PROMOTION
クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
企画展示「どうぶつかいぎ展」/PLAY! MUSEUM
ドイツの詩人・作家のエーリヒ・ケストナー(1899-1974)と、挿絵画家のヴァルター・トリアー(1890-1951)がタッグを組んで作った絵本『動物会議』(岩波書店、池田香代子訳)を知っていますか?
同作はゾウやライオン、キリンといったさまざまな動物たちが、いつまでも戦争をやめない人間たちのことを批判するユーモアのある絵本作品です。
村田朋泰「めざせ動物ビル」2021年
ケストナーとトリアーが生み出した『動物会議』の世界を、現代の8人のアーティストが新解釈を加えて紹介する展覧会が、PLAY! MUSEUMで開催中です。
8人のアーティストが絵や立体、映像をリレーし、PLAY! MUSEUMの空間全体を使って「動物会議」を開く本展。本記事では本展の見どころや、注目の展覧会オリジナルグッズ、メニューを紹介します。
※展覧会詳細はこちら
『飛ぶ教室』や『ふたりのロッテ』などで世界的に知られるケストナーと、かわいらしい動物の挿絵を描いたトリアーがタッグを組んで生み出した絵本『動物会議』。
本作は、2度の世界大戦を経験しても争いを止めない人類を痛烈に批判しつつ、ユーモアと皮肉をきかせながら、子どもたちに戦争をする人間の愚かさを訴える作品です。
『動物会議』/エーリヒ・ケストナー著、ヴァルター・トリアー絵/池田香代子訳/岩波書店刊
ケストナーとトリアーが生んだ名作絵本『動物会議』のあらすじを少しご紹介しましょう。
第二次世界大戦後、世界各国の首脳は平和のために国際会議を開きます。しかし、何度か会議を開いても成果がありませんでした。そんな人間たちを見て、動物たちは「子どもたちのために!」を合言葉に、自分たちで会議を開き始めます。
地球上のあらゆる動物たちが集まり、動物会議でまとまった案を首脳たちに伝えますが、彼らは動物たちの要求を否定。そんな人間たちに業を煮やした動物たちは、未来ある子どもたちのために最後の一手を打つことに・・・。
果たして、動物たちはどんな手段を使って私たち人間に「平和の大切さ」を伝えたのでしょうか。
絵本『動物会議』原画/ヴァルター・トリアー/1947-49年/オンタリオ美術館蔵 ©Art Gallery of Ontario
ケストナーが70年前に『動物会議』に託した問題提起は、現代まで続いています。
本展では、ケストナーが今の私たちに託した問いを、大人から子どもまでより親しみやすい形に再構成して紹介します。
ケストナーの物語を8つの場面に分け、それぞれのアーティストが再解釈を加えて絵や立体、映像で作品を作り、リレー形式でできあがった現代版「動物会議」となる本展。編集部が気になった場面を取り上げて紹介します。
物語は北アフリカのチャド湖のほとりで、ゾウとライオン、キリンの3匹が泉に入って水を飲みながら、何やらかんかんに怒っているところから始まります。彼らが怒っている理由は、いつまで経っても人間が戦争を止めないからでした。
梅津恭子「無題」2021年
そんな物語の冒頭であるシーンを担当するのは、ぬいぐるみ作家の梅津恭子です。彼女は、3匹が地球を憂いながらお茶を飲んでいるところを大きなぬいぐるみで再現しています。
そうして3匹は「子どもたちのために、なにかしなくちゃ!」と立ち上がり、動物会議を開くことを決意します。
植田楽「無題」2021年
会議は「世界一へんてこな動物ビル」で開かれました。この動物ビルを手がけたのは、造形作家の植田楽です。
植田は、紙とセロハンテープでできた約80体(作品総数は86体)の陸や海、空で暮らす動物たちをこの巨大な動物ビルに展示。首の長いキリンが下の階から上の階へひょっこり顔を出しているなど、ユニークな場面にも注目です。
植田楽「無題」2021年
PLAY!の展示室を象徴するうずまき状の展示スペースでは、映像作家の菱川勢一、現代美術家・鴻池朋子、画家のjunaidaの3人のアーティストの作品が紹介されています。
(左から)junaida「闇の世界 夢の世界」2021年/鴻池朋子「皮絵」より タヌキ・オコジョ 2021年
本展の会場構成は、PLAY!の内装設計を手がけた手塚建築研究所の手塚貴晴氏が担当しました。
このうずまき状の展示スペースは手塚氏によると、「目の前に広がるうず巻きを進んでいくと、いつの間にか夢の世界に取り囲まれていた!というのをイメージし、デザインした」のだそう。
本展でも、気が付いたら絵本の世界に入り込んでいたというイメージが存分に生かされています。
菱川勢一「いざ、動物会議」2022年
動物ビル内の大会議場に動物たちが集まったようすを、音と光で表現した菱川の「いざ、動物会議」に注目。
会場内にあふれるさまざまな動物たちの声とともに、展示されている丸い不思議なオブジェがピクピクと動くのがとてもユニークです。
こちらのうずまき状の展示スペースは若干暗くなっているので、足元にご注意ください。また、小さなお子さんを連れて鑑賞される場合は、手をつなぐなど離れないように鑑賞されることをおすすめします。
充実した本展オリジナルグッズにも注目です。併設のPLAY! SHOPでは、トリアーの原画をあしらった雑貨や、参加作家の出品作品を使ったアイテムが販売されています。
なお、PLAY! SHOPの入場には展覧会のチケットが必要です。
(左)ペンギンの氷山パフェ(1,580円)
(右)どうぶつかいぎケーキ ドリンクセット付(1,580円/ケーキセット)
また、PLAY! CAFEでは、ペンギンが氷山を歩いているようなかわいいパフェや、レアクリームチーズとさわやかな黄桃をトッピングした「どうぶつかいぎケーキ」などの、展覧会の余韻を楽しめるオリジナルメニューを販売しています。
どうぶつかいぎケーキにトッピングされているウサギやペンギン、ゾウなどのクッキーは、当日のお楽しみとのこと。カフェメニューにも、PLAY!ならではのワクワクする仕掛けがあります。
戦後70年以上経った今も世界各所で戦争は途絶えることなく、軍隊や抑止力のにらみ合いが続いています。
8人のアーティストによる新しい解釈が加わった現代版「動物会議」を紹介する本展は、大人と子どもが同じ問題を一緒の視点で考えられる展覧会です。
まじめだけど、かわいらしくて、ユーモアたっぷりの本展をきっかけに、未来について語り合ってみてはいかがでしょうか。