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2024年11月1日
河鍋暁斎 ―躍動する絵本/太田記念美術館
幕末から明治にかけて、狩野派でありながら浮世絵も数多く描いた絵師、河鍋暁斎(かわなべ きょうさい/1831-1889)。
近年、特に注目を集めており、全国各地の美術館で展覧会が開催されて、さまざまな肉筆画や版画が紹介されています。
河鍋暁斎『狂斎画譜』(前期展示風景より)
そんな今注目の絵師・暁斎を紹介する本展では、人物や動物、妖怪などを力強い筆づかいで描いた暁斎の絵本を中心に展示。
『暁斎漫画』や『暁斎鈍画(どんが)』、『暁斎酔画(すいが)』など、代表的な絵本を取り上げ3つのコーナーに分けて紹介します。
※展覧会詳細はこちら
1837年、河鍋暁斎は7歳の時に、浮世絵師である歌川国芳に入門しました。しかし、10歳の時には、日本絵画史上最大の画派である狩野派へ移り、そこで絵の修行に励みます。
20代後半から30代にかけては、世の中の出来事や事件、また風景を題材とした浮世絵版画を制作。その活動は、狩野派の絵師というよりは、浮世絵師に近いものでした。
河鍋暁斎『狂斎画譜』(前期展示風景より)
暁斎は30歳の時に、絵を主体とした「絵本」として『狂斎画譜(きょうさいがふ)』を刊行します。
本作には、町で暮らす人びとや七福神などの神様、さらには鬼や天狗などの妖怪が、楽しげな表情を浮かべてユーモラスに動き回る姿が描かれています。
河鍋暁斎『暁斎酔画』(前期展示風景より)
暁斎の絵本は一般的な浮世絵版画よりも小さいA5サイズ以下で、その画面内には、大勢の人びとの姿がみっちりと描き込まれています。
よく観てみると、祭りや儀式、あるいは、働いている人やくつろいでいる人など・・・
さまざまな人びとの姿が、暁斎のいきいきとした筆づかいで、表情豊かに表現されています。お持ちの方は、ぜひ単眼鏡でじっくりと観てみてください。
暁斎はがいこつを描くことを好んでおり、絵本の中にも多く登場します。
医学書を参考にしたかのような正確な骨格描写も、もちろん見どころですが、小さな画面いっぱいに描かれたがいこつたちのポージングに注目です。
河鍋暁斎『暁斎漫画』(前期展示風景より)
右側には、あぐらをかいて背伸びをするがいこつがいたり、不思議なダンスをしていたりと、表情のないはずなのに「いきいき」とした表情を見せているところに、思わずクスッと笑ってしまいます。
瓜生政和著・河鍋暁斎画『暁斎画談 外篇』巻之上(前期展示風景より)
本作は、7歳の時に弟子入りした浮世絵師・歌川国芳の作業場を描いたものです。右側にいるのが国芳で、幼い暁斎に対して、絵の手ほどきをしています。
ところで、国芳といえば、大の猫好きで知られています。
本作も国芳のまわりに注目してみると、たくさんの猫が! それも、国芳の描いている作品の上にドンと乗っかって、自由に過ごしているようすがコミカルに描かれています。
とても和む本作は、編集部のお気に入りの一作でもあります。
これまで、都内でも暁斎の作品を紹介する展覧会は、数多く開催されていますが、冊子状である絵本は展示しづらいこともあり、その一部しか紹介されていませんでした。
そのため、暁斎の「絵本」にだけ注目して紹介する展覧会は、とても珍しいとのこと。本展で展示されている絵本は、全部で13種類。その総ページ数は420ページを超えています。
前後期に分けてそのすべてを展示することで、「画鬼」と称された暁斎に迫る展覧会です。ふだん、なかなか観ることのできない貴重な機会となっているので、ぜひお近くの方は足を運んでみてください。
前期 :10月29日~11月23日
後期 :11月27日~12月19日
※前後期で全点展示替え