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2024年11月1日
特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」/東京国立博物館
東京国立博物館 平成館にて、創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」が、2024年9月8日(日)まで開催されています。
本展は、神護寺創建1200年、そして神護寺とゆかりの深い、空海生誕1250年を記念して開催される展覧会。
国宝17件、重要文化財44件を含む、約100件の貴重な品で、空海の活躍と神護寺の歴史をたどります(会期中、一部作品の展示替えあり)。
中国・唐で密教を学んだ空海は、その成果をもとに真言密教という新しい教えを開きます。
帰国後、空海が活動の拠点としたのが、京都の北西・高雄山に位置する神護寺(当時は高雄山寺)でした。
空海と真言密教のはじまりの地となった神護寺には、空海に直接かかわる品や、空海ゆかりの品が数多く伝わっています。
国宝《灌頂暦名》は、空海が高雄山寺で行った、灌頂(かんじょう)という密教の儀式を受けた人の名前を自ら記録したもの。
空海は、「三筆」と称されるほどの書の名人でしたが、これは急いで書いたのか修正箇所も見られ、生きた人間としての空海が感じられます。
最澄(さいちょう)の名前が最初に記載されていて、二人の交流を伝える資料としても貴重なものです。
国宝《御請来目録(ごしょうらいもくろく)》は、空海が唐から持ち帰った成果を記した記録。
この中で、空海は「深くて広い密教の教えは視覚的に伝えるべき」という趣旨のことを述べています。
空海は難しい密教の教えを目で見て体感する手段で伝えようとしたのです。
空海は、密教とともに多くの書物や絵画などを日本に持ち帰りました。
国宝《金剛密教法具》は、空海によって伝えられたと考えられる、密教の儀式に使う特別な道具です。
現存する最古の曼荼羅(まんらだ)国宝《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)》は、胎蔵界と金剛界という、密教のふたつの世界観を絵図で表現したもの。
唐から持ち帰った曼荼羅を手本に、空海自ら制作にかかわったとされています。
4メートル四方の巨大な曼荼羅は、一見すると黒っぽく見えますが、花や鳳凰の文様を織り出した絹地に、金と銀でたくさんの仏などが描かれています。
2016年から6年間かけて、230年ぶりに修理が行われ、より美しく鮮明になりました。
会場では、この高雄曼荼羅が収められていた旧収納箱も展示されています。
ふた裏には鎌倉時代、江戸時代の修復について記され、曼荼羅の歴史を伝える品でもあります。
これは江戸時代に制作された高雄曼荼羅の実物大の模本。曼荼羅の大きさを体感するとともに、美しい色彩と、図柄をじっくり鑑賞してみてください。
平安時代末期の神護寺は、建物は焼け、僧侶もいない荒れ果てた状態でした。
本尊の国宝《薬師如来立像》も雨ざらしになっていたといいます。
このようすを見た僧・文覚(もんがく)は、寺の復興を決意。後白河法皇や源頼朝の支援も得て、神護寺は復興を果たします。
「神護寺三像」として知られる国宝の3幅は、源頼朝、平重盛、後白河法皇に仕えた藤原光能(みつよし)の3人がモデルといわれています。
この作品の魅力は、人物の外見を写しただけではなく、性格や生きざままでもたくみに描き出しているところ。
なかでも有名なのが、国宝《伝源頼朝像》。威厳のある武士の風格がただよう姿は、日本肖像画史上の最高傑作として高く評価されています。
824年、空海は高雄山寺と神願寺という2つの寺院を合併して神護寺としました。
このとき空海が本尊として迎えたのが、《薬師如来立像》(国宝)です。
日本彫刻史上の最高傑作とされるこの像が、今回初めて寺外で公開されています。
ふだんは見ることのできない、側面からじっくり鑑賞できるのも、この展覧会ならではの魅力です。
会場では、横から見た衣の表現や、どっしりした体の造形なども、しっかり確認してみてください。
細身でやさしい顔立ちの重要文化財《日光・月光菩薩立像》も並んで展示されています。
空海の弟子がつくった国宝《五大虚空蔵菩薩坐像》。
当初は5体それぞれ黄・白・赤・黒・青の5色で、鮮やかに彩色されていたそうです。
寺外で五体揃って公開されるのは今回が初めて。
神護寺では横一列に並んでいますが、展示室では、法界虚空蔵を中心に4体が前後左右に並ぶ、曼荼羅本来の配置で展示されています。
《二天王立像》は神護寺の門に置かれ、高雄山のふもとから長い階段を登ってきた人びとを迎えてくれます。
この像と「高雄山」の額は、今回個人利用に限り、写真撮影OKです。
ほかにも、本尊を守ってきた《四天王立像》、運慶(うんけい)の孫・康円(こうえん)がつくった重要文化財《愛染明王坐像》など、神護寺に伝わる貴重な仏像が集結。
頭に十二支の動物をのせた、躍動感あふれる《十二神将立像》も見逃せない作品です。
8月14日(水)から、国宝《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)》は「金剛界」に展示替え。
さらに、平安仏画の傑作のひとつ国宝《釈迦如来像》、現存する最古のやまと絵屛風国宝《山水(せんずい)屛風》などが新たに公開されます。
神護寺が所蔵する文化財が一堂に集結する、50年ぶりの神護寺展です。
空海の生きた時代に思いをはせながら、神護寺1200年の長い歴史の重みを感じ取ってみてください。
※展示期間表記のない作品は通期展示