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2024年11月1日
柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」/東京国立近代美術館
ポスタービジュアル (《スリップウェア鶏文鉢》 イギリス18 世紀後半 日本民藝館)
2021年10月26日から、東京国立近代美術館にて柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」が開催されます。
「民藝」とは「民衆的工芸」を略した言葉のこと。1925年に柳宗悦(やなぎむねよし)と濱田庄司、河井寬次郎は、民衆的工芸品の美をもっと多くの人に伝えるために新語を作り、翌年には民藝運動を本格的に始動させていきます。
その試みは、モノの蒐集にとどまらず、新作民藝の生産・流通、農村地方の生活改善、景観保存にまで広がります。およそ100年も前につくりだした試みが、現在まで多くの人びとに影響を与えています。
民藝運動の父である柳宗悦の没後60年を記念する本展は、総点数400点を超える作品と資料を通して、時代とともに変化し続けた民藝の試みを総合的な視点からとらえなおす展覧会です。
ここでは、「民藝の100年」をより楽しむ見どころをご紹介していきます。
※展覧会詳細はこちら
ホームスパンを着用する柳宗悦 日本民藝館にて 1948年
写真提供:日本民藝館
柳宗悦(1889₋1961)は、日本を代表する思想家で民藝運動の創始者です。
宗教哲学や西洋近代美術などに深い関心を持っていた柳。1913年に東京帝国大学(現:東京大学)哲学科を卒業後、韓国で小学校教師をしていた浅川伯教(あさかわ のりたか)が、朝鮮陶磁器を手土産に柳を訪ね、朝鮮陶磁器の美しさに魅了されます。
柳は、朝鮮の人びとに敬愛の心を寄せる一方、無名の職人が作る民衆の日常品の美に気づき、日本各地の手仕事を調査・蒐集を開始。1925年、民衆的工芸品の美を広めるため「民藝」の新語を作り、民藝運動を本格的に始動させていきます。
1936年、日本民藝館(東京・目黒区)が開設されると初代館長に就任し、以後1961年に72年の生涯を閉じるまで、ここを拠点に、数多くの展覧会や各地への工芸調査や蒐集の旅、執筆活動などを展開していきました。
使い方を変えて、見て楽しむ自在掛
《自在掛(じざいかけ) 大黒》 北陸地方 江戸時代 19世紀 日本民藝館
自在掛(じざいかけ)は自在鉤(じざいかぎ*)を天井とのあいだで支えるものです。
近代化により農村からいろりが失われていきますが、柳らは、煙でいぶされ磨き込まれた深みを、美しいモノとして紹介しました。
*自在鉤:いろりなどの上に吊り下げて、鍋やかまと火の距離を自由に調節出来るようにする道具のこと。
部分で見せる大胆さ! 革羽織
《白地網文様毬散し革羽織(しろじあみもんようまりちらしかわばおり)》(部分)江戸時代 18世紀 日本民藝館
こちらは武家の革羽織の部分図です。金と赤の丸紋が施された羽織ですが、柳は、大胆にも部分図で掲載し紹介しました。
柳は陳列の方法や作品が一番美しく見える位置などを考慮する優れた編集者でもありました。
《ににぐりネクタイ》(デザイン指導:吉田璋也)鳥取県 1931年デザイン 鳥取民藝美術館 撮影:白岡晃
民藝運動に参加していた人たちは、みんなとてもオシャレだったそう!
ツイードスーツにめがね、ネクタイ、台湾製の袋など・・・みんなでおそろいの装いをしていたといいます。そんな仲良しな一面も本展で観られるかもしれません。
展覧会を見た後は特設ショップも見逃せません。展覧会オリジナルグッズのほか、民藝にまつわる幅広い商品が販売されます。
なかでも注目は「D&DEPARTMENT」とポップアップ・ストア。
D&DEPARTMENTは、デザイン活動家のナガオカケンメイさん率いる「ロングライフデザイン」をテーマとするストアスタイルの活動体です。
47都道府県に1か所ずつ拠点をつくりながら、物販・飲食・出版・観光などを通して、47の「個性」と「息の長い、その土地らしいデザイン」を見直し、全国に向けて紹介しています。
本展ではD&DEPARTMENTが、ショップとして参加!「新しい民藝感覚のロングライフデザイン」として紹介します。
また会期中、本展特設ショップ内に登場するポップアップ・ストアでは、全国の民藝を扱うショップから全4店舗が2週ごとに出店。魅力的な1点に出会えるかもしれません。
展覧会と特設ショップ、ポップアップ・ストアもお見逃しなく。
なお、詳しい情報は展覧会公式サイトをご確認ください。
本展の音声ガイドは、衣食住から景観保存にいたるまで幅広く展開した、民藝の100年を俳優の井浦新さんがご案内します。
井浦さんは、 映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションを務めるなどのほか、⽇本の伝統⽂化を繋げ拡げていく活動も行なっています。
井浦さんの落ち着いた声で「民藝の100年」展をより深く楽しんでみてはいかがでしょうか。
音声ガイド貸出料金:1人 1台 600円(税込)
東京国立近代美術館は、1952年に開館しました。開館まもない頃に、晩年の柳宗悦からこのような「批判文」を投げかけられたといいます。
「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」展覧会公式サイトより
東京国立近代美術館の名称はすべて柳が対抗しようとしたものばかりです。
(「東京⇔地方」/「官⇔民」/「近代⇔前近代」/「美術⇔工芸」)
そんな同館も、まもなく開館70年。民藝運動と同様に、時代とともに変化してきました。
本展は63年前、柳から投げかけられた厳しい「お叱り」を今、どのように返球するのか、というチャレンジでもあるそう!
「近代」という時代と「美術」という領域を扱う東京国立近代美術館の展示空間と、民藝のあいだに生まれる化学反応にも注目です。
作品保護のため、会期中一部展示替えがあります。
(前期:10月26日~12月19日、後期:12月21日~2022年2月13日)