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2024年11月1日
不変/普遍の造形 —住友コレクション中国青銅器名品選―/泉屋博古館東京
中国青銅器が今、美術鑑賞の新たなブームとなる兆しを見せています。
美術が好き、という人でも中国青銅器は「なんだか難しそう」と距離を感じやすいのではないでしょうか。
そんな人におすすめの展覧会が、泉屋博古館東京で始まっています。
住友コレクションの象徴とも言える中国青銅器の名品を、泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展のパート4としてお披露目する機会です。
前知識なしでも楽しめる工夫が満載で、中国青銅器の初心者にもぴったり。
美術や工芸が好きな人は、これを機に中国青銅器の魅力にも触れてみませんか?
このレポートで展覧会の見どころや楽しみ方をお伝えします。
中国青銅器とは、3000年前の古代から受け継がれた東アジアの美術工芸の源です。そして住友コレクションの中国青銅器は世界屈指と評価され、研究にも使用されています。
コレクションを築いたのは住友家15代当主の住友春翠(しゅんすい)です。煎茶を嗜んでいたことから、煎茶席に飾る美術品として中国青銅器を購入し、以来さまざまな名品を手にしました。
通常は京都の泉屋博古館にて収蔵・展示されているため、東京で見られる機会は貴重です。
代表的な作品には《虎卣(こゆう)》や《鴟鴞尊(しきょうそん)》があり、本展ではこれらを中心とする名品が揃い踏み。見応えのある展示となっています。
《虎卣(こゆう)》殷後期/ BCE11c 所蔵/泉屋博古館
《鴟鴞尊(しきょうそん)》殷後期/BCE13-12c 所蔵/泉屋博古館
《虎鎛(こはく)》西周前期/ BCE11-10c 所蔵/泉屋博古館
中国青銅器についてあまり知らない人でも大丈夫です。難解なイメージを持たれがちな美術ジャンルですが、本展ではその魅力が伝わる工夫がなされています。
予備知識なしで楽しめるポイントが目白押しで、初心者の方こそおすすめです。
展示は4章にわたり、造形・文様・金文・鑑賞の歴史など、中国青銅器の魅力をさまざまな角度から紹介しています。
わかりやすい中国青銅器の年表
《泉屋清賞(せんおくせいしょう)》明治 44(1911)年 所蔵/泉屋博古館
そもそも中国青銅器とは、神々に捧げるまつりのための器として発達したものです。中でも特に重視されていた祖先神をもてなすために、当時貴重だった青銅が惜しげもなく使われたといいます。
器の種類を表す用語には多くの難読漢字が出てきますが、展示ではキャプションやバナーを使ってその意味を丁寧に解説しています。
「酒や香草の煮汁を入れる器」「肉入りスープを煮る器」など、不思議な形の青銅器もこのような用途を想像してみると、意外と身近に感じられるかもしれません。
(左から)《饕餮文平底爵(とうてつもんへいていしゃく)》殷前期/ BCE14c 所蔵/泉屋博古館
《饕餮文爵(とうてつもんしゃく)》殷後期/ BCE13-12c 所蔵/泉屋博古館
《甲虫爵(こうちゅうしゃく)》殷後期/ BCE12-11c 所蔵/泉屋博古館
《冊爵(さつしゃく)》殷後期/ BCE12-11c 所蔵/泉屋博古館
《魚爵(ぎょしゃく)》西周前期/ BCE11c 所蔵/泉屋博古館
(左から)《大史友甗(だいしゆうげん)》西周前期/ BCE11-10c 所蔵/泉屋博古館
《螭文甗(ちもんげん)》春秋前~中期/ BCE7c 所蔵/泉屋博古館
かわいい動物の姿をかたどった器もいろいろな種類があります。
愛らしい形やユーモラスな表情を目にすれば、意外なかわいさに目覚めるかもしれません。
《金銀錯獣形尊(きんぎんさくじゅうけいそん)》北宋 CE10-12c 所蔵/泉屋博古館
《蛙蛇文盤(あだもんばん)》春秋前期/BCE8-7c 所蔵/泉屋博古館
中国青銅器の最大の魅力とも言えるのは、器に刻まれた「文様」や「金文(きんぶん)」です。
これらの用語や内容も一見難しく感じますが、展示では釈文や現代語訳をつけて説明しています。
例えば「饕餮(とうてつ)」は、古来の人びとの思想や信仰が込められた文様だと考えられています。
《饕餮文方罍(とうてつもんほうらい)》/殷後期/BCE12-11c 所蔵/泉屋博古館蔵
金文は、現在の私たちが使用している漢字の祖先にあたる文字です。器には造られた経緯や、当時の社会状況などが金文で記されています。
《ロク簋(ろくき)》西周中期/ BCE10c 所蔵/泉屋博古館
《匽侯旨鼎(えんこうしてい)》西周前期/BCE11-10c 所蔵/泉屋博古館
後世まで伝えるべく文字を刻み込んだ先人の思いを、三千年の時を超えて味わってみましょう。
貴重な歴史資料と思えばロマンが感じられ、豊かなイマジネーションや意外な人間くささに微笑ましくなります。
今回の記念展に合わせて、中国青銅器の3D計測データを用いたデジタルコンテンツが制作、展示されています。
現代の最先端テクノロジーを駆使した文化財技術と、古来の超絶技巧がクロスオーバー。
新たな鑑賞の楽しみ方を伝えています。
3Dデジタルコンテンツとなった《虎卣(こゆう)》のホログラム展示
本展に合わせて、中国青銅器の入門書『太古の奇想と超絶技巧 中国青銅器入門 (とんぼの本)』が刊行されました。
太古の奇想と超絶技巧 中国青銅器入門(とんぼの本)2,200円(税込)
ハンディサイズで写真や図が多く、わかりやすいのが魅力的。実は、このような中国青銅器の入門書は国内で希少だといいます。
携えつつ展覧会を鑑賞することで、中国青銅器の奥深い世界をさらに楽しめるアイテムです。
泉屋博古館東京のミュージアムショップのほか、全国の書店で販売中です。
泉屋博古館東京がある港区には、ほかにも中国青銅器を所蔵している美術館があります。常設展示室で中国青銅器を見られる根津美術館と、豊富なコレクションの中に中国青銅器も有する松岡美術館です。
今回この3館がタッグを組み、連携イベント「港区青銅器サミット2023」と「港区内3館をめぐる 中国古代青銅器デジタルスタンプラリー」が開催されます。
3館揃って展示をしている2月5日までの間にすべての美術館を訪れた方には、3D ARフォトフレーム「おでかけしきょうそん」をプレゼント!
アプリ「COCOAR」を使用して、いつでもどこでも《鴟鴞尊(しきょうそん)》と一緒に写真を撮れます。
詳細はこちら
3000年も遥か昔に造られた中国青銅器。
長い時を超えても“不変”の素晴らしさと、人々の営みに根ざした“普遍”の造形美を余すところなく伝える展覧会です。
わかりやすく、とっつきやすいさまざまな仕掛けがおもしろい。
ぜひ会場でご覧ください。
「御干菓子・虎卣(こゆう)」などのグッズ