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クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵/あべのハルカス美術館
「印象派」という言葉の誕生から150周年を迎える2024年。「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が、大阪のあべのハルカス美術館で開催されています。
アメリカ・ウスター美術館は、開館当初から印象派の作品を数多く収集し、1910年にはモネの《睡蓮》を美術館として初めて購入しました。
同館珠玉の印象派コレクションをはじめ、日本では珍しい“アメリカ印象派”の魅力に触れられる貴重な展覧会です。
トマス・コール《アルノ川の眺望、フィレンツェ近郊》 1837年 ウスター美術館所蔵
全5章で構成される本展覧会では、フランスからヨーロッパ、そしてアメリカ各地で展開した印象派の名画が展示されています。
第1章「伝統への挑戦」では、印象派の革新的な美術運動の先駆けとなる動きが紹介されています。
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー《ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所―池畔の釣り人》 1865-70年 ウスター美術館所蔵
急速な近代化が進む19世紀。大西洋の両側では、当時の芸術家たちも新しい主題や技法を探求しはじめていました。
それまで風景画といえば、歴史や神話・聖書の物語や名所旧跡がおもな主題でした。しかし、当時活躍した画家たちは、母国フランスに目を向けて「身の回りの風景」に注目するようになります。
ウィンスロー・ホーマー《冬の海岸》 1892年 ウスター美術館所蔵
「アメリカ的な」表現者として評価された画家の一人であるホーマーは、とくにフランスからの影響を多く受けていました。
動きのある筆づかいが特徴の《冬の海岸》は、彼の印象派的な側面が表れています。
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展示風景、あべのハルカス美術館、2024年
「パリと印象派の画家たち」がテーマの第2章では、フランスのみならず、ヨーロッパ各国やアメリカからやってきた多くの画家たちの名画が展示されています。
アメリカ人画家であるカサットは、印象派の認知度を上げることに貢献しました。
彼女の作品の隣には、ハッサムの《花摘み、フランス式庭園にて》が並びます。非対称の構図や鮮やかな色彩など、ハッサムの独創的な手法が表れた作品です。
カミーユ・ピサロ《ルーアンのラクロワ島》 1883年 ウスター美術館所蔵
フランス系デンマーク人の画家・ピサロは、商業都市だったセーヌ川沿いのルーアンに何度も足を運び、「労働」を主題とした作品を残しています。
《ルーアンのラクロワ島》は、工場の景観や煙突の煙が大気に溶け込むようすが繊細に描かれています。
クロード・モネ《睡蓮》 1908年 ウスター美術館所蔵
「印象派」といえば、クロード・モネ。《睡蓮》が制作された2年後、ウスター美術館はモネを扱う画廊から本作を購入します。
絵画のそばには、《睡蓮》の収蔵をめぐったやり取りが記載された手紙や電報などの貴重な資料も公開されています。
アンデシュ・レオナード・ソーン《オパール》 1891年 ウスター美術館所蔵
第3章では、印象派の「国際的な広がり」について紹介されています。
当時、パリに留学していた多くの画家たちは、現地で学んだ新しい絵画の様式を母国へと持ち帰りました。
世界を旅する彼らを通して印象派の勢力は拡大し、フランスを訪れたことのない画家たちの絵画にもその影響が表れるようになります。
スウェーデンの画家であるソーンが故郷の風景を背景に裸婦を描いた《オパール》は、水面に反射する光や木漏れ日などが多彩な色合いで表現されており、フランス印象派の影響を感じ取ることができます。
ジョン・シンガー・サージェント《キャサリン・チェイス・プラット》 1890年 ウスター美術館所蔵
当時もっとも人気があった肖像画家の一人であるサージェント。豊富な人脈から、社交界のエリートたちの肖像画を数多く描きました。
大胆な筆づかいが印象的な《キャサリン・チェイス・プラット》は、じつは未完成品。即興的なサージェントの制作過程が直感的に伝わってきます。
黒田精輝《草つむ女》 1892年(明治25) 東京富士美術館所蔵
国内の美術館に所蔵される作品のうち、明治から大正期のものも多く展示されています。
洋画家の黒田は、現地で学んだ外光表現を取り入れた風景画を多数制作しました。《草つむ女》は、繊細な色彩で表現された穏やかな陽光が、春の柔らかな雰囲気を醸し出しています。
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展示風景、あべのハルカス美術館、2024年
続く第4章は、本展覧会の見どころのひとつでもある「アメリカ印象派」がテーマです。
1880年代半ばになると、アメリカの画商や収集家の間ではヨーロッパの印象派がブームに。
フランス印象派に忠実に倣う者もいる中、「アメリカらしい主題」である家庭の情景や田園風景などを表現するために、独自のアレンジを加える画家も多く存在しました。
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展示風景、あべのハルカス美術館、2024年
「まだ見ぬ景色を求めて」がテーマの最終章では、印象派作品の多様な変遷をたどります。
フランスのポスト印象派は当時の自然主義を脱却し、アメリカでは「トーナリズム(色調主義)」と呼ばれる芸術スタイルが高く評価されるようになりました。
デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》 1910-16年 ウスター美術館所蔵
1910年、鉄道会社の企画でアリゾナ州北西部のグランド・キャニオンに5名の美術家が招待されました。
その時に描かれたパーシャルの《ハーミット・クリーク・キャニオン》は、さまざまな角度や時間で捉えた陽光の絶妙な印象を、多様な色と陰影で表現しています。
まさに「アメリカらしい」ダイナミックさを感じ取ることができる作品です。
モネやルノワールといった名だたる画家たちの作品だけではなく、日本初公開となる「アメリカ印象派」の魅力にも触れられる本展覧会。
フランスで生まれた印象派の革新性と、海を越えて世界に与えたインパクトの大きさを実感できました。
フォトスポット
また、同じフロアにはフォトスポットや眺めの良い庭園も。
「芸術の秋」のお出かけに、ぜひ足を運んでみてくださいね。
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〆切は2024年11月17日まで。
※当選は発送をもって代えさせていただきます。