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2024年11月21日
内藤コレクション 写本/国立西洋美術館
国立西洋美術館にて、「内藤コレクション 写本 – いとも優雅なる中世の小宇宙」が開催中です。
本展で紹介されている「写本」とは、人の手によって書かれた本のことです。
印刷技術のなかった中世ヨーロッパにおいて、写本は人びとの信仰を支え、知の伝達を担う主要な媒体でした。
人の手によって一文字ずつ書き写して作るため、完成までに長い時間がかかり、ぜいたく品であった「写本」。
さまざまな絵や飾りが描かれ、美術品としても楽しまれてきました。
本展では、国内美術館最大級の写本コレクション「内藤コレクション」を中心に、約150点を一堂に展示。
その美しい中世の彩飾芸術の魅力に迫ります。
内藤コレクションとは、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏が集めた作品のこと。
2015年度に国立西洋美術館は、写本零葉(しゃほんれいよう)を中心とするコレクションを一括でゆずり受けました。
また、内藤氏の友人である長沼昭夫氏からも支援を受け、同館では現在約180点を収蔵しています。
国立西洋美術館では、2019-20年度に3期にわたり開催した小企画展で、内藤コレクションを紹介してきました。
しかし、コロナ禍のさなかでもあったため、それらは小規模なものにとどまったと言わざるを得ません。
本展は、こうした事情をふまえて、改めて内藤コレクションの作品の大多数を一堂に展示し、紹介する展覧会です。
国立西洋美術館では初の大規模な写本展となります。
本展で観られる写本のほとんどは、零葉と呼ばれる本や冊子から切り離された1枚の紙です。
現代の紙の多くは、植物からつくられますが、この頃のヨーロッパでは、羊などの動物の皮を薄く伸ばした「獣皮紙(じゅうひし)」などが使われていました。
「羊皮紙」という言葉を聞くと、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
魔法の呪文が書かれていそうなイメージですが、内容はキリスト教に関するものが書かれています。
内藤コレクションの聖書写本の中心を形成するのは、13世紀のイングランドおよびフランスで制作された作例です。
カトリックの教会や修道院で聖職者が行う祈りのことを「典礼(てんれい)」と言い、特に1日8回決まった時間に行うものを「聖務日課」と言います。
世俗の信徒のために贅を尽くして制作された華やかな作例。繊細で遊び心あふれる彩飾に注目です。
国立西洋美術館の版画素描展示室にて、小企画展「西洋版画を視る―リトグラフ:石版からひろがるイメージ」(2024年9月1日まで)が開催中です。
「西洋版画を視る」シリーズの3回目となる本展では、「リトグラフ(石版画)」を取り上げて紹介。
リトグラフならではの描写に注目しながら、その歴史を辿り、多様で豊かな表現の魅力に迫ります。
オディロン・ルドンやピエール・ボナール、アルフォンス・ミュシャなど、有名な画家の版画作品を観ることができますよ。
会場の「版画素描展示室」は、新館の常設展ゾーン「19世紀の絵画」の展示室を抜けた先にあります。
目印は、国立西洋美術館の収蔵品を代表するクロード・モネ《睡蓮》。会場はこの《睡蓮》の先です。
ちなみに、版画素描展示室へ向かう途中、宗教画も観ることができますよ。
内藤コレクションで聖職者の1日を観た後に、こちらも鑑賞すると、より内容を深く理解できるかもしれません。
「内藤コレクション」を中心に、その豊かな彩飾芸術の魅力に迫る「内藤コレクション 写本 – いとも優雅なる中世の小宇宙」。
本展関連グッズも、国立西洋美術館ミュージアムショップで販売中。プレゼントにも良さそうな、大人かわいいデザインです♪
雨が多い6月と7月は、国立西洋美術館でアートに触れる休日を過ごしてみては?