黄土水とその時代/東京藝術大学大学美術館

台湾の彫刻家・黄土水の代表作《甘露水》を日本初公開!【東京藝術大学大学美術館】

2024年9月6日

黄土水《甘露水》1919 文化部所蔵、国立台湾美術館により管理

台湾を代表する彫刻家、黄土水(こう どすい・1895-1930)の代表作である《甘露水》
2023年に、台湾で国宝に指定された作品です。

「甘露水」とは「日照りの後の恵みの雨」の意味のほか、観音菩薩が持つつぼの聖水という意味を持ちます。

東京藝術大学大学美術館(東京・上野)にて、この《甘露水》を日本で初めて公開する展覧会が、2024年10月20日(日)まで開催中です。

《甘露水》を含む黄土水の作品10点のほか、20世紀初頭の東京美術学校(現・東京藝術大学)の洋画や彫刻の作品48点を紹介します。

日本で学んだ台湾人彫刻家
黄土水

黄土水は、台湾出身者として初めて東京美術学校に入学し、西洋近代彫刻家として初めて帝展に入選、日本の皇室や台湾の政財界からも高い評価を受けた彫刻家です。

黄土水《ガチョウ》1928 個人蔵

病気により、若くして亡くなったため、日本では知名度の低い作家ですが、東アジアの近代美術の重要作家として、近年ますます評価を高めています。

黄土水の母国・台湾では、2023年に代表作《甘露水》が国宝に指定されました。

黄土水《甘露水》1919 文化部所蔵、国立台湾美術館により管理

本展では、国宝に指定されたばかりの《甘露水》を日本で初めて公開します。

《甘露水》のほかにも、黄土水の作品群を紹介。
注目を集める黄土水の魅力に迫る展覧会です。

黄土水《水牛群像(帰途)》1928 個人蔵

台湾の国宝《甘露水》

黄土水《甘露水》(部分)1919 文化部所蔵、国立台湾美術館により管理

台湾のヴィーナスとも呼ばれる本作は、当時の同国では初めての女性の裸体像として話題となった作品です。

台湾では、本作が国宝指定された2023年、国立台湾美術館にて、黄土水の大回顧展が開かれて大きな話題を集めました。

台湾の重要作家が作り出した《甘露水》を、間近で観ることのできる絶好の機会となります。

青年・黄土水が東京で何を学んだか
当時の日本の美術界も紹介

(左)清水良雄《西片町の家》1917/(右)清水良雄《兄妹》1924 いずれも、東京藝術大学所蔵

1915年に、東京美術学校に入学した黄土水。
1930年に病気により短い生涯を閉じるまでの日本は、近代美術においても大きな激動期でした。

本展では、藝大コレクションより彼が東京美術学校で学んでいた、大正から昭和初期の時期を中心とした洋画や彫刻の作品も紹介します。

高村幸太郎《獅子吼》1902 東京藝術大学所蔵

台湾初の洋風彫刻家である黄土水と、彼が生きた20世紀初頭の東京の美術界を紹介する本展。

藝大コレクションから、黄土水の制作のルーツを観ることができる、貴重な展覧会です。

お見逃しなく。