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ハローキティ誕生50周年!「キティとわたし」を紐解く展覧会
2024年11月21日
東京駅周辺は美術館が豊富なエリアとして知られています。
今回のルートでは、まず皇居のお堀のほとりにある『東京国立近代美術館』で3都市の美術館のコレクションを楽しんだ後、お堀沿いの二番目の目的地である『皇居三の丸尚蔵館』で狩野永徳や伊藤若冲の国宝を鑑賞します。
次に、建て替え前の最後の展示となる『出光美術館』で、陶芸家の板谷波山と画家の小杉放菴の展示を訪れます。
さらに、京橋の『アーティゾン美術館』に移動して、20世紀彫刻の大家、コンスタンティン・ブランクーシまで、約1時間のコースを辿っていきます。
東京国立近代美術館は、1969年に京橋から竹橋に移転しました。
新しい施設は、当時ブリヂストンタイヤ株式会社会長だった石橋正二郎の寄贈によって建てられ、設計は建築家の谷口吉郎が手がけました。建物はピロティ構造と太い列柱、梁の凹凸が特徴で、和の趣を感じさせるモダンなコンクリート仕上げの外観が特徴です。
谷口は、竹橋が江戸城の濠と丸の内ビル街に近く、過去と現代が交差する場所であると位置付け、この地に美術館を建てることの意義を強調しました。
2002年の耐震化工事でアトリウム(吹き抜け)はなくなりましたが、3階の大きな窓からは初期の建築様式を偲ぶことができます。改築後も外観は大きく変わらず、地域の景観に溶け込んでいます。
東京国立近代美術館外観
左奥が東京国立近代美術館のミュージアムショップ
パリ市立近代美術館、大阪中之島美術館、そして東京国立近代美術館、それぞれの文化的背景を反映した豊かなモダンアートのコレクションを集めた展覧会「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」が開催されています。
TRIOは、TOkyo、paRIs、Osakaのそれぞれの都市の名前の一部、また3つを表すトリオをかけています。
展示は、時代や流派、文化の境界を超えて、主題やモチーフ、色彩、形状、素材、創作の背景といった34の異なるポイントに基づき、各美術館から1点ずつ選んだ作品をトリオ形式で展示。
絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像作品など150点以上が含まれ、20世紀初頭から現代までのモダンアートを多角的に俯瞰することができます。
展覧会会場のようす
ポイントに焦点を当てることで、各美術館のキュレーターのセンスが試され、納得感があるトリオがある一方で、新しい発見を与えてくれるトリオもあります。
この展覧会では、トリオの組み合わせの妙を楽しむ内容になっています。また、マティス、モディリアーニ、マグリット、デュフィ、シャガールから、有元利夫、バスキア、ダーガーなど、単独でも非常に見応えがある作品が揃う展示となっています。
展覧会名:TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション
開催期間:2024年5月21日~8月25日
会場:東京国立近代美術館
公式サイト:https://art.nikkei.com/trio/
日本の皇室は長い歴史を通じて、国内外の芸術文化に深く関与し、多くの文化財が皇室によって受け継がれてきました。
戦後、多くの御物が国有化され、法隆寺献納宝物の大部分は東京国立博物館へ、正倉院宝物や書陵部所管の品々は宮内庁へ移管されました。しかし、一部の御物は依然として皇室が保持し、侍従職が管理していました。
1989年に、上皇陛下と香淳皇后により国に寄贈された約6千点の絵画や工芸品は宮内庁によって管理され、1991年から建設された三の丸尚蔵館で1993年から一般に公開されています。
皇居三の丸尚蔵館外観
三の丸尚蔵館が開館30周年を迎え、皇居三の丸尚蔵館として新たに開館を記念されたことを受けて、昨年11月にスタートした「皇室のみやびー受け継ぐ美ー」展が最終の第4期目に入りました。
本展の見どころは、国宝である狩野永徳の《唐獅子図屏風》や伊藤若冲の《動植綵絵》です。日時指定制のおかげで混雑もさほど少なく、じっくりと作品を鑑賞することができます。
また、注目すべきは《天子摂関御影 天皇巻》。この作品には、鳥羽上皇から後醍醐天皇までのうち19人の天皇と後高倉院が似絵で描かれており、藤原為信と豪信親子による合作と伝えられていますが、作品を通じて二人の手法の違いも感じられる点が興味深いです。
その他、献上された貴重な品々も多数展示されており、見どころが豊富な展覧会です。
目玉のひとつである狩野永徳の《唐獅子図屏風》
展覧会名:皇居三の丸尚蔵館 開館記念展「皇室のみやびー受け継ぐ美ー」
第4期:「三の丸尚蔵館の名品」
開催期間:2024年5月21日~6月23日
会場:皇居三の丸尚蔵館
公式サイト:https://pr-shozokan.nich.go.jp/miyabi/
出光美術館は、出光興産の創業者である出光佐三が70年以上にわたり収集した美術品を展示・公開する目的で、1966年に千代田区丸の内に開館しました。
美術館は皇居のお堀に面した帝劇ビルの9階に位置しています。開館当時からの和の雰囲気を保ちつつ、何度かの改装を経て、より快適で広々とした空間に進化しています。
展示内容は、日本の書画や中国・日本の陶磁器を中心にした東洋古美術で、年に6回の展覧会が行われています。また、ジョルジュ・ルオーの作品を紹介する専用展示室や、アジアや中近東の陶片を集めた陶片室など、特色ある施設が併設されており、その豊富な陶磁器コレクションを活かした展示が人気です。
出光美術館の入る帝劇ビル外観
出光美術館のエントランス
出光美術館は、帝劇ビルの建替計画に伴い、2024年12月をもって帝劇ビルでの活動を一旦終了し、一時休館に入ります。
最終年は、4つの特別展覧会を通じて美術館のコレクションのハイライトを展示。2期である今回の展覧会では、初代館長である出光佐三が親しく交流していた陶芸家の板谷波山と画家の小杉放菴の作品を特集しています。
波山は、その代名詞とも言える葆光彩磁(ほこうさいじ)、つまり艶消しの葆光釉を使った作品で知られており、その作品からは薄絹を透かすような優美な光が放たれています。会場では、波山のキャリアを通じた作風の展開を見ることができます。放菴については、初期の油彩画から日本画へと進化する画風の変遷を辿ることができ、二人の作品は時系列に沿って展示されており、時折掲示されている佐三の言葉とともに、その交流が感じられるようになっています。
また、佐三が特に愛したジョルジュ・ルオーの作品や、サム・フランシスから直接入手した抽象画も展示されており、これらは佐三が日本画に通じると感じた作品として一緒に展示されています。
館内に設けられたフォトスポット
展覧会名:出光佐三、美の交感 ―波山・放菴・ルオー
開催期間:2024年6月1日~7月7日
会場:出光美術館
公式サイト:https://idemitsu-museum.or.jp/special2024/introduction02.html
前回はアーティゾン美術館の建物についてご紹介しましたが、今回は美術館内にあるカフェ&レストラン『ミュージアムカフェ』に焦点を当てます。
このカフェでは、ランチからカフェタイム、そして金曜日のみ(展覧会開催期間の祝日は除く)提供されるディナーが20時まで営業しています。座席は、テーブル席でしっかりした食事を楽しむことができ、カウンター席ではカジュアルなひとときを過ごし、ソファ席ではリラックスできるように設計されています。
また、店内にはイタリアデザイン界の巨匠エットレ・ソットサスによるヴェネチアンガラスの器や、倉俣史朗の作品も展示されており、ミュージアムならではのアートとデザインが融合した魅力的な空間を体験することができます。
ホワイトキューブにマッチしたミュージアムカフェのインテリア
20世紀の彫刻界で重要な位置を占めるコンスタンティン・ブランクーシ。
ブランクーシの彫刻家としてのキャリアを追う展覧会では、アカデミズムの写実性やロダンの影響が見られる初期から、1920年代の「鳥」などの抽象化が進められる時期までが展示されます。
また、彫刻を中心に、絵画や写真を通じて彼の多角的なアプローチも紹介し、彼の多面性を掘り下げる貴重な機会となります。
展覧会会場のようす
そのシンプルな造形は、本質を捉えた結果でもあります。一見すると「これは何だろう?」と思えるような作品や、見て「なるほど」と感じる抽象と具象の間の彫刻が魅力的です。
是非、最初に彫刻をご覧になり、その後で作品リストを確認して、理解を深めることをお勧めします。
展覧会名:ブランクーシ 本質を象る
開催期間:2024年3月30日~7月7日
会場:アーティゾン美術館
公式サイト:https://www.artizon.museum/exhibition_sp/brancusi/
『東京国立近代美術館』では、特別展のチケットでコレクション展も観覧可能です。広範な近現代アートの展示を提供しているため、訪問時にはコレクション展も併せて鑑賞することをお勧めします。
一方、『皇居三の丸尚蔵館』では、国宝級の絵画が展示されており、人気の時間帯のチケットは早くから予約が埋まることが多いので注意が必要です。
『出光美術館』は建て替えのため、この場所での展示が今年で最後となるため、今年訪れるべき美術館の一つです。
また、『アーティゾン美術館』では、ブランクーシの日本国内初の個展を見る絶好の機会となっています。
他にも東京駅周辺編には美術館も多いエリアなので、また今度紹介させていただければと思います。
コンスタンティン・ブランクーシ《空間の鳥》1926年(1982年鋳造) 横浜美術館蔵