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2026年3月26日
驚異の部屋の私たち、消滅せよ。/大阪中之島美術館

大阪中之島美術館にて、「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。— 森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ —」が開催中です。
展覧会はゼロから始まりました。
森村泰昌さんのヤノベケンジさんとやなぎみわさんとの「三人展」を見てみたいという思いからこの展覧会は始まりました。
「おもしろい展覧会になるはず」とはわかるが「何でおもしろいのか」までは考えていなかったそうです。
三人は、関西出身で、京都市立芸術大学出身。ヤノベさんとやなぎさんの専攻は異なりますが、同学年です。同じ時代を生き、関西から世界へと活躍する中で、三人の活動は時に交錯してきました。
今回の展覧会は、森村さんの呼びかけにヤノベさん、やなぎさんが応答し、大阪中之島美術館で開催することが決まりました。
2024年3月27日、作家3名と美術館の担当キュレーターが集まって、第一回目の会議が開催されました。ここから「何をするか」の話し合いが毎月もたれました。侃々諤々・紆余曲折しながら。

《私たちは、それぞれに旗を掲げる。》左から:森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわ
三者は同じ場に立ちながらも、各々が旗を掲げてそれぞれの立場を貫くことを表明しています。
私たちは、見知らぬ都市の散歩者となって展示室巡りが始まります。

ヤノベケンジの部屋の展示風景
ヤノベケンジの創作の原点は、大阪万博(Expo‘70)跡地の解体現場でした。6歳のヤノベ少年は「未来の廃墟」への時間旅行を疑似体験しました。

2003年大阪万博跡地にあった国立国際美術館(旧万国博美術館)で開催された集大成的な個展「MEGALOMANIA」ポスター 2003年 ポスターデザイン:豊永政史
ヤノベの作品をこれでもかと持ち込んだ「驚異の部屋」。過剰性への欲望の発露としての表現は「過剰性の驚異」「驚異の過剰性」100歳になったヤノベケンジの回顧展です。その質・量に眩暈も・・・

展示風景:ヤノベケンジ《ヤノベケンジ 100歳の肖像》2026年 映像(10分30秒)映像:青木兼治、協力:Amazing JIRO
森村泰昌の今はなき大阪名所案内です。

大阪を舞台にした森村のセルフポートレート8作品を映画看板の絵師によって巨大な看板絵に仕立てたパノラマ的写真絵画の驚異の部屋です。
森村の内での「これぞ大阪」の地で撮影したセルフポートレート作品を新たに巨大な看板として制作しました。

森村泰昌《M式・大阪八景》展示風景 左から:《KAMAGASAKI 人間は、悲しいくらいに虚しい。》2026年、《美にいたる病》2026年
各作品の近くにあるQRコードを読み込むと、それぞれの作品について、森村自身の解説が聴けます。
ハンドアウトも用意され森村による詳細な説明と大阪大学名誉教授の橋爪節也の解説が記されています。森村の今はなき大阪への思いが伝わります。

森村泰昌《M式・大阪八景》展示風景 左から《烈火の季節、静聴せよ!》2026年、《思わぬ来客》2026年
『古事記』の神話を題材とした「黄泉平坂(よもつひらさか)」、北の大地に自生する「オオウバユリ」を軸とした「大姥百合(おおうばゆり)」の2シリーズを展開します。
男神イザナギが黄泉の国から逃れる際に、女神イザナミに向かって投げつけた桃をモチーフとした、福島の桃果樹園を10年間撮影した写真作品「女神と男神が桃の下で別れる(川中島)(あかつき)」が両壁面に展示されています。

やなぎみわ「坂道のオード(賛歌)」展示風景:奥 やなぎみわ《女神と男神が桃の木の下で別れる 川中島》2016年、手前―《飛礫と瓦礫》2026年
「大姥百合 公演記録映像|2025年と「黄泉平坂 ~排斥と遊戯~」2026年の映像も上映されています。
やなぎの映像作品を観始めると、桃のジャグリングボールを握る爪の長い細い腕に心をガシッと鷲掴みされたかのようにその場から動けなくなります。
※「黄泉平坂 ~排斥と遊戯~」は、5/28-5/30に公演もあります。
https://www.sayonara2026.com/events
近年は鋳造作品も制作するも、テーマは「姥山」。

やなぎみわ「坂道のオード(賛歌)」展示風景:やなぎみわ 手前《姥山 滝》、後左《姥山 多眼》、後右《姥山 炎》2025-2026年
最新プロジェクトで三作家が再集結します。
森村泰昌は、大阪の日本画家、木谷千種《浄瑠璃船》(1926年、大阪中之島美術館蔵)を基に「浄瑠璃船」に乗船する人物になりきってのセルフポートレートを木谷作品と同サイズの屏風の表裏に表現し、失われつつある大阪の風情を問いかけます。

展示風景:森村泰昌《境界線上の船遊び「浄瑠璃船/木谷千種」のために 其の壱》2026年
ヤノベケンジは、刀匠・河内國平との協働による刀剣シリーズです。「刀剣」は、歴史や記憶と結びつきながら危機の時代を切り開く象徴とみなされています。

展示風景:手前 ヤノベケンジ、河内國平《天地以順動》2024年、後ろ ヤノベケンジ《八卦連環》部分 2024年
やなぎみわは、「船首像」の新シリーズも展示します。帆船の先端に据えられた女性像に内包してきたものを表出します。

やなぎみわ《戦勝記念塔(ロストラ柱)につけられた船首像たち》2026年
「博覧会」「広場」「坂道」「迷宮」を巡り歩いてきて「これだけでは終われない!」とやなぎから異議がでました。
ホワイトキューブには何も展示されていない。そもそも舞台の芸術はその場限りのものでした。
1つの同じ脚本を各パフォーマーが演じ、消えてゆきます。やなぎは「エア展示」と呼び、パフォーマンスで展示物が浮かび上がり消えてゆくここは「消滅美術館」です。
16組による各パフォーマンスは1回約15分間、期間中の毎日1日5回演じられます。
https://www.sayonara2026.com/performers

Room5風景
エピローグは、映像作家 林勇気による本展覧会の2年間を記録したドキュメンタリー映像作品《Frames》の上映です。

プロローグ展示風景:ヤノベケンジ《SHIP’S CAT (Speeder)》《SHIP’S CAT(Crew/White)》2023年、ヤノベケンジ《ヤノベケンジ 100歳の肖像》 2026年、やなぎみわ《Mirror & Hammer》2026年、森村泰昌《旗を持つ「立てる像」》2026年

毎月「驚異」のグッズが並んでは消えていく“消滅”がキーワードのショップ「消滅屋」です。少数限定のためすぐに消滅(完売)してしまうアイテムもあります。なくなり次第終了となります。
何故この三人の「驚異の部屋」だったか、ヒントは「消滅」にありか。
※報道内覧会にて許可を得て撮影しています。