風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
重要文化財の秘密/東京国立近代美術館
東京国立近代美術館にて、2023年3月17日より重要文化財に指定された作品のみを紹介する展覧会が開催します。
重要文化財とは、1950年に公布された文化財保護法に基づき、日本に所在する建造物や美術工芸品、考古資料などの有形文化財のうち、日本の文化史上貴重なものなどについて文部科学大臣が定めたものの総称です。そのうち特に優れたものが「国宝」に指定されます。
2022年11月現在の国宝は906件、重要文化財は10,872件指定されています。しかし、来春開幕予定の「重要文化財の秘密」展で紹介される明治以降の絵画、彫刻、工芸に注目してみると、国宝0件、重要文化財は68件指定と、まだ国宝の指定がないとのことです。
(左から)鈴木長吉 《十二の鷹》(部分) 重要文化財 1893(明治26)年 国立工芸館蔵
高橋由一 《鮭》 重要文化財 1877(明治10)年頃 東京藝術大学蔵
新海竹太郎 《ゆあみ》 重要文化財 1907(明治40)年 東京国立近代美術館蔵
いずれも、通期展示
そこで本展では、明治以降の絵画、彫刻、工芸の重要文化財に指定された作品を51点を展示。重要文化財のみで構成される展覧会は、今回が初めてとなります。
一見すると同館が所蔵する「名品展」というイメージがありますが、そうではありません。
今でこそ「傑作」と呼び声高い作品も、発表された当初はそれまでにない新しい表現を打ち立てた「問題作」でもありました。
本展では、そうした作品がどのような評価の変遷を経て、重要文化財に指定されるに至ったのかという「美術史の秘密」にも迫ります。
(左から)岸田劉生 《麗子微笑》 重要文化財 1921(大正10)年 東京国立博物館蔵
展示期間:4月4日~5月14日 Image:TNM Image Archives
高村光雲 《老猿》 重要文化財 1893(明治26)年 東京国立博物館蔵
通期展示 Image:TNM Image Archives
竹内栖鳳 《絵になる最初》 重要文化財 1913(大正2)年 京都市美術館蔵
展示期間:5月2日~5月14日
黒田清輝 《湖畔》 重要文化財 1897(明治30)年 東京国立博物館蔵
展示期間:4月11日~5月14日
また今回は、東京国立近代美術館の所蔵品・寄託作品計13件の重要文化財をまとめて公開した、開館60周年記念展「美術にぶるっ!」展以降に指定された作品や、国立工芸館の鈴木長吉《十二の鷹》も加えた16件をまとめて公開します(会期中展示替えあり)。
鈴木長吉 《十二の鷹》 重要文化財 1893(明治26)年 国立工芸館蔵
重要文化財は保護の観点から貸出や公開が限られています。そうした第一級の作品が一堂に会す本展は、大変貴重なものです。
日本の近代美術の魅力を再発見する本展。続報もお楽しみに。
展示作品、展示期間、開館日等変更になる場合があります。最新情報は展覧会公式サイトをご確認ください。