「MOCOコレクション オムニバス ―初公開・久々の公開― PART1」/大阪市立東洋陶磁美術館

MOCOのコレクションをオムニバス形式で紹介【東洋陶磁美術館】

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2025年12月22日

MOCOのコレクションをオムニバス形式で紹介【東洋陶磁美術館】

《加彩 天王俑》唐時代・8世紀 大坂市立東洋陶磁美術館(海野信義氏寄贈)

特別展「MOCOコレクション オムニバス ―初公開・久々の公開― PART1」が開催中です。

東洋陶磁美術館(通称「MOCO」)コレクションの中核となるのが、1982年開館のきっかけとなった住友グループからの寄贈による旧安宅産業株式会社が収集した中国・韓国陶磁コレクション「安宅コレクション」と90年代に寄贈された韓国陶磁を中心とする李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクションです。

MOCOには、開館以来コレクターの嗜好を反映した特色ある個人コレクションが寄贈され、中核コレクションを補完し質量ともに充実したコレクションを形成してきました。

本展では、初公開を含むこれまであまり展示される機会がなかった久々のお披露目となるMOCOコレクションを紹介しています。

海野信義(うみののぶよし)コレクション

中国・漢代から唐代にかけて古代中国で墓に副葬するために特別に作られた器物である「明器」のコレクションで、死後の世界でも生前と同じ暮らしが続くようにと願いを込めて埋葬されていました。


《加彩 侍女俑(かさい じじょよう)》唐時代・8世紀 大坂市立東洋陶磁美術館(海野信義氏寄贈)

人の姿をかたどったものは「俑」と呼ばれます。唐時代の女性を造形化して、かの楊貴妃もこのような姿だったのかもしれません。


《加彩 牛車》唐時代・8世紀 大坂市立東洋陶磁美術館(海野信義氏寄贈)

古くから貴人の外出時の乗り物だった牛車、唐代には婦人の外出時に使われていました。

白檮廬(はくとうろ)コレクション

中国芸術を幅広く収集した卯里欣侍(うさときんじ)氏(号「白檮廬」)のコレクションのうち、通史的に収集した中国陶磁がMocoコレクションに加わりました。


《黄釉 碗(「大清雍正年製」銘)》清時代・雍正年間(1723-1735)景徳鎮窯 白檮廬コレクション 大坂市立東洋陶磁美術館(卯里欣侍氏寄贈)

なんと爽やかな器でしょう。白磁の外側に檸檬黄(レモンイエロー)と呼ばれる清代の特徴的な黄釉を掛けて焼き付けた碗で、高台に「大清雍正年製」銘があることから、景徳鎮の官窯で焼かれたものと分かります。

清時代は身分によって使用する色が厳格に決められており、内面が白、外が黄色の器は皇后に次ぐ皇貴妃用のものです。


《粉彩 果樹文 碗》清時代・道光年間(1821-1850)景徳鎮窯 白檮廬コレクション 大坂市立東洋陶磁美術館(卯里欣侍氏寄贈)

碗の中にも描かれているモチーフの果実は「苦瓜」だそうです。この瀟洒な碗が作られた清朝道光年間は、アヘン戦争や太平天国の乱がおこった時代でした。

入江正信(いりえまさのぶ)コレクション

時代や窯を網羅的に収集した中国陶磁のコレクションです。


《灰陶 杯・三足盆》戦国時代・前5-前3世紀 大坂市立東洋陶磁美術館(入江正信氏寄贈)

愛らしい酒器セットで、盆に湯をはって酒を温めたと考えられています。

入江正信氏は、自らが手に取り用いてみたいと思える器を収集しました。お酒がお好きだったことからこぶりで愛らしい酒器がお好みだったようです。


《青花 松樹文 杯・托》清時代・18世紀 景徳鎮窯 大坂市立東洋陶磁美術館(入江正信氏寄贈)

1752年、広東からヨーロッパへ輸送される途中にインドネシアのスマトラ島沖に沈没したオランダ東インド会社の船から引き揚げられたもので、その積荷は「ナンキン・カーゴ」と呼ばれました。

托の底部に1986年のクリスティーズ競売時のラベルが残っているそうです。

松惠(しょうけい)コレクション

茶の湯に造詣の深かった寄贈者のご両親の名前から一字ずつとってコレクション名となりました。松惠コレクションの茶道具のほとんどが初公開となります。


《黒楽茶碗 銘「埋火」》江戸時代・17世紀 樂道入 大坂市立東洋陶磁美術館(松惠コレクション)

東洋陶磁で観る「ノンコウ」、お隣には 樂了入《赤楽茶碗 銘「かがり火」》が展示されています。


重要美術品《石山切(伊勢集)》天永3年頃 伝 藤原公任 大坂市立東洋陶磁美術館(松惠コレクション)

表装も見事なので表装ありの画像としました。東洋陶磁で「石山切」にお目にかかれるとは!しかも誰でも写真におさめてOKです!

石山切は、京都の西本願寺が所蔵する和歌集「三十六人家集」のうち2冊を昭和4年(1929)に分割して掛軸にしたもので、かつて本願寺があった摂津国石山にちなんで名づけられました。

美しい料紙に歌人伊勢の和歌が流麗に認められています。

鈴木正男(すずきまさお)コレクション

朝鮮陶磁器の研究者の浅川伯教(あさかわのりたか)の娘婿である鈴木正男氏からの寄贈で、伯教の旧蔵品や関連資料など約1000点からなるコレクションです。


《白磁 壺》朝鮮時代・18世紀前半 大坂市立東洋陶磁美術館(鈴木正男氏寄贈)

伯教は、京城の道具屋でこの白い壺が目に留まりしばし動けなかったそうです。大らかな朝鮮半島の白磁の大壺です。


《明川窯跡図》20世紀 浅川伯教、《白濁釉 壺》朝鮮時代・19-20世紀、大坂市立東洋陶磁美術館(鈴木正男氏寄贈)

会寧や明川では、「海鼠釉」と呼ばれる釉薬をつかった焼物がやかれ、日本では「会寧焼」と呼ばれて人気だったそうで、伯教も「朝鮮民芸の頂点」と評していました。

伯教が調査した朝鮮半島の窯のスケッチも展示されています。

“café KITONARI”では、特別展とのコラボメニュー「天空の抹茶パンケーキ」「黒織部波文茶碗」も頂けます。

李秉昌コレクションや安宅コレクションもコレクション展で観ることができます。自然光で観る安宅さんの珠玉の中国陶磁は格別で、時間が経つのを忘れてしまいます。

東洋陶磁美術館は、いつ伺っても国宝に会えて、写真に撮る事ができる美術館です。

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