観て、比べて、感じる。渋谷のUESHIMA MUSEUMで楽しむ現代アート。

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2026年9月15日

観て、比べて、感じる。渋谷のUESHIMA MUSEUMで楽しむ現代アート。

美術館の扉を開けると、入り口には本物そっくりの猫がすやすやと眠り、近くの鉢植えではカエルがひっそりと言葉を話しています。どちらもライアン・ガンダーによるロボットの作品です。


ライアン・ガンダー《Sowing confusion amongst the titles, or The squatters (Tiger meet Hiller’s Lucidity & Intuition: Homage to Gertrude Stein (2011))》2020 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

そんなユーモラスな光景に迎えられる東京・渋谷の美術館UESHIMA MUSEUM

2026年9月2日から第3回コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」がはじまりました。

同時開催の茶道具展「時のうつほ」もあわせ、現代アート初心者にもおすすめしたい展示の楽しみ方や見どころを紹介します。

UESHIMA MUSEUMとは?
渋谷のなかにある静かな現代アート空間

UESHIMA MUSEUMは、2024年に開館した現代アートの美術館。「同時代性」をテーマに集められた850点を超える「UESHIMA MUSEUM COLLECTION」から作品を紹介しています。

場所は渋谷駅と原宿駅のほぼ中間。にぎやかな通りから少し入った渋谷教育学園の敷地内にあり、作品と静かに向き合えます。


加藤泉《untitled》2024 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」

第3回コレクション展を手がけたのは、キュレーターの長谷川祐子さん。

地下1階の「消滅と風景」から、5階の「光と影――像を手放す場所へ」まで、フロアごとに6つのテーマで構成されています。

フロアを巡りながら展示を体感!
現代アート初心者にもおすすめしたい3つの見方

本展では作品に添えられたQRコードから解説を読めますが、まずは目の前の作品を自由に眺めてみるのがおすすめです。ここでは、展示を楽しむ3つの見方を紹介します。

ピカチュウも《モナ・リザ》も。
まずはじっくり、細部や「知っている像」との違いを探す。

現代アートを観るときにも、まずは作品をじっくり眺めてみましょう。

地下1階のラキブ・ショーによる大きな平面作品は、遠くから観るときらびやかな絵画ですが、近づくとそれは絨毯のようなテキスタイルでできています。


(左)ラキブ・ショー《The Pragmatic Pessimist》2024、(中央)三家俊彦《The Aluminium Garden -Structural Studies of Plants- Young Olive》2022、(右)アレクシス・ロックマン《Untitled(Ice Floe)》2006、いずれも UESHIMA MUSEUM COLLECTION

さらにその中には、燃やされる美術書や融ける氷の上に集まるホッキョクグマなどのモチーフが。

華やかな画面の奥に潜む違和感を探すうちに、地球環境や人間社会をめぐる不穏な物語が見えてくるようです。


ラキブ・ショー《The Pragmatic Pessimist》(部分)2024 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

作品を観る時には、自分がよく知っているイメージと比べると、面白さにも気づきやすくなります。

今津景が《Olive Sea》で描くのは、《モナ・リザ》から人物を消し去った風景。よく知っているはずの名画でも、背景まではよく見ていなかったことに驚くかもしれません。


今津景《Olive Sea》2012 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

1階のダニエル・アーシャム《BLUE CRYSTALIZED PIKACHU》は、見慣れたピカチュウが、未来で発掘された遺物のような姿に。


ダニエル・アーシャム《BLUE CRYSTALIZED PIKACHU》2020 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

また、2階には、アイ・ウェイウェイがシャガールの同名の絵画をレゴブロックで再構成した《I And My Village》と、シャガールのリトグラフ作品が並べて展示されています。


(左)アイ・ウェイウェイ《I And My Village》2023、(中央)アイ・ウェイウェイ《Table with two legs》2005、(右)マルク・シャガール《Le Cirque (Mourlot 511)》1967 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

レゴブロックで表現されることで元の作品からのイメージが変化しますが、よく見るとその作品には、元の絵にはない裸体のアイ・ウェイウェイの姿や、twitterアイコンの青い鳥の像も加えられていて、検閲などの問題について触れていることにも気づかされます。

このほか、2階では草間彌生、奈良美智、村上隆、ゲルハルト・リヒターといった、世界的に知られるアーティストの作品たちにも出会えます。


奈良美智《Hey! Ho! Let’s Go!》2011 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

自分たちの「いま」とつながるものを見つける。

説明を読まなくても、感覚的に心をつかまれる作品もあります。

明るい光が入る3階で目を引くのは、友沢こたおの《slime CLXXXIX》。作家自身を描いた人物の顔に、透明なスライムがまとわりついています。

その表情からは快・不快のどちらとも読み取れず、現代の生きづらさを重ねる人もいるかもしれません。

一方、スライムの冷たさや粘りを想像すると、自分の皮膚が意識され、「生きている」という実感も呼び起こされます。


(左)友沢こたお《slime CLXXXIX》2023、(右)タラ・ドノヴァン《Untitled》2024 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

4階に入ると、空気は一変。ピンク色の光のなかに、篠原有司男、森靖、金氏徹平らの大きな立体作品が並びます。

壁面にはEVERYDAY HOLIDAY SQUADやKINJOらの作品も。

都市の断片が集まり、渋谷のストリートが美術館の中へ入り込んだような空間です。


4F 「断片と都市」展示風景 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

光・音・空間を全身で楽しむ。

作品に近づいたり、耳を澄ませたり、光の中に身を置いたりするのもひとつの鑑賞体験です。


3F「肖像と隠蔽」展示風景 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

3階のアニカ・イ《Releasing the Human From the Human》は、光る球体の中をよく見ると、小さな虫のような影が飛び回り、小さな音も聞こえてきます。

「観る」だけではない体験が広がる作品です。


(左)オラファー・エリアソン《Shadow lamp》2005、(中央)オラファー・エリアソン《Mirror, mirror》2002、(左)オラファー・エリアソン《Holo Lamp》2025、 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

5階には、オラファー・エリアソン、ダン・フレイヴィン、フランシス真悟らによる光を扱った作品が並びます。

アリシア・クワデの《SunderState V》は、氷柱のようなガラスの奥に時計を置いた作品。

上から覗くと文字盤や針がぐにゃりと歪み、観る位置によって現実の見え方が変わる面白さを体感できます。


アリシア・クワデ《SunderState V》2025 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

「像(イメージ)」をテーマにしたこの展覧会は、地下からフロアを上がるにつれ、具体的なイメージから、最後は形がない光の作品へと作品の特徴が変化していきました。

茶道具展「時のうつほ」
時代や国も超える 茶道具の世界

最上階の6階では、陶芸家・建築家の奈良祐希さんがキュレーションした「時のうつほ」展が開催されています。

「うつほ」とは、器の内側にある空の部分のこと。

江戸時代につくられた樂一入(四代)による茶碗とともに、現代アーティストのシアスター・ゲイツや桑田卓郎らによる茶碗や、三嶋りつ惠によるガラスの花器など、時代や国を超え、さまざまな素材でつくられた器の美しさが感じられます。


(左)奈良祐希《Bone Flower》2022、(中央)シアスター・ゲイツ《Chawan / 茶碗》2026、(右)三嶋りつ惠《FRUTTO 2》2014 UESHIMA MUSEUM COLLECTION

「時のうつほ(お抹茶体験)+鑑賞セット」のチケットを選べば、館内の茶室「幹槐庵」で抹茶を味わう体験もできます。

展覧会概要

コレクション展「像は燃え、像は歪み、そして光に昇華する」

開催日:2026年9月2日 (水) ~

開催時間(日時指定WEBチケット制):

通常開館日:11:00 – 17:00(最終入場16:00)
夜間開館日:11:00 – 20:00(最終入場19:00)
※「時のうつほ(お抹茶体験)」は17:00閉場になります。

開催場所:UESHIMA MUSEUM B1~5F

入館料(税込):

(日本国内在住者)

一般 : ¥1,800
中高生 : ¥500
小学生以下 : 無料

時のうつほ(お抹茶体験)+鑑賞セット
一般 : ¥3,500
中高生 : ¥1,200
小学生 : ¥700
※「時のうつほ(お抹茶体験)」は17:00閉場になります。

休館日:月曜(月曜が祝日の場合は開館、翌平日休館)

公式サイト:https://ueshima-museum.com/

Q&A

Q. 2つの展覧会は同じチケットで見られますか?

6階の「時のうつほ」は、「時のうつほ(お抹茶体験)+鑑賞セット」のチケットでのみ鑑賞できます。後からセット券には変更できないため、予約時に選択しましょう。

Q. 現代アートや茶道に詳しくなくても楽しめますか?

ー色や素材、光、音、空間の変化から楽しめます。茶道具も、器の形や質感、使う場面を想像しながら見てみましょう。

Q. 作品の写真や動画は撮影できますか?

写真・動画の撮影が可能で、SNSへの投稿も可能です。(フラッシュの使用はNG)

Q. 鑑賞にはどれくらい時間がかかりますか?

地下1階から6階までゆっくり巡るなら、1時間30分から2時間程度が目安です。お抹茶体験を利用する場合は、さらに余裕を持たせると安心です。

Q. 予約は必要ですか?

日時指定のWEBチケット制です。公式サイトから事前に予約しましょう。入館時のほか、各フロアへの入場には予約のQRコードが必要です。

Q. 最寄り駅はどこですか?

渋谷駅から徒歩約10分です。原宿駅や明治神宮前〈原宿〉駅からも歩いてアクセスできます。

Q. 学生料金はありますか?

中高生の学生料金が設定されています。小学生は無料で入館可能です。

Q. 一人でも楽しめますか?

日時指定制で静かに鑑賞しやすく、一人で作品と向き合いたい人にもおすすめです。

まとめ|直感でも、意味を知っても楽しめる、現代アート体験

世界的に知られるアーティストから、若い日本人のアーティストまで、幅広い作品が展示される本展。

作品の背景を十分に知らなくても、じっくりと観るなかで発見があったり、感覚で楽しめたり、同じ時代に生きるアーティストたちの作品だからこそ、直感的にその面白さが伝わってくるようにも感じられます。

一方、気になる作品が見つかったら、QRコードの解説からその背景を知ると、その直感的な面白さの裏にあった意味を知り、より楽しめる展覧会でした。

Museum Information

美術館情報
UESHIMA MUSEUM
住所
東京都渋谷区渋谷1-21-18 
渋谷教育学園 植島タワー
公式サイト
公式サイトはこちら