
風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
歌舞伎を描く―秘蔵の浮世絵初公開!/静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)
静嘉堂@丸の内にて、「歌舞伎を描く―秘蔵の浮世絵初公開!」が開催中です。
美人画と並ぶ浮世絵二代ジャンル・役者絵。
京都で阿国歌舞伎が流行した1596~1615(慶長)年には、歌舞伎をテーマにした絵が描かれ始めていました。
その後1765(明和2)年に「錦絵」が誕生すると、それまでの表現が一変します。
憧れのスターを色鮮やかに表現した役者絵は、ブロマイドのように流行します。
今でいう、“推し活”の一環として親しまれることもあったようです。
本展では、静嘉堂の浮世絵コレクションを通して、役者絵の歴史をたどります。
展示は近世初期風俗画の優品「歌舞伎図屏風」からスタート。
歌舞伎踊が生まれる前のこと、戦国時代の終わりに「ややこ(幼女)」数人による「ややこ踊」が広まりました。
本作は土間に集まった人びとがややこ踊を見ながら、煙草や飲食を楽しむようすが描かれています。
太平の世が訪れた江戸時代初期の人びとの熱気を感じられますよ。
本年は、歌川国貞の弟子で、“明治の写楽”と言われた豊原国周(とよはら くにちか)の生誕190年です。
明治になっても役者絵を描き続けた国周。
芝居と役者を知り尽くした彼だからこそ描ける錦絵は、まるで観劇しているかのような心地のするものばかりです。
師匠・歌川国貞や、その弟子など歌川派全盛期の名だたる絵師の浮世絵も展示。
国貞は三代目歌川豊国と名乗り、錦絵界の重鎮でした。
チラシを見て気になっていた「今摺ったような錦絵」という文言。実際に鑑賞するとあまりの鮮やかさに驚くこと間違いなしです。
また、国周は宵越しの金は持たないという、まさに江戸っ子気質なエピソードも沢山あります。
そんな武勇伝は・・・展示室で実際に確認してみてくださいね。
本展では、「芝居町 新吉原 風俗鑑」を展示。
本作は、江戸を代表する歓楽街だった芝居町、新吉原の情景を計12図で描いた傑作です。
芝居が開幕する前のわくわく感を描いた情景や楽屋のようす、興行が終わりみんなで宴会するようすといった、歌舞伎小屋での一日を網羅した、歌舞伎ファンにはたまらない画帖です。
無落款(サインが無い)ですが、卓越した描写力などから国貞(三大豊国)以外に描ける絵師はいないとされ、現在は国貞の作とされています。
歌舞伎の歴史とともに優雅な浮世絵コレクションを鑑賞できる本展。
本展では前後期で浮世絵作品が全て入れ替わります。2度楽しめる展覧会、この機会をお見逃しなく♪
浮世絵版画は総入れ替え
前期]:1月25日~2月24日
後期:2月26日~3月23日