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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
2015年天王洲にオープンした伝統画材ラボ、PIGMENT TOKYO(ピグモン トーキョー)。約4,500色におよぶ鮮やかな顔料が並ぶ心地よい館内の雰囲気はもちろん、貴重な画材を求めて国内外からさまざまなお客さんが来館されるそうです。
感染症が拡大する現在、画材や技術の継承・発展を掲げるPIGMENT TOKYOは、アートの素晴らしさを伝える発信源として前に進み続けています。
PIGMENT TOKYOの能條雅由さん(左)、渡邊和さん(右) ※撮影時、マスクを外していただきました。
後編では、コロナ禍で改めて感じるアートの必要性や今後の展望について、PIGMENT TOKYOの渡邊和さん、能條雅由さんにお伺いしました。
PIGMENT TOKYOが誕生した経緯や哲学について伺った前編はこちら
──新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、PIGMENT TOKYOで変わったことはありますか。
能條:PIGMENT TOKYOでは、ただ画材を買っていただくのではなく、スタッフとのコミュニケーションを通して、知識や技術といったプラスアルファを持ち帰ってもらうことを大切にしています。しかし、新型コロナウイルスが流行してから以前のようなコミュニケーションが難しくなり、定期的に開催していたワークショップも、一時はストップしてしまいました。
なんとか自分たちにできることを考えたとき、新たにスタートしたのが動画コンテンツでの発信です。以前から公式SNSを通じて画材の簡単な使い方や特徴を解説するコンテンツを発信しており、国内だけでなく海外のお客様からも支持をいただいていました。こうしたコンテンツ制作には一定のニーズがあると感じており、より動的に伝えるために動画を活用したオンラインワークショップを販売することになりました。
──動画制作は、一から始めるとなかなか大変ですよね。
能條:動画編集を一から勉強する必要があり、「YouTuberって大変な仕事なんだな」と感心することもしばしばありましたね。PIGMENT TOKYOは2020年春ごろの緊急事態宣言中に2~3か月間休業していたため、その期間中に動画制作に注力して、2020年8月ごろにリリースしました。
動画では直接レクチャーすることができないし、お客様のレベルに合わせて伝え方を柔軟に変化させることも難しい。そのため、「100%しっかり教える」というよりは、動画をきっかけに見てくれた方の知識欲や向上心を刺激するような内容を意識しました。また、、“技術や知識を継承する”という役割を果たすため、YouTubeチャンネルでは無料視聴できる動画も配信しています。
PIGMENT TOKYOに来館することが難しい遠方の方や海外在住の方などにも、技法材料に関する知識を増やすことで、表現の可能性を広げていくきっかけになればと思っています。
──接客自体には変化はあったのでしょうか。
能條:現在は感染防止対策をとりつつ通常に近い形での接客対応ができています。また、ワークショップは消毒や検温、アクリル板の設置などを徹底しながら開催しています。お客様にもご理解いただいたうえで、コロナ禍であってもどのようにアートの楽しさを伝えているかを模索していきたいです。
水彩絵具づくりや、岩絵具で花を描くワークショップなど、定期的に開催していますのでよければぜひお越しください。
※ワークショップ一覧はこちらからご覧ください。
──コロナ禍において「アートの必要性」が問われましたが、おふたりの考えるアートの役割をお聞かせください。
能條:芸術に限らず、いろいろなイベントが開催できなくなりましたが、コロナが社会に与えた精神的なダメージはとても大きかったと思います。イベントが問題なく開催でき、誰でも自由に参加できた世界がどれだけありがたかったのかを痛感させられました。同時に、芸術的なこと、文化的なことは“余白の部分の豊かさ”だったとも思います。もし芸術がなくても食べることに困ることはないかもしれません。ただ、その余白の部分の豊かさが、いかに人間性を担保し、彩っていたのか、その必要性に気付かされました。
渡邊:私はコロナ禍以前よりも「新しいことを始めたい」と考える人が増えたように感じます。実際、PIGMENT TOKYOにお越しいただく方々は「何かを造ってみたい」「絵具を作ってみたい」とおっしゃる人も多いんです。他にも、ふらっとギャラリーやミュージアムへ行ったその足で、PIGMENT TOKYOに立ち寄ってくださる方もいらっしゃいます。
そういった方と接するたび、アートのニーズを感じますし、新しい分野に挑戦したい人の受け皿になれるよう尽力したいと思いました。
──最後にPIGMENT TOKYOを今後どのように展開させたいですか。
渡邊:PIGMENT TOKYOは立ち上げ当初から「アーティストをサポートする」という理念を持ち、「PIGMENT TOKYOを通して、より多くの人にアートを届ける。そして、人々の生活を豊かにする」という使命を背負っています。
その“人々”の中には、お客様は当然ですが、アーティストやそのアーティストの作品を購入したコレクターの方、画材を制作する職人さんも含まれます。なにより、PIGMENT TOKYOに所属しているアーティストもその“人々”であり、PIGMENT TOKYOで培った知識やスキルを自身の創作活動に反映できるよう、多角的にサポートしていきたいです。
能條:これまで6年間行ってきたことを、継続することは大前提ですが、そのうえでPIGMENT TOKYOの存在をより広め、新しいユーザーを増やしていければと思います。
PIGMENT TOKYOが担うべき役割を見失うことなく、余白の豊かさを提供できる存在を目指したいです。
芸術の街、天王洲アイルで伝統画材を「今」に伝えるPIGMENT TOKYO。
施設内を案内していただきましたが、古今東西の貴重な画材が綺麗に並べられた空間は博物館のようでした。
とくに暖かくなる春先は海も近くとっても気持ち良い街ですよ。これからの季節のお出かけにいかがでしょうか。
次回は東京国立博物館の三笠景子学芸員にお話をお伺いします!
PIGMENT TOKYO
住所:東京都品川区東品川2-5-5 TERRADA Harbor Oneビル1F
アクセス:りんかい線「天王洲アイル」駅から徒歩3分/東京モノレール「天王洲アイル」駅から徒歩5分
公式サイト:https://pigment.tokyo/