塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
江戸時代後期の京都を代表する陶工・文人画家である木米(もくべい、1767~1833)の没後190年の節目を記念した展覧会が、サントリー美術館にて開催中です。
本展では、木米の個性あふれる作品を紹介。陶磁、絵画、文献貪料に至るまで一堂に紹介されるのはとても貴重とのことです。
江戸時代後期の京都で活躍した文人・木米。文人とは、中国の学問や芸術、文学などにあこがれ中国的教養を身に着けた人のことで、木米は熱心な研究はもちろんのこと、その幅広い知識を生かして数々の作品を生み出しました。
木米は優れた煎茶器や茶陶などを生み出した陶工であり、また画家でもありました。とくに50代後半以降に余技として描いた絵画は、自由奔放な作風が魅力的です。
当時の文人があこがれた木米の個性あふれる作品は、自由奔放で何者にもとらわれません。その清らかで伸び伸びとした作品を間近でじっくり鑑賞してみてください。
木米は、中国の古陶磁などを熱心に研究し、自分だけの新しいやきものを生み出しました。
重要文化財 染付龍濤文提重 木米 一具 江戸時代 19世紀 東京国立博物館【通期展示】
中国のやきものによく描かれる文様をほどこしていたり、わざと剥げたような装飾をしていたりと遊び心満載!
紫霞風炉 木米 一基 文政7年(1824) 個人蔵【通期展示】
こちらは湯を沸かすための涼炉(りょうろ)。煎茶道の道具として使われるものです。側面には唐代の詩人の茶をテーマにした漢詩がびっしり彫られています!道具でありながら、美しく芸術的です。
当時の文人たちは、共に行動することを大切していて、一緒に茶を飲み、出かけたり宴を開いたそうです。こうした交わりの中から、創作のヒントも生まれたのでしょうか?
文人たちにも憧れられたという、木米の創意工夫に注目です◎
木米は文人としての教養を活かし、素晴らしい絵画も生み出しています。特に傑作として知られているのが《兎道朝潡図》(うじちょうとんず)です。
重要文化財 兎道朝潡図 木米 一幅 江戸時代 19世紀 個人蔵【展示期間:3/1~3/26】
朝の宇治(京都)の景色を題材としており、こちらは重要文化財にもなっています(展示期間は3月1日~26日)。
誰かのために描いた「為書」が多かったという木米の絵画。贈った相手との関係性などを考えながら見ると、より楽しく感じられそうです。
個性豊かで自分の作りたいものを追求する。ユニークな木米の世界観、この春おすすめの展覧会です!
なお、展示室の撮影はできませんが、ちょっと渋いフォトスポットも。ぜひ記念撮影してくださいね。