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2024年11月1日
こどものみなさまへ あれ これ いのち/ちひろ美術館・東京
絵本画家のいわさきちひろ(1918-1974)は、今から50年前の1974年に、55歳の若さでこの世を去りました。
いわさきちひろ没後50年を記念し、ちひろ美術館・東京と安曇野ちひろ美術館では、「いわさきちひろ ぼつご50ねん こどものみなさまへ」と題したシリーズ展覧会が、1年を通して開催されます。
「あそび」「自然」「平和」の3つのテーマから、現代科学の視点も交えて、ちひろの絵を読み解く本展。
スフマート編集部では、ちひろ美術館・東京で現在開催中の「こどものみなさまへ あれ これ いのち」を取材してきました。
「自然」をテーマとした本展では、ちひろが描いた身近な野の草花や生きものを紹介。
さらに、彼女が愛した色である「紫」に着目し、その色のひみつを生態学と美術の両方の視点から迫ります。
ちひろ美術館・東京の復元アトリエ
ちひろ美術館・東京は、ちひろが1974年で亡くなるまでの最後の22年間を過ごした自宅跡地に建つ美術館です。
ちひろがここで過ごしていた頃、日本は高度経済成長期の真っ只中でした。
日本各地で大規模な土地開発が進み、野や森は人工林や工場用地などに変えられ、川や水辺はコンクリートで固められ、それまで見ることができた草花や生きものも減っていきました。
ちひろの絵本のなかには当時、彼女が見てきた「草花や生きもの」が、多く描かれています。
「私は私の絵本のなかで、いまの日本から失われたいろいろなやさしさや、美しさを描こうと思います」と、亡くなる2年前に語ったちひろ。
もしかしたらちひろは、身近な自然が開発の名のものに消えていくことに対して、危機感を抱いたのかもしれません。
数多くの野の草花や生きものが登場するちひろの作品。
そうした作品に描かれた自然に注目することで、子どもと一緒に「人と自然の共生」について学べるようになっています。
また、展示室の壁の下に注目!
いわさきちひろの息子の松本猛さんが語る「石神井」での思い出が、やさしい日本語で紹介されています。
ちひろの絵と一緒に、猛さんによるエピソードもあわせて読んでみてください。
ちひろの描く作品や絵本のなかには、紫を含む赤から青にかけた色がよく使われています。
本展の企画協力である、鷲谷いづみ氏(東京大学名誉教授/生態学、保全生態学)によると、ちひろが好んで使っていた「紫」は、生態学的にも人間を含む動物が共通して好む色だといいます。
自ら動くことのできない植物は、動物に甘いみつや果肉などを提供して、花粉や種子の運搬を任せます。
植物は動物に自身の存在をアピールするため、「色」を工夫し始めます。その進化の過程で、植物は「紫」という色を発展させたのです。
花や果実にもっとも多く見られる紫は、植物と動物のその関係を支える「共生の色」だと語る鷲谷氏。
ちひろも愛した紫について、その作品から「どんな色なのか」と考えながら観ると、新しい発見ができるかもしれません。
展覧会ディレクターは、アートユニット「plaplax」の近森基氏と小原藍氏が担当しています。
インタラクティブな作品制作を軸に、展覧会構成や空間演出、映像コンテンツの企画制作など幅広く活動するplaplax。
2018年には、ちひろ美術館で「いわさきちひろ生誕100年『Life展』あそぶ plaplax」を開催しています。
そんなplaplaxがディレクターを務める本展。
子どもはもちろん、大人も一緒に楽しめる展示空間が広がります。
いつもと違うちひろ美術館・東京の展示スタイルにも注目です。
「これ知っている!」「これはなんだろう?」と立ち止まって、考えたり、発見したり。
そんなユニークな仕掛けがたくさんある展覧会「こどものみなさまへ あれ これ いのち」。
鷲谷氏は、自然保護や自然再生について次のように述べています。
「自然保護、自然再生の考えも、時代とともに変化していきます。今もっとも重要な課題は、人と自然の共生です」。
人と生きものがなかよく生きていくためには、どうしたらいいか。
春休みは子どもと一緒に当たり前だけど、改めて考えると難しいテーマに、ちひろの絵を通して向き合ってみては?
そんなきっかけをくれる展覧会です。
動画でも紹介中!▼
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