風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ/国立新美術館

国立新美術館にて、「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」が好評開催中です。
日本人として初めてパリのオートクチュール組合の会員。女性デザイナーとして、母として自ら新しい女性像を見せ続けてきた森英恵の、ものづくりを紐解く展覧会です。
1950年代にキャリアを開始した森英恵。
家庭を持ちながらデザイナーとして社会的にも大きな仕事を成し遂げる姿は、新しい女性像の先駆けとして注目されるようになりました。
1961年、森が1961年、雑誌『装苑』にて新たに提唱したのが「ヴァイタル・タイプ」という人物像です。

生き生きと、一生懸命になれる仕事を持ち、努力を惜しまない活動家。その姿は、森自身とも大きく重なるものでした。
森自身が当時の新しい女性像を体現したような存在だったことがわかります。
展示では、当時の取材記事などを紹介。キャリアを押し上げるきっかけにもなった映画衣裳の仕事についても取り上げます。

1965年、アメリカへと活動の場を広げた森英恵。
日本美術・文学・そして日本の布地について自ら学び直し、このときの研究成果をもとに、1965年にニューヨークで初となるコレクション「MIYABIYAKA(雅やか)」を発表。これが好評を博します。

島根県立石見美術館所蔵の《イヴニングアンサンブル(ジャンプスーツ、カフタン「菊のパジャマドレス」)》 もアメリカ時代の森英恵の活躍を象徴する一作。
写真家リチャード・アヴェドンによる撮影で『ヴォーグ』に大きく取り上げられました。
メトロポリタン美術館所蔵の作品もあわせて展示し、森のアメリカ時代の足跡に迫ります。

1977年、森はパリ・オートクチュール組合の正会員となり作品発表を始めます。
これは日本、アメリカでの活躍が認められ、また作品のオリジナリティやアーティストとしての社会的信用が評価されたことで実現した、日本人初、そしてアジア人初の快挙となりました。

展示室には1977年のデビューコレクションから、2004年のファイナルコレクションまでが網羅的に並びます。
高品質な素材と卓越した技術を持って世界に挑んだ一点ものの作品群から、森の美意識と創造力の高さを体感できます。

オートクチュールのドレス、資料、初公開となる作品を含む約400点を通じて、森のものづくりの全貌を明らかにする本展。
デザイナーとしての表現だけではなく、生き方とその創造の根幹にまで迫るまたとない機会となるでしょう。