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2024年11月1日
スペクタクル後/東京都写真美術館
年に一度、恵比寿で行われる映像とアートの国際フェスティヴァル「恵比寿映像祭」が今年も開催中です。
「第14回恵比寿映像祭 スペクタクル後」展示風景
※展覧会情報はこちら
2022年は「スペクタクル後」をテーマに、19世紀の歴史から現代にいたるイメージの変容について幅広く考察します。
恵比寿映像祭は、2009年の第1回開催以来、展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、トーク・セッションなどを複合的に行なってきました。
映像とアート映像分野における創造活動の活性化と、映像表現やメディアの発展をどのように受け継いでいくかという課題について広く共有する場となることを目指しており、毎年楽しみにしているファンも多数います。
14回目となる今回のテーマは「スペクタクル後」です。英訳すると「AFTER THE SPECTACLE」ですが、一体このテーマにはどのようなメッセージがあるのでしょうか?
スペクタクルという言葉は、風景という意味のほかに、壮大な見世物という意味でも使われています。また、フランスの思想家、ギー・ドゥボールは著書『スペクタクルの社会』のなかで、見世物という意味だけでなく「イメージ」で校正された現代社会を把握するひとつの概念として「スペクタクル」を考察しています。
「第14回恵比寿映像祭 スペクタクル後」展示風景
経験したことのないパンデミックによって大きく変化した私たちの日常。映像を使用したメディアやイベントなど、飛躍的にオンラインという選択肢が増えました。
2022年の恵比寿映像祭では11つのキーワードをもとに、19~20世紀にかけての博覧会や映画の歴史から現代にいたるイメージおよび映像表現について考察します。
スペクタクルという言葉の歴史を再確認するとともに、これからの映像文化・社会に対するヒントを得る、という意味も込めてタイトルにはあえて「後」をつけたそうです。
19世紀半ばから20世紀前半にかけて、世界中でさまざまな博覧会で、遠隔地から集められてきた物が展示されました。多くの来場者が、そのスペクタクルな祝祭空間に酔いしれました。
人の移動はもちろん、展示品の大規模な移動も難しくなっている現代。当時の人びとは、未知の新しい世界を「みる」とき、どのように感じていたのでしょうか。
3階展示室では、「スペクタクル」をテーマにキュレーター小原真史の所蔵資料約500点と、東京都写真美術館のコレクション86点を組み合わせた展示を行います。
「第14回恵比寿映像祭 スペクタクル後」展示風景
現代の社会でもたびたび課題になる、グローバリズムやコロニアリズム、レイシズム、消費資本主義、ツーリズムがより広がりを見せたのも同じ19世紀半ばから20世紀前半頃です。
社会の近代化とともに深刻化した、植民地や奴隷などの差別問題にも迫ります。
※一部差別的表現が含まれることがあります。
「第14回恵比寿映像祭 スペクタクル後」展示風景
また、発明王エジソンによる世界初の映写機のひとつ、キネトスコープ。こちらのレプリカも展示されます。実際に映写された映像を観ることができます!
3階展示室の注目すべき点は、なんといってもその展示数です。これまでの恵比寿映像祭で、ここまでの量を展示したことはないとのこと。情報量に圧倒されますので、元気なときに鑑賞するのがおすすめです。
2階展示室では、アプリ「ストロボスコープ」で鑑賞できる展示もあります。
※事前にインストールしてご利用ください。
「第14回恵比寿映像祭 スペクタクル後」展示風景
藤幡正樹の《Voices of Aliveness》は、人間の叫び声を、サイバースペースに結び付けてアーカイヴすることを目的に制作された声の彫刻です。
本作は2011年の東日本大震災の後に、フランスで制作されました。
藤幡が1992年以来取り組み続けてきた、仮想空間と現実空間を結ぶプロジェクト「Field-Works」の中でも、テクノロジーによる記録と記憶の新しい可能性に迫った、シリーズの到達点とも言える作品です。
「第14回恵比寿映像祭 スペクタクル後」展示風景
鑑賞者は、フランス・ナントの参加者たちが乗った自転車の痕跡、そして叫び声による記録を、サイバースペース上で追体験できます。不安になると思わず叫びたくなるような、自身の叫びに向き合えるかもしれません。
恵比寿映像祭は東京都写真美術館での展示の他に、YEBIZO MEETS地域連携プログラムやワークショップ、オンライン映画などのイベントなどが盛りだくさんです。
※プログラムはこちらから
恵比寿映像祭は2週間限定の開催です。今回は映像作品に加え、写真の展示も多く例年とはまた違った展示構成になっています。
また、入館は一部のプログラムをのぞいて無料なので、気になる方はお早めに。