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2024年11月21日
ゴミうんち展/21_21 DESIGN SIGHT
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 エントランス
六本木にある21_21 DESIGN SIGHTで、2024年9月27日から、企画展「ゴミうんち展」が開催中です。
本来、ゴミもうんちも、自然界ではそのまま残り続けるものではなかったのに対し、今、それらは大きな問題となり、見たくない存在として扱われているもの。展覧会では、そうしたさまざまな存在を「ゴミうんち」として扱い、これらを含む世界の循環を「pooploop」と捉えることで、ミクロからマクロまで、多様なスケールの”循環”に向き合います。
「ゴミうんち展」の展覧会ディレクターを務めるのは、グラフィックデザイナーの佐藤卓と、文化人類学者の竹村眞一。
佐藤が廃棄物について考える展覧会を作りたいと竹村にもちかけたところ、「ごみ・うんち・CO2は、今、とても重要なテーマですね」と竹村が応答したことから、この展覧会タイトルが決まりました。
展覧会のはじまりは、この2人の作品から。竹村眞一による《めぐる環》は、地球型のディスプレイに、世界のさまざまな循環や時代による変化を示したもの。地球全体の規模での循環を可視化します。
竹村眞一《めぐる環》
その向かいに並ぶのは、佐藤卓の《TIME-B》。オレンジ色のボールがのった、たくさんの大きな砂時計の作品です。
砂時計は砂が循環して時を測る道具ですが、この砂時計を使うには、上に乗るオレンジ色のボールを外してひっくり返さなければいけません。”循環”を導くためには、誰かが一手間をかけないといけないというメッセージが込められているそうです。
佐藤卓《TIME-B》
大きなスケールで循環を捉えた2作品の隣には、カビがつくる「ミクロな森」に注目した小倉ヒラクの作品が並び、マクロとミクロ、両方の視点で”循環”に目が向けられます。
続くギャラリー1は、ギャラリーの床から天井まで、圧倒されるほどの多くの展示物で満たされています。
「糞驚異の部屋」展示風景
「糞驚異の部屋」と題されたこの部屋では、身近なものから宇宙規模のものまで、さまざまな「ゴミうんち」にまつわるものが博物館のように展示されています。
「自然・骨格・螺旋」「廃棄物・副産物」「ゴミ箱・トイレ・時間」「うんち・発酵・循環」という4つのジャンルに分類されたその展示物の数は、なんと700種以上!
「糞驚異の部屋」展示風景
地球の内部構造の説明や、日本各地で採取された土といったスケールの大きなものから、作品制作で出たゴミなどの身近なもの、ミミズの糞塚をつかったアクセサリーまで多岐にわたります。
中には、ウイスキーやパン、チーズなど、一見すると関係がなさそうなものもありますが、これらの共通点は”発酵”。微生物の活動の副産物としてつくられた、”循環”の一部なんですね。
「糞驚異の部屋」展示風景
展覧会ディレクターの竹村眞一は、「地球の歴史自体が『ゴミうんち』との戦いの歴史だ」といいます。
わたしたちが呼吸する酸素も、もともとは約27億年前に、「光合成」の副産物として排出された有毒の廃棄物。それを「酸素呼吸」というかたちでエネルギー源としてアップサイクルすることで、生命のエネルギー効率は何十倍にも引き上げられました。
展示物を見てその繋がりを想像していくと、全てのものが循環の一部であるように感じられます。
「糞驚異の部屋」展示風景
なおこちらの部屋では、ループする短い映像作品を「無限循環映像」として複数展示。
本展のアートディレクターの岡崎智弘をはじめ、高尾俊介、北千住デザインら、ほぼ毎日映像を作り続け、インターネット上に公開しているアーティスト6名による映像が”循環”し続けます。
続くギャラリー2では、「ゴミうんち」という新しい概念を元にした作品が展示されます。
ギャラリー2 展示風景
デザイナーの狩野佑真は、本来は防ぐべき存在である”錆”の魅力に気づき、錆をあえて育て、家具や作品に展開します。
狩野佑真 《Rust Harvest|錆の収穫》
アーティストの中山晃子は、染料や顔料を含んだ液体どうしが影響しあう「Alive Painting」という作品シリーズを制作しており、子どもの頃に習字で使った墨の廃液の中に美しさを見出した経験が根底にあるといいます。
中山晃子《Alive Painting》
本展では、狩野佑真による錆の廃液も交えたあらたな映像作品が制作されました。
狩野佑真 《Rust Harvest|錆の収穫》
なんと、動物の糞を素材に制作された彫刻作品も。井原宏蕗の《cycling》シリーズは、動物の糞を乾燥させ、漆で固めたもので制作されています。
井原宏蕗《cycling -dead or deer-》
会場内には、犬や鹿、鳩など、複数の動物たちの彫刻が並びます。動物ごとに異なる排泄物の形状は、生物の生態も表すようです。
ギャラリー2 展示風景
普段は屋外展示に使用される中庭のような空間は、西尾耀輔と片野晃輔による造園ユニットveigにより《漏庭》として作品化されました。造園で使用される使い捨ての「透水シート」という素材で、都会の中に木陰のような影をつくりだしています。
veig《漏庭》
また、音楽家の蓮沼執太は、この庭の木が水を吸い上げる小さな音など、本展や21_21 DESIGN SIGHTの建物にまつわる4つの音響作品を制作。展示空間はその音に包まれます。
ギャラリー2 展示風景
デザイン、アート、科学などのさまざまな視点から「循環」について考える「ゴミうんち展」。わたしたち自身も、普段は目に見えない大きな「循環」のなかにいることも意識させられる展覧会でした。
なお、今回の展覧会の会期中、展覧会のポスターやバナーは、タイトルを消して掲示されます。
”本来、自然界には「ゴミうんち」は存在しない”という点と、”現代社会では「ゴミうんち」は水に流したり捨てた瞬間から見えなくなってしまう”という点の2つの対照的なテーマを表す実験的な試みなのだそうです。
ふだんは目を背けがちな「ゴミうんち」に、会場で目をむけてみるのはいかがでしょうか。