風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
きらめく時代のドレスたち―西洋服飾コレクションより―/共立女子大学博物館

展示室前フォトスポット
共立女子大学博物館にて、「きらめく時代のドレスたち―西洋服飾コレクションより―」が開催中です。
同館が開館して今年で10年。これを記念して、2026年は3つの展覧会が開催されます。本展は、その第1弾となる「西洋服飾コレクション」にフォーカスしたものです。
共立女子大学博物館のコレクションの核でもある西洋服飾コレクション。これまでお披露目できていないものもありましたが、昨年研究がかなり進んだことから、まとまった展示が実現しました。
例えば、コレクションの中でもかなり古いという17世紀の手袋。

こうした服飾品は、布の繊細さ、実際に使用する消耗品であることからも保存が難しく、18世紀以前のものがキレイに残っているのはとても珍しいそうです。
華やかな花柄ですが、実は男性用。手の保護はもちろん、防寒や手に持ったりして使用されました。また、これだけの美しい刺繍を施せるという、経済力や地位を示すためのものでもありました。
絹でできた美しい靴にも、そんな意味合いがあります。しかし布でできているため、外で歩くとすぐに汚れてしまいます。

それを解決したのが、パトゥンズと呼ばれる、なんと靴のための靴!くぼみにヒール部分を引っかけて使うのだとか。

横からも。ヒールを引っかける部分、わかりますか?
しかも“靴のための靴”だというのに当時は金塗りだったそうで、ここにも経済力が垣間見えます。
そんな装身具を見たら、お待ちかねのドレスたちの登場です♪
展示室には19世紀から20世紀のドレスが時代ごとに並びます。
19世紀に白い木綿のモスリン生地を使った直線的なエンパイア・スタイルが流行すると、今度はロマン主義の影響を受けた可憐なロマンティック・スタイルが登場します。

真ん中の白いドレスがロマンティック・スタイルのドレスです
なだらかな肩を目立たせるような袖、ふんわりとしたスカート部分。儚いような、か弱いような雰囲気を持っています。
またしばらくすると、後ろ腰が強調されるバッスル・スタイルが流行。明治維新ごろの「鹿鳴館スタイル」を想像するとイメージが湧きやすいかもしれません。

このバッスル(腰当て)部分がかなり強調された時期のデザインだと、なんとティーカップが乗るほどだったのだとか!
この頃は形状的に普通のコートが着用できないため、大判のショールを畳んで羽織ったり、カシミア・ショールを仕立て替えたヴィジットを身に着けたりしました。
本展のメインビジュアルにもなっている黒いドレスは、オートクチュールの父と呼ばれたシャルル=フレデリック・ウォルトが開いたメゾン「ウォルト」によるもの。

S字の曲線、柔らかな素材が使われていることから、この時代に流行したアール・ヌーヴォーと結びついていることが分かります。
袖や首周りの透け感、レースのボリュームなどが計算しつくされており、真っ黒なのに軽やかで華やかなのが驚きです。
「コルセット解放」の時代になると、ドレスの裾も上がってより機能性が向上します。
女性の社会進出が進んだことも大きいかもしれません。

キラキラのビーズがあしらわれたイヴニング・ドレスは、ジャズダンスが流行っていた1950年代のもの。ダンス・パーティーのための装いです。
このドレス、実はかな~り重いのだそう。当時のビーズはガラスかメタルが主流だったので、今のようには軽量化ができませんでした。
それでもダンスの際は重みでビーズがキレイに見えるのだそうですが・・・躍るのに苦戦しそうですね。
スフマート編集部が気になったのは、こちらの画像左のイヴニング・ドレス。

裾がまた長くなったと思ったら、今度は背中が大胆に露出。そして腰部分をよく見ると、日本の着物の帯のようにも見えます。

模様も光琳菊と呼ばれる菊模様のようであり、もしかしたら着物の影響を受けているのでしょうか?
最近でもY2Kと呼ばれる平成ファッションの再ブームが起こりましたが、やはり流行は繰り返すもの。
エンパイア・スタイルはローマ帝国への憧れから始まりましたし、現代のロリータも、ロココ様式へのリスペクトが感じられます。
流行は、先人への憧れのまなざしから生まれるのかもしれませんね。
今年で10周年の共立女子大学博物館。第2弾は、日本服飾コレクションを中心に展示されるそうです。こちらも楽しみですね!
前期展示は5月23日まで、後期は複数点入れ替えが行われます。無料で鑑賞できるので、チャンスがある方は是非2度足を運んでみてはいかがでしょうか?
前期展示:4月20日(月)~5月23日(土) 後期展示:5月25日(月)~6月20日(土)
※前期展示・後期展示で一部展示替えを行います