当時の暮らしの工夫をぜひ見つけてみてくださいね。
かつてない規模で出品される「ポンペイ展の決定版」となる本展。
東京での展示のあとは、京都、宮城、福岡へと巡回します。
なかなか海外へ行けないご時世ですが、日本で気軽に旅行気分を味わってみてはいかがでしょうか。