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2025年3月26日
美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-/細見美術館
喜多川歌麿『ねがひの糸口』寛政11年 国際日本文化研究センター【通期展示・場面替有り】
浮世絵のジャンルのひとつである「春画」。
2013年に大英博物館(イギリス)で春画の展覧会開催以降、国内でも紹介され始めています。
春画とは、男女の姿がおおらかに、時にはユーモアをもって人間の性愛を描いた浮世絵です。
江戸時代には「笑い絵」とも呼ばれていたのだとか。確かに、クスッとする作品もあります。
絵師不明『夢想の歳時記』江戸時代(19世紀前期)【通期展示】
細見美術館(京都府)で、2024年11月24日まで「美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-」が開催中です。
細見美術館での春画の展覧会は、なんと8年ぶりの開催!
そこで、本記事の前半では、「春画」の鑑賞方法を。
後半では、ディープな「春画」のたのしみ方を紹介します。
後半は、刺激的な表現を含みます。18歳未満の方の閲覧はお控えください。また苦手な方もご注意ください。
それでは、美しい春画の世界をご紹介していきます!
月岡雪鼎『月次春画花卉画帖』江戸時代(18世紀後期)ミカエル・フォーニッツコレクション【通期展示・場面替有り】
肉筆春画とは、絵師が依頼主から注文を受けて描いた作品のことです。
通常の浮世絵版画と異なり、肉筆画は1点もの。
さらに、依頼主から相応の金額をもらって描かれるため、画材も質の良いものが使われました。
絵師が腕によりをかけて描かれる肉筆画。
なかでも、肉筆春画は人物の肌の質感や、女性がまとう着物の模様などがとても細かく描かれています。
こうした表現は、肉筆春画ならではの美しさです。
鳥文斎栄之『色模様肉筆春画画帖』(部分)寛政7年【通期展示・場面替有り】
春画を語る上で外せない絵師といえば、鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)。
《色模様肉筆春画帖》は、ため息が出るほど美しい作品です。
男女の表情も、とても穏やかですね。
(左)鳥文斎栄之『四季競艶図』寛政年間 ミカエル・フォーニッツコレクション ※春・夏は2024年10月14日まで展示
鳥文斎栄之の描く春画は色彩が豊かで、とにかく豪華!
《四季競艶図》も必見です。
本作は四幅対の肉筆春画で、それぞれ春夏秋冬を表す作品。
前期は春と夏を。後期からは秋と冬が展示されます。
「春画=個人で密かにたのしむもの」。
そう思われがちですが、実は「縁起物」として嫁入り道具とされた作品もあります。
勝川春草『初宮参図巻』天明3~6年 似鳥美術館【通期展示・場面替有り】
《初宮参図巻》は、ある夫婦のお見合いから出産、初宮参りまでを描いた全12場面で構成される絵巻物です。
どうして春画が嫁入り道具に?
理由は諸説ありますが、夫婦生活の一部を描いた本作は、指南書のような役割をしていたと考えられます。
当時はまだ学校がない時代。あっても寺子屋は男子が主に通うところでした。
現代のような教育制度ができる前は、母から娘へ春画を通して夫婦について教えていたのではないでしょうか。
春画は、大切なことを教えてくれる絵画作品でもあったということですね!
ミュージアムショップでは、春画をテーマとしたユニークなグッズも販売中です。
春画みくじクッキー 1,296円(税込)
こちらは、春画みくじクッキー。食べると春画があしらわれた一風変わったおみくじが出てきます。
春画香 1,430円(税込)
春画香は、運命の赤い糸を連想させる赤いひも状のお香です。
好きな長さに切って使える優れもの。花の甘さが感じられる濃厚な香りです。
その他にも、本展展示作品をあしらったグッズが盛りだくさん。
ミュージアムショップもお見逃しなく。
刺激的な表現を含む作品もご紹介します。
18歳未満の方や苦手な方は、この先はご注意ください。
それでは、春画本来のたのしみ方を体感してみましょう・・・。
葛飾北斎『肉筆浪千鳥』文化7年~文政2年【通期展示】
葛飾北斎の幻の名品《肉筆浪千鳥》を日本の美術館で初公開!
本作は、すべての線と色が北斎の手で描かれた正真正銘の一点ものです。
北斎ファンの方、必見ですよ。
さらに、北斎春画の傑作である《浪千鳥》と《富久寿楚宇》と並べて展示します。
葛飾北斎『富久寿楚宇』(左)と『浪千鳥』(右)共に文化7年~文政2年【通期展示】
今まで紹介してきた春画は、巻物や版本でした。
それでは、こちらの春画はどのようにたのしむのか、一緒に考えてみませんか?
喜多川歌麿『夏夜のたのしみ』享和年間~文化3年【通期展示】
喜多川歌麿の大作《夏夜のたのしみ》です。
横幅1mを超える大きな掛軸に、若い恋人たちが描かれています。
掛軸は、原則的に床(とこ)に掛けて複数人で鑑賞する絵画です。
一体この掛軸は、どこに飾られて、どんな人たちが鑑賞したのでしょうか。
時代は進みますが、明治期の華族の邸宅にはビリヤード室がありました。
そこは女性禁制の男性の社交場。その室内には、女性の裸婦画が飾ってあったのだとか。
江戸時代にも、歌麿の大作を飾ったサロンのような場所があったのかもしれませんね。
そんなふうに考えながら鑑賞すると、より深く展示をたのしめるかもしれません。
喜多川歌麿『夏夜のたのしみ』(部分)享和年間~文化3年【通期展示】
1点ものである「肉筆春画」に焦点を当て、春画の美しさを紹介する本展。
日本の美術館では初公開となる作品も、多く紹介されています。
細見美術館がある京都は、そろそろ紅葉の季節。
この秋は景色とアートをたのしみに、京都観光をしてみては?
[前期]9月7日~10月14日
[後期]10月16日~11月24日