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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
今回のアートな街歩きは、中目黒から目黒川沿い、さらに白金台へと足を伸ばします。
桜の季節には賑わいを見せる目黒川を始点に、都内のトレンディなエリア、外苑西通りを通り抜け、名建築とアートを同時に堪能できるルートをご提案します。
出発地の郷さくら美術館は中目黒から徒歩5分、黒塗りのコンパクトな建物で2012年に開館。
11年目を迎えるこの美術館は、日本画を専門に展示しており、広尾の山種美術館と似ています。しかし、この美術館のユニークな点は、昭和以降の画家の作品を中心に展示していること。明治や大正時代の日本画の伝統に、西洋の画法が加わり、新たな日本画として発展してきた作品がこちらで見ることができます。
美術館は3つのフロアに分かれており、40点余りの作品が展示されています。2023年度には5つの展覧会が予定されており、2階は桜をテーマにした展示が特徴。
目黒川の近くであり、春の桜の名所としても知られているため、桜に関する展示が設けられています。
モダンな黒い外観の郷さくら美術館
現在の展示は、夏に人気のある「水」をテーマにしています。滝の絵が代表的な千住博の作品からスタートし、大迫力の鳴門のうずしおの絵も展示。うずの細部や水しぶきのリアルさが際立っています。
さらに、那智の滝や月と水辺を幻想的に表現した作品も印象的です。少しだけ夏の暑さを忘れられるような気がしました。
水をテーマにした作品が並んだ会場
展覧会名:水 -巡る- 現代日本画展
開催期間:2023年6月27日~2023年8月27日
会場:郷さくら美術館
公式サイト:https://www.satosakura.jp/
目黒川の桜並木を目黒駅の方に20分ほど歩くと、プールやテニスコートが見えてきますが、その間の少し奥まったところに、目黒区美術館があります。1987年に開館し、今年で36年目になります。
区立美術館ならではの、「区展」と呼ばれる目黒区民の作品展や、目黒区立の小中学校などに通う子どもたちの作品の「めぐろの子どもたち展」、さらに美術館コレクション展などと一緒に、毎年さまざまな企画展も開かれています。
開館36年目を迎えた目黒区美術館の外観
「中村直人 モニュメンタル/オリエンタル」という展覧会が現在開催されています。中村直人(なかむら・なおんど)は彫刻家からスタートし、後に絵画を描くようになり、名声を高めていきました。近所に住んでいた藤田嗣治の勧めもあり、渡仏し、グアッシュ作品によりパリでも名声を得るようになります。
彼の作品は人物画が主ですが、赤色や緑で塗った肌はオリエンタルな画風を持ち、クシャクシャにした紙の上にグアッシュを塗り重ねて独特の質感に魅力が感じられます。
展覧会名:中村直人 モニュメンタル/オリエンタル
1950年代パリ、画家として名を馳せた”彫刻家”
開催期間:2023年7月15日~9月3日
会場:目黒区美術館
公式サイト:https://mmat.jp/
目黒川を10分歩くと、2つ目の太鼓橋が現れます。その橋を渡ると右側にホテル雅叙園東京が立っています。
正面エントランスから入ると、すぐ左に「百段階段」の案内が目に入ります。チケットを買って、豪華な螺鈿のエレベーターに乗ると、靴を脱ぐスペースへと導かれ、「百段階段」に迎えられます。
1935年に建設されたこの建物は、ホテル雅叙園東京で、唯一現存している木造建築となります。「百段階段」と呼ばれていますが、実際には99段しかありません。これには、昔から奇数が縁起が良いという言い伝えや、意図的に未完成の美を追求したという理由など、諸説が存在します。
企画展が開催される7つの部屋を階段がつないでいます
さまざまの工芸、アート作品が幻想的なあかりの中で繰り広げられる「和のあかり×百段階段 2023」は、7つの部屋で行われています。このイベントは2015年からスタートし、今年で8回目となる夏恒例の人気企画展です。
2023年のテーマは「百鬼夜行」。7つの各部屋を進むにつれて、こちらが現世から異界へと引き込まれるような展示が繰り広げられ、美しさとともに妖艶な世界を体験することができます。
いけ花のクリエーションで幻想な空間が演出されています
一面のすすき畑に三日月と一匹の白い狐
展覧会名:和のあかり×百段階段 2023
~極彩色の百鬼夜行~
開催期間:2023年7月1日~9月24日
会場:東京都指定有形文化財「百段階段」
公式サイト:https://www.hotelgajoen-tokyo.com/100event
急な行人坂を登り目黒駅方向に進むと、目黒駅の北側の目黒通りに、わたせせいぞうギャラリー白金台があります。
彼は80年代から創作活動しており、1983年の連載「ハートカクテル」でその名を広めました。当時、サラリーマンをしながらも漫画家としての活動をしていたことでも注目されました。近年では、シティポップ調の画風で再び注目を集めています。
現在もアクティブに作品を発表しており、このギャラリーでは彼のジクレー作品や原画を楽しむことができ、関連のコミックやグッズも購入可能です。
目黒通り沿いから見えるわたせせいぞうギャラリー白金台
店内ではジクレー作品や、関連のコミックやグッズも購入可能です
展覧会名:SEIZO WATASE~ハートカクテル 40th anniversary~
-Summer Colorful Collection-
開催期間:2023年7月1日~
会場:わたせせいぞうギャラリー白金台
公式サイト:https://apple-farm.co.jp/
目黒通りを白金台方向に進むと、左に広大な緑地が見えてきます。その奥に東京都庭園美術館のエントランスがあります。入場手続きをした後、しばらく歩くと白い洋館が目の前に広がり、それが「東京都庭園美術館」です。
この美しい建物は、旧朝香宮邸であり、昭和天皇の義叔父にあたる朝香宮鳩彦王のかつての住まいでした。彼は1922年のフランス留学中に交通事故に遭遇。事故後、フランスに滞在していた際にアール・デコの美学に触れ、このスタイルを自邸の建築に取り入れました。この館は、アール・デコの影響を色濃く受けており、「アール・デコの館」とも称されています。
現在は国の重要文化財として認定されており、この建物の魅力を中心にした展示も毎年開催されています。
旧朝香宮邸だった東京都庭園美術館の外観
現在の展示は「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」というテーマで、デザイナーと職人の協働によるクリエーションのプロセスをフィーチャーしています。
アルヴァ&アイノ・アアルト、カイ・フランク、タピオ・ヴィルッカラ、ティモ・サルパネヴァ、オイヴァ・トイッカなど、1930年代から1950年代の黄金期を中心に、今日までの8名の著名なデザイナーや作家による約140点の作品が展示されています。
これらの作品を通して、フィンランドのグラスアートの歴史や変遷を探るとともに、各時代やデザイナーの特色も学べる興味深い展覧会です。
ライトアップされるグラスアート
展示風景
展示風景
展覧会名:フィンランド・グラスアート
輝きと彩りのモダンデザイン
開催期間:2023年6月24日~9月3日
会場:東京都庭園美術館
公式サイト:https://www.teien-art-museum.ne.jp/
恵比寿方面に向かって外苑西通りを進むと、左側の住宅地に見えてくるのが松岡美術館。
松岡地所や松岡冷蔵の創業者、松岡清次郎が収集した書画や骨董品などの約1800点を所蔵する私立の施設です。
2000年に白金台に再開館して以来、陶磁器、日本画、西洋絵画、彫刻、考古美術などの幅広いジャンルのコレクションが、季節に応じたテーマで展示されており、来館者は落ち着いた雰囲気の中で作品を鑑賞することができます。
2000年に再開館した松岡美術館
現在開催中の展覧会で、「モネ、ルノワール 印象派の光」を取り上げます。
展示作品には、モネやルノワール、ピサロ、シスレーといった印象派の中心的な画家たち、さらに新印象派のシニャックやリュスなどが含まれており、美術館の所蔵品だけで印象派から新印象派の流れの俯瞰することができます。
今回、日本画の展示はありませんが、美術館には質の高い日本画も収蔵されており、創始者の独特な美的感覚を感じることができるコレクションとなっています。
展示風景
展覧会名:モネ、ルノワール 印象派の光
開催期間:2023年6月20日~10月9日
会場:松岡美術館
公式サイト:https://www.matsuoka-museum.jp/
歩き疲れた今日の締めくくりに、レストランを一軒紹介します。
外苑西通りを恵比寿方面へ少し進むと、右手にあるセレクトショップの3階に、無国籍料理を楽しめるレストランがあります。大きな看板は出ていませんので、少し分かりづらいかもしれませんが、その3階は開放的な吹き抜けとなっており、ゆったりとした空間が広がっています。
オシャレなインテリアの中で、一日の終わりをリラックスして過ごすのはいかがでしょうか。
店内の様子
店内の様子
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インスタグラム:https://www.instagram.com/like_restaurant_/
今回のルートは、中目黒から外苑西通りへの約5km弱の距離です。一日での散策には少しキツイかもしれませんので、興味に合わせて訪れるスポットを選んでみると良いでしょう。
始めは目黒川沿いの散歩、そして目黒から白金台にかけてはショッピングや食事を楽しみながらの街歩きをおすすめします。
夏場には熱中症に十分注意し、適切に休憩と水分補給をすることをお忘れなく。