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2026年9月7日
月と星と — 美術がつなぐとき/千葉市美術館

第3部展示風景より、三沢厚彦の作品
千葉市美術館にて「月と星」をテーマにした特別展「月と星と―美術がつなぐとき」が2026年11月23日(月・祝)まで開催中です。
古くから人びとの信仰の対象であり、方角を示してきた、月や星にまつわる多彩な表現を紹介する展覧会です。
展示は全3部構成。
第1部と第2部では千葉の歴史や信仰、天文学に関する資料などを展示、第3部では現代アーティストによる作品が登場します。
企画展示室だけでなく館内各所に作品が配置されています。
漫画家の西島大介によるスタンプラリーも用意され、宝探し気分で会場を巡りながら鑑賞を楽しめます。

スタンプラリー
2026年は、平安時代後期に平常重が現在の千葉市周辺に本拠地を構えて「千葉」と名乗り、千葉のまちがひらかれてから900年にあたる節目の年です。
千葉氏が一族の守り神として信仰したのが、北極星や北斗七星を神格化した「妙見(みょうけん)」でした。

【千葉県指定有形文化財】《千葉妙見大縁起絵巻》 室町〜江戸時代(享禄元年(1528)/天文19年(1550)奥書、延宝6年(1678)補修・絵) 榮福寺蔵
第1部では、ふだんは非公開の《千葉妙見大縁起絵巻》が千葉市美術館で28年ぶりに公開されています。
童子姿の妙見菩薩が千葉氏のもとに現れ、危機を救うようすなどを描いた絵巻です。
千葉妙見の姿を絵画で確認できる、唯一最古の資料とされています。
現代美術家の宮島達男が手がけた大型インスタレーション《地の天》が、修復後初公開されています。直径約10メートルの円形の中に、1〜9の数字が星座のように浮かび上がる作品です。
修復によって197個すべてのLEDを交換し、美しい光の世界がよみがえりました。

宮島達男《地の天》 1996(平成8)年 千葉市美術館
長らく保管され損傷のあった《妙見尊出現之図》も、修復後初のお披露目です。
日本画家の田岡春径による幅8メートルを超える巨大な壁画は《千葉妙見大縁起絵巻》をベースにしており、妙見菩薩の加護を受ける千葉氏の伝説が描かれています。

田岡春径《妙見尊出現之図》 昭和42年(1967) 千葉市立郷土博物館
第3部では、国内外で活躍する現代アーティスト9組が、新作や未発表作を含む、月や星をテーマにした作品を発表しています。
絵画やドローイング、映像、彫刻など、幅広いジャンルの表現が楽しめます。

フォトセッション
青木野枝は、宇宙や地球の成り立ちに深く関わる光やエネルギーを、鉄やガラスといった素材を用いて表現しています。

青木野枝《光体》 2026(令和8)年 作家蔵
髙田安規子・政子は、地球の自転軸の変化によって、北極星が長大な周期で移り変わる現象に着目。
宇宙の壮大な時間を、日常の感覚に置き換えた作品を制作しました。

髙田安規子・政子《A story of Polaris across 25,772 years》 2026(令和8)年 作家蔵
渡辺泰子は、羊毛フェルトを用いて、中世ヨーロッパの「空のベールをめくって宇宙をのぞこうとする旅人」の想像図をモチーフにした巨大な作品を手がけています。

渡辺泰子《Dear outside》 2017(平成29)年 作家蔵
中国・南宋時代の世界最古の実測星図の拓本や、江戸幕府初代天文方による日本初の星図など、歴史的価値の高い資料も見逃せません。

第2部展示風景より(右)王致遠《淳祐天文図》 南宋・淳祐7年(1247) 千葉市立郷土博物館
さらに、16世紀の最も美しい科学書とされる『皇帝の天文学』や、コペルニクスによる地動説を立証したガリレオ・ガリレイ『天文対話』の初版本、ドイツの巨匠アルブレヒト・デューラーが描いたヨーロッパ初の天球図といった、世界的にも貴重な資料が並んでいます。

ガリレオ・ガリレイ『天文対話』 1632年 千葉市立郷土博物館
月や星を題材にした、日本美術も紹介されています。
葛飾北斎の『冨嶽百景』三編《鳥越の不二》には、幕末まで存続した浅草天文台が描かれています。

葛飾北斎『冨嶽百景』三編《鳥越の不二》 天保5-7年(1834-36)頃 千葉市美術館
鑑賞の後は、1階のミュージアムショップでおみやげを探すのも楽しみのひとつ。
三沢厚彦の「Animals」をモチーフにしたグッズには、A5クリアファイルや、2027年版のカレンダー、ぷくっとした質感が楽しいシールなど、日常使いできるアイテムがそろっています。

さまざまなグッズが並ぶミュージアムショップ
宮島達男の作品に登場する数字をモチーフにしたステッカーや、展示作品のポストカード、出展作家の作品集、宇宙に関連する書籍なども用意されています。
ミュージアムショップのみの利用も可能です。

ミュージアムショップ(上)宮島達男「数字ステッカー」
A.全180点の作品が、複数の階に分かれて展示されています。
映像作品も多数あるため、写真を撮りながらじっくり鑑賞するなら、2時間程度はみておくとよいでしょう。
A.第1部および第2部の展示エリアでは、撮影可のマークが添えられている作品に限り写真撮影が可能です。
第3部の現代アートのエリアは、一部を除き、ほとんどの作品が撮影できます。
A.JR千葉駅東口から徒歩約15分。バスを利用する場合は、「大学病院」または「南矢作」行きに乗車し、「中央3丁目」または「大和橋」で下車、徒歩約3分です。
千葉都市モノレール「葭川(よしかわ)公園駅」から徒歩5分、京成千葉中央駅東口からは徒歩約10分と、複数の路線からアクセスできます。
A.一般1,500円、大学生1,000円で、小・中学生、高校生は無料です。
事前予約は不要で、美術館窓口や各種プレイガイドで当日券を購入できます。
金・土曜は20時まで開館しており、18時以降は観覧料が2割引になります。
また、10月18日(日)は「市民の日」のため無料で観覧できます。
A.1階さや堂ホールでは、空想上の動物キメラをモチーフとした三沢厚彦《Animal 2023-01》などを無料で鑑賞できます。
また、宮島達男の《地の天》に関するインタビュー映像も無料で公開されています。

1階さや堂ホールの展示(中央手前)三沢厚彦《Animal 2023-01》 2023年 千葉市美術館、(中央奥)三沢厚彦《Animal 2026-01》 2026年 作家蔵
現代アート好きはもちろん、千葉駅周辺で美術館巡りや週末のお出かけスポットを探している方にもぴったりです。
また、天文学などの科学に興味がある方や、星や宇宙について学んでいる方にもおすすめです。

第2部展示風景より(右下)ヨハン・ガブリエル・ドッペルマイヤー『最新天文図帳』 1742年 千葉市立郷土博物館
千葉開府900年を記念する本展は、歴史的資料から現代アートまで、人びとが月や星に寄せた思いをたどる、スケールの大きな展覧会です。
この秋は千葉市美術館で、時空を超えた壮大な宇宙の旅を楽しんでみませんか。

会場入口(右下)三沢厚彦《Animal 2026-02》 2026年 作家蔵