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2024年11月1日
色彩への招待/ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
安産祈願で知られる水天宮や、江戸時代に反映した人形町といった歴史ある場所に近く、半蔵門線・水天宮前駅より徒歩1分という好立地もあわせもつ、小さな美術館があります。
銅版画家・浜口陽三の作品を所蔵するミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションは、1998年11月ヤマサ醤油株式会社が開設した個人美術館です。
現在同館では、版画で使われる4つの色をテーマとした「色彩への招待」が好評開催中。浜口陽三作品を50点展示しています。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションのことや展示のこと、素敵なカフェやグッズも紹介します♪
※展覧会情報はこちら
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションは、銅版画家・浜口陽三の作品を約1000点、妻であり版画家の南桂子の作品を約2000点所蔵しています。
長い海外生活を終えた浜口が持ち帰ってきた多数の作品を展示するために開設された同館では、銅版画の魅力を紹介する企画展を年に3~4回行っており、イベントやワークショップなども開催しています。とくにワークショップはすぐに予約が埋まるほどの人気だそうです。
また、同館の建つ場所は、もともとヤマサ醬油の倉庫として使われていたスペースを改装しています。ところどころに倉庫時代の面影も感じられますよ。来館された際には内装にも注目してみてくださいね。
「なぜヤマサ醤油の倉庫が美術館に?」を思った方もいるのではないでしょうか。実は、浜口陽三は歴史あるヤマサ醤油第10代目社長濱口儀兵衛の三男として生まれました。
父・儀兵衛の理解もあり、三男であったことから浜口は東京美術学校(現:東京藝術大学)の彫塑科へ入学します。その後大学は中退しますが、パリに渡り、油彩、水彩、銅版画など幅広い創作活動を行いました。
浜口独自の銅版画技法を開拓してからは、さまざまな国際的な賞を受賞し、瞬く間に世界を代表する銅版画のひとりになりました。
パリに住んだ後はサンフランシスコに移住して制作を続け、1996年に日本へ帰国、2000年に逝去しました。
浜口陽三の銅版画は、カラーメゾチントという独特の銅版画技法が使われています。
もともとメゾチントは17世紀中頃、ドイツのルートヴィッヒ・フォン・ジーゲンが発明した銅版画技法の一種でした。
黒から白にかけての微妙な諧調を表現することができるメゾチントは、当時、絵画の複製品を作る際などに用いられていましたが、19世紀末の写真機の登場により、徐々に忘れられた技法となっていきました。
浜口がさまざまな手法を試すなかで、モノクロの技法とされていたメゾチントの世界にカラー表現の技術を開拓することに成功し、より豊かな芸術表現ができるように生まれ変わりました。
高度な技術から生まれる繊細で静謐な作風は、誰にも真似できない唯一無二の表現として、世界中から高い評価を獲得しています。
ちなみに、浜口陽三の作品でよく登場するモチーフがさくらんぼです。なぜさくらんぼがよく使われていたのかは、本人の口から語られることはなかったそう。「色彩への招待」展でも、コロコロとかわいらしいさくらんぼのフォルムを楽しむことができますのでお見逃しなく。
本展では浜口陽三の銅版画を約50点展示。1階では黄色と黒、地下では赤と青の作品を中心に紹介します。
カラーメゾチントは、黄、赤、青、黒の4つの色から作られており、色ごとに版を彫り分け、4つの色版を紙に順に重ねて刷ることで作品が完成します。
一見すると絵画のようにも見えますが・・・画面全体(版面)に広がる点描のような繊細な凹みによって、作品に無数の色と奥行きが生まれているそうです。
複雑に重なり合って生まれた、浜口陽三の色彩の世界を近くで見ることができるチャンスですよ。
また、展示にはちょっとしたお楽しみがあります。受付で種類の異なる招待状が渡されるので、招待状の内容がどの作品部分か当てるというものです。答えは地下の展示室に! かなりの難問なので、ぜひ挑戦してみてください。
同館の学芸員は「印刷では絶対に見ることのできない、カラーメゾチントの奥行きをぜひ近くで見てほしい」と言っていました。本来であれば、額に入れずにそのまま展示しより肉眼で見やすくしたいそうですが、版画は光に弱いためそれはできないそう。ですが、できるだけ近くで作品を鑑賞できるように、立ち入り禁止の線などはありません。
鑑賞後は、グッズもお忘れなく!
ハンカチやクリアファイル、ポストカード、浜口陽三のトレードマークさくらんぼをあしらったかわいらしいステッカーなど。来館の記念にチェックしてみてください。
また、美術館入口には小さなカフェも併設。
種類豊富なドリンクはもちろん、ケーキ、ヤマサ醤油を使用したオリジナルアイスもあるそうです! 今回は、ノンカフェインのハニーブッシュティーをいただきました。
浜口陽三の美しい黒の版画をじっくり見ていると・・・なんだか一息つきたくなってきます。鑑賞後に、ゆったりした時間を過ごすことができます。
美術館入館の方はもちろん、カフェのみの利用もできるそう。ふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
浜口陽三の世界をあますことなく紹介するミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション。
ゆったりとした時が流れるこじんまりとした空間で、思い思いに作品鑑賞できますよ♪