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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
「10分でわかるアート」は、世界中の有名な美術家たちや、美術用語などを分かりやすく紹介する連載コラムです。
作家たちのクスっと笑えてしまうエピソードや、なるほど!と、思わず人に話したくなってしまうちょっとした知識など。さまざまな切り口で、有名な作家について分かりやすく簡単に知ってもらうことを目的としています。
今回は、一度は生で観てみたい「日本と海外の有名な彫刻」をご紹介します。
「この作品を作った作家についてもう少し知りたい!」「美術用語が難しくてわからない・・・」そんな方のヒントになれば幸いです。
彫刻とは、石や木材、金属、プラスチックといったさまざまな素材を用いて、彫る、刻む、鋳造する、組み立てるといった手法でつくられる立体的な美術作品です。
彫刻の種類として下記ものが挙げられます。
・石膏:石膏を用いて型取られた立体像。学校の美術室でよく見かけますね。
・木彫:木材を素材にして形や模様を彫った立体像。
・ブロンズ像:青銅でつくられた立体像。色が経年変化するのが特徴です。
・石像:石を刻んで形作った立体像。
結論から言うと、理想の美を追求してきたのが西洋の彫刻、人間らしい美を追求してきたのが日本の彫刻です。
日本では、近代まで仏像が多く製作されてきました。代表的な仏像としては鎌倉の大仏や運慶の金剛力士立像などが挙げられます。
鎌倉大仏 (国宝)
明治時代以降は、高村光太郎や浅倉文夫などにより西洋文化に影響を受けた彫刻作品が制作されるようになりました。
日本の彫刻作品には、細部までこだわった写実的な表現の豊かさが垣間見えます。
西洋彫刻は、古代ギリシャ・ローマ時代に起源します。
神に捧げるものとして「理想的な美しさ」が描かれてきました。代表的な作品として《ミロのビーナス》があります。
スフマート編集部 撮影
スフマート編集部 撮影
その後、ミケランジェロやロダンの登場により新たな表現が生まれ、生きている人間をモチーフにした彫刻が製作されるようになっていきました。
《ダビデ像》
ミケランジェロ・ブオナローティ 1501-1504年 イタリア・フィレンツェ アカデミア美術館
ルネサンス最盛期に活躍したイタリアの彫刻家ミケランジェロ(1475-1564)の作品。
1501年から1504年の間に制作されたもので、旧約聖書における古代イスラエル王ダビデの勇姿がモチーフとなっています。
高さは5.17メートルにも及び、重さは約6トンもあります。
レオナルド・ダ・ヴィンチに匹敵するほどの天才から生み出された作品は、時を超えて多くの人に感動を与えています。
《考える人》
「近代彫刻の父」と称されたオーギュスト・ロダン(1840-1917)の代表作の1つ。
近代彫刻の中でも最も有名な作品でもあります。
《考える人》は《地獄の門》の一部として製作されたもので、地獄を見下ろして人間の運命を思案する姿を描いたものとされています。
今では世界各地で小型、中型、大型サイズの《考える人》像が鋳造され、親しまれています。
《金剛力士像》
奈良・東大寺南大門に設置されている高さ8mを超える巨像。国宝にも指定されています。
鎌倉時代を代表する彫刻作品であるとともに、運慶(うんけい)の最も有名な作品でもあります。
筋骨隆々でにらみつけるような表情は迫力満点。
また、筋肉の筋や浮き上がった血管、衣服のしわなど細部まで写実的に表現されているのも特徴的です。
《手》
大正から昭和にかけて活躍した高村光太郎(1883-1956)の作品。高村光太郎は詩人としても著名な人物です。
こちらの作品は34歳の光太郎自身の手をモデルに制作されました。貧乏でモデルを雇うお金がなかったためです。
手の形は仏像から着想を得ており、人びとの恐れを取り去るという意味の印を結んでいます。
彫刻家として生きていく決意が込められた作品とされています。
本作は、東京国立近代美術館が所蔵しています。
国立西洋美術館
東京の上野公園にある美術館。1959年に設立され、西洋の美術作品を専門に展示しています。
《考える人》、《地獄の門》といったオーギュスト・ロダンの作品を中心に、フランス近代彫刻を本館、新館、前庭で常時鑑賞できます。
公式サイト:https://www.nmwa.go.jp/jp/
撮影:スフマート編集部
朝倉彫塑館
東京の日暮里にある美術館。朝倉文夫のアトリエ兼住居を改装して建造されたものだそうです。
彫刻家としてはじめて文化勲章を受章した朝倉文夫の作品が展示されています。
なお、「彫塑」(ちょうそ)とは、石や木を彫る「彫刻」と粘土などやわらかい素材で形をつくっていく「塑造」を合わせた言葉です。
オリーブの木や四季折々の花が咲く美しい屋上庭園もみどころ。
公式サイト:https://www.taitogeibun.net/asakura/
ルーブル彫刻美術館
三重県津市にある美術館。パリのルーヴル美術館の姉妹館として建設されました。
展示されている作品も、本場のルーブル美術館所蔵の作品から直接型を取り、完全復刻されたものになります。
《ミロのビーナス》が常設で展示されているのは日本ではここのみ。
公式サイト:https://www.louvre-m.com/
彫刻というと、なんとなく難しそう・・・というイメージがありますが、仏像や二宮金次郎像など身近に触れているのでもあります。
その歴史は古く、絵画とは違った魅力がたくさんあります。
少しでも興味を持っていただけたら、彫刻作品が楽しめる場所にぜひ訪れてみてくださいね。
【参考文献】
・堀越啓『西洋美術は「彫刻」抜きには語れない 教養としての彫刻の見方』翔泳社2022年4月22日
・田中修二『近代日本彫刻史』国会刊行会 2018年2月1日