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2024年11月1日
畠山耕治―青銅を鋳る/菊池寛実記念 智美術館
菊池寛実記念 智美術館にて「畠山耕治―青銅を鋳る」が、12月11日まで開催中です。
青銅を素材とした鋳金(ちゅうきん)による制作を追求する金工作家、畠山耕治(1956-)の初期作から新作まで約70点を展示する本展。金属を素材とする作品を紹介するのは、同館では初とのことです。
畠山耕治は鋳物(いもの)の歴史を持つ富山県高岡市を拠点に、青銅を素材とした鋳金による制作を追求する金工作家です。
鋳金とは、加熱して溶かした金属を鋳型(いがた)と呼ばれる方に流し込んで成形する技法のひとつ。この技法で作られる金属製品は「鋳物」と呼ばれています。
畠山の作品は抑制のきいた造形と臨場感あのある表情に特徴があります。鋳金は型に合わせて複雑な形状をとることのできる技法ですが、畠山は「青銅の存在そのものを鋳込む」という自身の製作欲求と造形感覚を、直線とわずか曲線で構成したシンプルな造形に表しています。
箱をはじめとする器が代表的な作例ですが、制作全体は器にとどまらず、街灯や建造物の壁面、扉など建築分野にまで及びます。
これは、鋳金の制作サイズに自由度が高いことと、畠山の視点が工芸だけではなく空間や景観まで含めた鋳金技術全般にあることを示しています。
一見すると釉薬(ゆうやく)で着色された陶器のようにも見える畠山の作品。これらの独特な色合いは、熱や薬品などの化学反応で金属の状態を変化させて着けられたものなのだそう。着色は塗装とは異なり、金属の変化によって表情を創出しています。
本展では初期から新作まで約70点を展示し、畠山の制作の軌跡を紹介します。
智美術館は、設立者で現代陶芸のコレクターであった菊池智(1923-2016)のコレクションを母体に、現代陶芸の紹介を目的として2003年に開館した美術館です。
現代陶芸を中心に、優れた造形作品を紹介するさまざまな展覧会を開催し、さらに陶芸の枠にとどまらず、現代工芸の発信地となるべく活動を続けています。
そんな同館で「金属」を素材とする作品を紹介する展覧会は、今回が初めてとのこと。また陶芸とは異なり、近現代の金工に焦点を当てた展覧会を東京の美術館で開催すること自体が珍しいことだといいます。
東京の美術館で現役の金工作家を紹介する貴重な展覧会です。ぜひ、智美術館の落ち着いた空間で金属が作り出す独特な表情を間近で観てみてはいかがでしょうか。