SPECIAL CONTENTS

PROMOTION

大地に耳をすます 気配と手ざわり/東京都美術館

5人の現代作家による多彩な作品を紹介。自然と人の関係性を見つめなおす展覧会【東京都美術館】

2024年8月3日

東京都美術館(上野公園)にて「大地に耳をすます 気配と手ざわり」が開催中です。

本展では、自然と深く関わり制作を続ける5人の現代作家、榎本裕一川村喜一倉科光子ふるさかはるかミロコマチコを紹介。

北海道や青森、奄美大島など自然と人の暮らしが重なる場で生まれた作品から、自然と人の関係性を改めて考えます。

モデル:五十嵐あきら(@akira_igarashi37)

都市・東京で自然と生きるよろこびを体感

写真家・美術家の川村喜一の作品《We were here.》。
本作は、39点の写真と約20点の立体作品などで構成されたインスタレーション作品です。

《We were here.》は、東京都美術館の展示空間のためにつくられた新作です。

川村喜一は、東京藝術大学大学院美術研究科終了後、2017年に「自然と表現、生命と生活」を学び直すために、北海道・知床に移住しました。

移住者である川村喜一が新鮮なまなざしで撮影した知床の日常。その風景が、東京都美術館の展示空間に広がります。

「大地に耳をすます 気配と手ざわり」は、写真撮影OK。気に入った作家の作品を撮影して、SNSでシェアしてみましょう。

絵画、写真、木版画・・・
多彩な作品で「自然」を紹介

美術家・木版画家のふるさかはるかは厳しい自然とともに生きる人びとに取材し、木版画をつくります。
〈ソマの舟〉は、山の素材を得て手しごとをする人たちへの聞き取りから生まれた木版画シリーズです。

展示室に入ると、青森の木立が目の前に広がるかのよう。
東京にいながら、凛とした青森の自然を体感することができますよ。

2001年から植物画を始めた倉科光子

本展では、東日本大震災の被災地に足を運び、浜辺や津波の浸水域に生えた植物を描いた作品〈tsunami plants(ツナミプランツ)〉シリーズを展示しています。

津波により、内陸の植物が浜に根を下ろしたり、何十年も地中にあった種が生えたりしたようすなどを描き出した本シリーズ。

どんな土地でもたくましく生きる植物の生命力が感じられる作品です。

榎本裕一は、東京と北海道根室市、新潟県糸川市の3つの拠点で活動する作家です。

本展では、根室の暮らしから生まれた近作と新作を展示します。

実際に凍った湖や沼を歩き、その足元を撮影したという《結氷》シリーズ。

展示室では、足元にあった風景が垂直に展示されています。

正面からだけではなく、作品の側面にも注目。細かな線が入っています。

この加工と厚みで氷を表現しているのだそう。いろいろな角度から鑑賞することで、見える風景も違ってくると思いますよ。

個性的な展示空間を使った新作にも注目

東京都美術館の個性的な展示空間をフルに使ったミロコマチコのインスタレーション作品《島》。

本作は、移住先の奄美大島の素材を使って東京都美術館で5日かけて制作された作品です。

自然と共に生きる奄美大島の人びとから、島で生きることを学びながら制作活動を続けているミロコマチコ。

《島》の外の壁に並ぶ作品は、絵本『みえないりゅう』の原画です。

奄美大島では身近な生きもののほか、精霊や龍など、島の人たちにとって身近な存在である見えない生きものが描かれています。

絵本『みえないりゅう』の原画をぐるりと鑑賞した後に、この《島》の中に入って奄美大島の自然を体感してみましょう。

展示室の奥にひっそりと立つ小屋には、奄美大島の森に入って制作した《うみまとう》を展示。
こちらは、制作風景も映像で紹介しています。

奄美大島の人たちにとって森は「神聖な場所」であり、神様がいると信じられているため、簡単に森の中に入らないのだそう。

ミロコマチコは、本作の制作について、次のように話しています。

「森の入口に「お邪魔する」という感覚でキャンバスを置き、ざわめきを感じとりながら手を動かしました。森は騒がしく、描きたいことが溢れてくるけど、足元は木の根や石だらけで自由に動けず、そんなことが表れた絵だと思う。」

こだわりの展覧会公式図録

奄美大島の金井工芸で染められた「泥染め」の布が付いた本展公式図録。

この泥染めの布を表紙の裏側に差し込んで、図録を完成させましょう。

泥染めの布の手ざわりを感じてみてくださいね。

「大地に耳をすます 気配と手ざわり」は、2024年10月9日(水)まで開催しています。

同展開催期間中の9月19日(木)からは、画家・田中一村(たなかいっそん、1908-77)の大規模な回顧展である「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」が開催されます。

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」公式サイト:https://isson2024.exhn.jp/

「田中一村展」では、神童と称された幼少期から、晩年過ごした奄美大島で描かれた作品を展示。

代表作のほか、近年発見された資料を多数含む構成で、画家・田中一村の画業を紹介する展覧会です。

そして、田中一村が晩年を過ごした奄美大島は、ミロコマチコが制作の拠点とする土地です。

9月19日(木)以降に、東京都美術館に足を運ばれる方は、ぜひ「大地に耳をすます 気配と手ざわり」も一緒にご覧ください。

Exhibition Information