塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
企画展「Let’s Travel! 絵の中を旅しよう!」/ホキ美術館
写実絵画専門美術館として親しまれているホキ美術館。そんな同館で2023年5月21日まで、写実画家たちによる「風景写実画」を紹介する展覧会が開催中です。
大畑稔浩「仰光 – 霞ヶ浦」2008年
風景写実画をまとめて紹介する本展では、国内のみならず世界の風家を写実的に切り取った作品を展示。世界中を旅するように絵画を楽しむことができる展覧会です。
世界でもまれな写実絵画専門美術館として、2010年に千葉市緑区に開館したホキ美術館。創立者、保木将夫氏(1931-2021)が収集した写実絵画作品約500点を収蔵しています。
ホキ美術館外観 Photo by Noda
回廊型のユニークな形をした同館の計9つのギャラリーでは、森本草介(1937-2015)や野田弘志(1936-)など約60名の現代作家による写実絵画約120点を常時鑑賞することができます。
野田弘志「神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ―」2021年
2021年11月に同館の新収蔵品となった野田弘志の「神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ―」は、野田が構想を含め7年の歳月をかけ完成させたホキ美術館所蔵最大の作品!本作を展示するために、展示室の壁も特注で作り直したといいます。
本作についてのレポートはこちらをチェック!
ホキ美術館は、2011年に日本建築家協会「日本建築大賞」をはじめとする数多くの賞を受賞しています。
そんな鑑賞に最適な展示空間で、国内外の風景を描いた写実絵画を楽しむ本展。見どころの作品を広報担当者に聞いてみました◎
原雅幸「光る海」2010年
大阪府のとある田園風景を描いた本作。奥の海は関西国際空港が開港した際、埋め立てられてしまい今はもう見れないのだそう。
原は自身の記憶を元に、本作を描いたといいます。写真とは違う、作家独自の記憶が残った作品に注目です。
中西優多朗は2000年生まれの現在22歳。16歳に第2回ホキ美術館大賞に応募し最年少で入選後、美大に進み、3年後の第3回ホキ美術館大賞で「次の音」という作品で大賞を受賞しました。
中西優多朗「夜の鴨川」2020年
京都の鴨川の夜を描いた本作は、本展で初めて展示される作品です。
一見するとまるで写真のようなリアルさ!しかし、波のところを目をこらして観てみると、絵具特有の質感が観ることができます。
若く鋭い感性で描き出された本作を、ぜひ会場で観てみてください。
若き写実画家の発掘と支援のために、2013年に創立されたホキ美術館大賞。40歳以下の写実画家を対象に3年に一度開催されています。
本展と同時期開催の「第4回ホキ美術館大賞展」は、2023年2月27日まで開催中。今回の応募総数は82点の中から25点の入選作品を展示しています。
ホキ美術館大賞特別賞は、来館者の投票で決定します。本展と一緒に気に入った現代写実画家の作品に投票してみてはいかがでしょうか。
歴代の受賞作品もあわせて展示。「夜の鴨川」を描いた中西優多朗の「次の音」も展示されていますよ◎
現代の写実画家が描いた「写実風景画」を中心に紹介する「Let‘s Travel!-絵の中を旅しよう!」展。
写実画家の視点で描かれた風景の中には、写真とは違う温かみも感じます。さらに、各画家ならではの技法も観ることができますよ。
羽田裕「夕映 サンタ・キアラ教会」2020年
遠くまで旅行がまだまだ難しい今だからこそ、美術館で旅行気分を味わってみては?