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2024年11月21日
光陰礼讃 ― モネからはじまる住友洋画コレクション/泉屋博古館東京
2022年3月にリニューアルオープンした泉屋博古館東京。六本木一丁目駅からほど近く、住友コレクションをはじめとした美術品を保存、研究、公開しています。コレクションは中国古代青銅器から、西洋絵画、茶道具に能面・能装束など実に多岐にわたります。
現在同館では、第2弾となる館蔵名品展が開催中です。
「泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅱ 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション」展示風景
本展では、印象派と古典派から影響を受けて花開いた日本近代洋画を絵画史の流れとともに紹介。同館が誇る住友コレクションを約60点展覧します。
※展覧会情報はこちら
幅広いジャンルの名品を持つ住友コレクションですが、中でもその一角を占める近代洋画は、住友吉左衞門友純(春翠)が明治30年(1897)の欧米視察中のパリで、印象派の画家モネの油彩画2点を入手した事に始まります。
展示風景より右:クロード・モネ《モンソー公園》1876年 油彩・キャンバス
《モンソー公園》は第1回印象派展からまもなく描かれました。赤い花をつけているのはパリの街中でもよく見かけるマロニエの木で、その奥でパラソルを持つ女性と手をつなぐ子どもは、当時モネのパトロンだったエルネスト・オシュデの妻アリスとその末娘と考えられています。速やかに光を含んだ情景を描く、まさにモネの印象派時代の作風をよく表しています。
住友吉左衞門友純はこうした印象派の作品のみならず、同時代のジャン=ポール・ローランスなどフランス・アカデミーの古典派絵画も収集しました。
「泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅱ 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション」展示風景
19世紀末フランスでは、印象派の台頭とともに古典的写実派が衰退していきましたが、住友洋画コレクションは同時代の印象派と古典派の作品がともに揃って収集されているところに特徴があります。
印象派と古典派を、同じ空間で鑑賞できる贅沢な機会となっていますよ!
本展では、光を追い求めた印象派と陰影表現による実在感を追究した古典派を「光陰」と捉え、この「光陰」二つの流れから影響を受けて発展した日本近代洋画の作品を、絵画史の流れにそって紹介しています。
「泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅱ 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション」展示風景
鹿子木孟郎や仙波均平、渡辺與平など、当時の欧米で絵画を学んだ画家たちや、当時の日本では知られていなかった外光表現をもたらした黒田清輝から影響を受けた画家である和田英作や藤島武二、岡田三郎助といった画家を紹介。
それぞれの画家たちが感じ取った「光陰」に注目してみてください。
特集展示「住友建築と洋画―洋館には洋画がよく似合う」では、当時コレクションを飾っていた兵庫県の須磨別邸の外観模型や、関連する絵画作品が展示されています。
「泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅱ 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション」展示風景
大きな邸宅のどんな場所に飾られていたのでしょうか。また、当時作品を目にした人はどんな風に感動したのでしょうか。想像をめぐらせてみてくださいね。
また、本展に際して館蔵品図録「泉屋博古」シリーズの最新刊『泉屋博古 近代洋画・彫刻』も発刊されました!
こちらは100点超の作品を収録しています。ミュージアムショップで販売されていますのでお見逃しなく。