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2024年11月1日
中国陶磁の色彩 ―2000 年のいろどり―/永青文庫
《三彩馬》 唐時代(7~8世紀) 永青文庫蔵
永青文庫(東京・文京区)にて、4月14日まで「中国陶磁の色彩 ―2000年のいろどり―」が開催中です。
本展では、永青文庫の中国陶磁コレクションより、重要文化財3点を含む、中国陶磁の優品を展示。唐三彩(とうさんさい)や白磁、青磁など「色」をテーマに、中国陶磁の歴史を紐解きます。
漢時代から清時代までの100点以上の中国陶磁を所蔵する永青文庫。
そのコレクションは、同館の設立者・細川護立(ほそかわもりたつ、1883~1970)による蒐集品と大名細川家の伝来品からなり、所蔵品を通しておよそ2000年にわたる中国陶磁の歴史をたどることができます。
重要美術品《三彩女子》 唐時代(8世紀) 永青文庫蔵
なかでも護立のコレクションは、日本において鑑賞に重きを置いた「鑑賞陶器」として中国陶磁の需要が高まったとき、集められたものです。
そんな中国陶磁の価値をいち早く見出した護立は、「鑑賞陶器」蒐集の草分けの一人として位置づけられています。
(手前)重要文化財《三彩宝相華文三足盤》 唐時代(7~8世紀) 永青文庫蔵
豊かな色彩と見事な文様が目を惹く、重要文化財《三彩宝相華文三足盤》。本展のチラシにも使用されている華やかな作品です。
当時フランスで活躍していた古美術商C・T・ルー(中国名:盧芹齋)から、昭和2年に護立が購入したという本作。その翌年、東京・麹町の華族会館で開催された唐三彩の展覧会図録の表紙も飾っています。
『唐三彩図譜』 岩波書店 昭和3年(1928) 永青文庫蔵
日本における唐三彩蒐集を代表する作品でもある重要文化財《三彩宝相華文三足盤》。
ぜひ、会場でその鮮やかな色合いと文様を実際に鑑賞してみてください。
中国陶磁には、唐三彩や白磁、青磁、青花(せいか)、五彩(ごさい)など、さまざまな種類があります。
本展では、中国陶磁の「色」をテーマにその多彩な技法を紹介します。
重要美術品《灰陶加彩馬》 北朝時代(6世紀) 永青文庫蔵
今にも動き出しそうな馬の仕草を捉えた重要美術品《灰陶加彩馬》は、明器(墓などにおさめる副葬品)として焼成されたものです。
「灰陶(かいとう)」は、酸素の少ない還元焔(かんげんえん*)で焼き締められており、とても硬く壊れにくいのが特徴。
そのため、明器や日常生活で用いる器として、長く生産され続けました。
*還元焔:窯焚きのとき、空気の流入を制限して不完全燃焼をさせた際に生じる炭素を含んだ炎のこと。
重要美術品《桃花紅合子》 景徳鎮窯 清時代 康熙年間(1662~1722) 永青文庫蔵
みずみずしい果実を思わせる本作は、重要美術品《桃花紅合子》です。
配合の異なる釉(うわぐすり)を重ね掛けして、高度な焼成技術によって実現したという、桃のような複雑な色合いをもつ本作。
角度によって色が少し変わるようにも見えます。会場で鑑賞する際は、観る角度を意識し、色の変化を楽しんでみてください。
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「家に飾ってみたら」と実用的に考えてみる
《白釉鉄絵瓢形水柱》 磁州窯 金時代(12~13世紀) 永青文庫蔵
美術品として鑑賞するから、やきものが遠い存在に感じているのかもしれません。
展示されている作品も元をたどれば、誰かが実際に飾って家で楽しんでいたものです。
「自分の家にこんなものがあったら」なんて想像しながら鑑賞すると、作品との距離も近くなること間違いなし!
本当はどんなふうに使われていたのだろうと、キャプションを読むのも楽しくなりますよ。
また、本展の会場である永青文庫は、細川家の屋敷跡に建つ美術館で、かつては細川侯爵家の家政所(事務所)として使用されました。
永青文庫 外観
特に4階の展示室は畳の上に作品を展示しているので、「家に飾られていたら」というイメージが湧きやすいかもしれません。
重要美術品《三彩獅子》 唐時代(8世紀) 永青文庫蔵
鑑賞の際は、スフマート編集部流の鑑賞方法も試してみてくださいね。
中国陶磁2000年の歴史を「色」をテーマに紐解く本展。
その多彩な技法から生まれる色彩美を、永青文庫で堪能してみてはいかがでしょうか。
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