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2024年11月1日
国立新美術館開館15周年記念 李禹煥/国立新美術館
李禹煥《関係項—鏡の道》2021/2022年 作家蔵
世界的にも注目を集めてきた「もの派」として知られる現代美術家・李禹煥(リ・ウファン)。そんな李禹煥の初期作から新作までをおさめた、東京では初となる大規模な回顧展「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催中です。
人が受けるありのままの体感にこだわりを持つ李禹煥の個展。雑念の中を生きる私たちにゆっくり呼吸をする大切さを教えてくれます。ものや情報があふれている現代、李禹煥が創り出す世界観に魅了されることでしょう。
今回は、李禹煥と本展の魅力についてご紹介します。
★ページ下部にチケットプレゼントもあります★
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示風景
李禹煥と本展の魅力を語るうえで、欠かせないのが「もの派」という名称について。もの派とは、自然なもの・未加工なものの素材をありのままで作品に使った1968年頃生まれの美術家グループです。明確なメンバーやマニフェスト、起源はありませんが「ありのまま」の芸術理念を持っていました。
そして「もの派」と呼ばれる芸術表現をけん引した中心人物のひとりが、李禹煥です。
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示風景
作品の合間に現れる、壁に書かれた李禹煥の言葉。シンプルながら深さを感じる一文も、本展の見どころです。
「もの派」に至る前の初期作品から、彫刻の概念を変えた〈関係項〉シリーズ、空間的な絵画シリーズなど、代表作も楽しむことができます。
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示室入口
李禹煥は1936年、韓国・慶尚南道(キョンサンナムド)に生まれました。人里離れた地域で、4人兄弟の長男として育った李禹煥。幼少期から、詩、書、画を学べる豊かな環境に恵まれたことが、彼の作風に大きな影響を及ぼしているようです。
読書と文学に没頭していたという思春期のあと、ソウル大学校美術大学に入学。その後1956年に来日し、日本大学文学部で哲学を学びます。
大学卒業後の1968年、東京で開催された展覧会「トリックス・アンド・ヴィジョン 盗まれた眼」を訪れ心を揺さぶられた李禹煥は、同年に代表作でもある〈関係項〉の初期作を制作。そして、李禹煥にとって重要な「もの派」と出会いました。
李禹煥は現在でももの派を代表するひとりとして活動を続けており、2011年にニューヨークのグッゲンハイム美術館、2014年にフランスのヴェルサイユ宮殿、2019年には同じくフランスのポンピドゥー・センター・メッスで個展を開催。国内では、2010年に香川県直島町で安藤忠雄設計の「李禹煥美術館」が開館しました。
本展は、2005年に横浜美術館で行われた「李禹煥 余白の芸術展」以来の大規模な個展となります。
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示風景
作品とのあいだに流れる心地良い空気感からファンになる人も多い、李禹煥の作品。それもそのはず、彼は芸術を概念や意味の世界から解き放ち、ものと人、ものともの、ものと空間、ものとイメージの関係を大事にしているからです。
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示風景
また、李禹煥によれば今回の展覧会では、これまで半世紀近い間にやってきたことを脈絡をつけて見せたいという気持ちがあり、展示構成も李禹煥自身が手がけました。
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示風景
そのため彫刻と絵画のどちらか一方に肩入れをせず、両面をうまく引き立てるような構成をしてみたという会場は、鑑賞者が分かりやすいように作品が並べられています。
李禹煥《風景Ⅰ,風景Ⅱ,風景Ⅲ》1968/2015年 個人蔵(群馬県立近代美術館寄託)
最初の頃の暴力性、一種の否定性、あるいはズレ、その様なものを示すトリッキーな作品と李禹煥が語る初期の代表作。本作品は、1960年代末の勢いが盛んになった日本の傾向を反映しているそうです。
本展の最初に出迎えてくれる本作、強烈な蛍光色に目を奪われるでしょう。
李禹煥《関係項—棲処(B)》2017/2022年 作家蔵
李禹煥《関係項—星の影》2014/2022年 作家蔵
素材の特性を対比的に用いるのが特徴的な〈関係項〉シリーズ。
自分でわずかな手がかりを作れば、それによってその周りの色々な自分が関係していないものさまざまなものが反響して、反応して—。と話す李禹煥の表現の世界は、非日常的な空間を私たちに見せてくれます。
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展示風景
シンプルな点や線は、ひとつの空間の中で「もの」のあり様や「もの」の力などが表現されているという空間的な絵画シリーズ。
リズミカルな繰り返される点や線は、考えるという行為を忘れさせ、自分の呼吸を感じさせてくれます。
李禹煥《関係項—アーチ》2014/2022年 作家蔵
すでに李禹煥のファンだという方は、この彫刻作品をメインとして楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。2014年ヴェルサイユ宮殿で発表された同作品の原型である《関係項—アーチ》。
アーチの真ん中にある鏡面で仕上げられたステンレスは歩くことができます。天気や背景によって印象の変わる本作品。ぜひ実際に歩いて感じてみてください。
李禹煥《関係項—鏡の道》2021/2022年 作家蔵
本展では、李禹煥自身が考案した展示構成に合わせて、女優の中谷美紀さんがナビゲーターをつとめる無料の音声ガイドも利用できます。中谷美紀さんが実際に敬愛する李禹煥の作品紹介。優しい声を通して、その世界観をたっぷり味わえることでしょう。
李禹煥は公式インタビューで「彫刻でも絵画でも、ひとつの情報や知的な色々な概念でもって、認識に迫るっていうんじゃなくて。やっぱり現場に立って見る側の感覚というか呼吸というか、ある身体的な色々なバイブレーションの中で色々なものが響いてくるかどうかっていうことが最も大事」と話しています。
物語の結末を読者にゆだねる小説のように、李禹煥の創り出す作品もまた、私たちが思い思いに感じることができるのです。ぜひ、本展に足を運び、五感を研ぎ澄ましてみてください。
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