風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
ルーヴル美術館展 愛を描く/京都市京セラ美術館
京都市京セラ美術館にて開催中の、「ルーヴル美術館展 愛を描く」のレビューをお届けします。
ルーヴル美術館は、ご存じの通り世界一有名な絵画モナ・リザを所蔵する、一日では回り切れないほど巨大なパリの美術館です。
つづりはLOUVRE。スペルの中にL・O・V・Eが入っていることから、「ルーヴルには愛がある。」とキャッチコピーが付いています。
副題にも「愛を描く」とあるように、今回はルーヴル美術館の膨大な収蔵品の中でも、愛がテーマの作品に焦点を当てた企画展です。
一番初めにお伝えしておきたいのは、できるだけ平日に、予約して見に行くのがオススメという事です。
私は土日に行きましたが、ビッグタイトルだけあって大盛況でした。
一応予約無しでも入れましたが、今は特に夏休みシーズンですし、来場前にインターネットで予約しておいた方がスムーズに入館できます。
また、思い切って順番を気にせず、空いているところから鑑賞してみてくださいね。
~展覧会の構成~
プロローグ-愛の発明
Ⅰ.愛の神のもとに-古代神話における欲望を描く
Ⅱ.キリスト教の神のもとに
Ⅲ.人間のもとに-誘惑の時代
Ⅳ.19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇
~おすすめポイント~
1. 「愛」について考えてみる
2. たくさんのアモルに出会う
さて、突然ですが、愛って何でしょう。
恋愛、親子愛、性愛、信仰、尊敬、嫉妬、自己愛、自己犠牲・・・。
人それぞれに愛があって、それゆえ愛にまつわる言葉も無数にあります。
最近だと「推し」や「尊い」も、愛情を表現する言葉ですね。
今、「アイドル」といえば熱狂的なファンのついた芸能人のことを指しますが、元はといえば「宗教的な偶像」を意味します。
その時々で、新しい愛の形や表現が生まれたり、逆に制限されることもあります。
本展覧会は、16~19世紀のヨーロッパで「愛」がどのように捉えられ、扱われてきたかを、テーマごとに作品を分類、比較することで紐解くことができる構成になっています。
せっかくですから、今回の展覧会を通してぜひ、普段考えることのない「愛ってなんだろう」と考える良い機会にするのはいかがでしょうか。
例えば、アリ・シェフェール《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》から、愛し合う二人は何故死ななければならなかったのか?と考えてみたり。
アリ・シェフェール《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》
クロード=マリー・デュビュッフ《アポロンとキュパリッソス》から、同性愛はいつからタブー視されるようになったのか?を調べてみたり。
クロード=マリー・デュビュッフ《アポロンとキュパリッソス》
もしよければ、作品の外にある当時の思想や、今の私たちを取り巻く環境との違いなどに、思いを巡らせる時間にしていただければな、と思います。
そして、もし誰かと一緒に見に行かれるのなら、帰り道にぜひ感想を語り合ってみてくださいね。
普段はなかなか照れくさい、馴染みのない話題でも、展覧会を通すことで身近に考えられる、話せる事がきっとあるはずです。
アモルとは愛の神のことだそうですが、キューピッドという別名のほうが馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
本展覧会は、テーマが愛なだけあって、今回特にアモルが描かれた作品が数多くあります。
ただ、同じアモルでも作者や内容によって、見た目や仕草は十人十色です。
翼の生えた天使=アモルが射た矢がハートに刺さると恋に落ちるという設定から、恋の手助けをするイメージがありますが、アモル自身が恋をする作品もありました。
フランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》
さまざまなアモルの中で、あなたのお気に入りはどれでしょうか?
グッズにもアモルがたくさん起用されており、非常にかわいかったです。
見ごたえのある作品ばかりで、終盤にはエネルギー不足になってしまうかもしれませんが、くすみピンクを基調とした乙女心をくすぐるデザインのポーチやキーホルダー、ハンカチが並んだグッズショップもお見逃しなく!
展覧会全体を通して、保存状態の良さなのか、修復が進んでいるからなのか、作品の発色が大変よいと感じました。
まるで作品が発光しているような印象を受けるほどで、これこそ実物を鑑賞する醍醐味ですね。
画集の写真では捉えきれない微妙な色彩加減を、自分の目で堪能できるこの機会に、ぜひ会場へ足を運んでください。