「未知なる世界と出会う —英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」/東京都渋谷公園通りギャラリー

イギリスのアール・ブリュット作品が渋谷に集結【東京都渋谷公園通りギャラリー】

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2025年6月24日
イギリスのアール・ブリュット作品が渋谷に集結【東京都渋谷公園通りギャラリー】

展示風景

東京都渋谷公園通りギャラリーにて、「アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.4 未知なる世界と出会う―英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」が開催中です。

「アール・ブリュット ゼン&ナウ」は、国内外のアール・ブリュットの動向において、長く活躍を続ける作家と、近年発表の場を広げつつある作家を、さまざまな角度から紹介する展覧会シリーズです。

第4回目となる本展では、イギリスの作家11名を紹介します。

日本初紹介の作家も!
イギリスのアール・ブリュット作品を一堂に展示

ジェニファー・ギルバート氏

アール・ブリュットとは、1940年代にフランスの芸術家ジャン・デュビュッフェによって提唱されたことばです。

その意味はひろくは、専門的な美術の教育を受けていない人などによる、独自の発想や表現方法が注目されるアートを表します。

本展では、イギリスのアール・ブリュット分野のレジェンド作家であるマッジ・ギルをはじめ、日本初紹介となる作家の作品も多数紹介します。

また、本展のキュレーションはイギリスを拠点に活動するギャラリスト、フリーランスのプロデューサーのジェニファー・ギルバート氏が担当。

イギリス人キュレーターが注目する幅広い世代の作品を紹介することで、イギリスのアール・ブリュットの現在地を映し出します。

気になる展示作品をチェック!

11名のイギリス人作家による作品を展示する本展。その中でも編集部が気になった作品をピックアップしてご紹介します。

マッジ・ギル

(左)マッジ・ギル《Untitled》1940年頃 個人蔵/(右)マッジ・ギル《Untitled》1945年頃 個人蔵

マッジ・ギルは、イギリスでも有名なアウトサイダー・アーティストとして知られています。

ギルはすでに亡くなっていますが、その作品は2024年のヴェネツィア・ビエンナーレの『Foreigners Everywhere』展で展示され、近年再び注目を集めている作家でもあります。

自分が「ミルニネレスト」という名前の精霊に導かれていると信じていたのだそう。
ギルは、精霊の力によって自動的に生み出されたという芸術作品を多く残しています。

特徴的なインク画は、ぜひじっくりと会場でご覧ください。

カーラ・マクウィリアム

カーラ・マクウィリアム《Crowding at the Portals of Impermanence》2025年 Courtesy of the artist and Jennifer Lauren Gallery

複雑な形をしたこちらの作品。実は、接着剤などが使用されていません。

マクウィリアムはエネルギーに魅了された、さまざまな表現分野で活動するアーティストです。

そのエネルギーとは、物理的なものや感情的なものから始まって、形而上学的なものまで幅広いものを指しています。

オートマティズムなプロセスを好むマクウィリアムは、何層にも重なる複雑な作品が多く、常に直観と目には見えない力が働いています。

完成された作品であるはずなのに、どこかハラハラしてしまう。
そんな不思議な気分になる作品です。

キャメロン・モーガン

(左)キャメロン・モーガン《Happy Go Lucky with Polaroids》2024年/(中央)キャメロン・モーガン《Say Cheese》2024年/(右)キャメロン・モーガン《The Laughing Camera》2024年 いずれも、Courtesy of the artist and Project Ability

最後はカラフルなカメラの作品を紹介。
モーガンは、1991年からグラスゴーのプロジェクト・アビリティ・スタジオで活動するアーティストです。

絵画に陶芸、さらに刺繡とさまざまな分野で、明るく「ポップな」色使いの作品を制作しています。

モーガンの友人が長年所有していたカメラを再解釈した本作。カメラにそそぐ愛情に焦点を当てています。

カメラは陶器でできていますが、肩掛け紐の部分は刺繡で表現されています。

白黒の部屋とカラフルな部屋
2つの展示室にも注目

展示風景

本展では、出展作品を白黒の作品とカラフルな作品で分け、2つの展示室で紹介しています。

白黒の作品が並ぶクラシカルな雰囲気の部屋では、女性がモチーフの作品のほか、優美で有機的な形や線が印象的な作品が展示。

展示風景

一方で、カラフルでポップな印象を受ける部屋では、不思議な生き物や、どこか懐かしいカメラなど、多彩なモチーフの作品が並びます。

本展は、写真撮影OK!*
*動画撮影不可。その他、撮影の注意事項は館の案内をご確認ください。

気になる展示作品を、SNSで共有してみてはいかがでしょうか。

 

イギリスのアール・ブリュットの現在地を紹介する展覧会「アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.4 未知なる世界と出会う―英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」。

会期中には、イベントも開催されます。詳しくは、東京都渋谷公園通りギャラリーの公式サイトをご確認ください。