風刺画/10分でわかるアート
2023年3月29日
「江戸木版画と浮世絵展」/虎屋 赤坂ギャラリー

虎屋 赤坂ギャラリーにて、江戸木版画と浮世絵をテーマとした企画展が開催中です。
展示されているのは、教科書でもおなじみの浮世絵作品たち。
「復刻作品?レプリカ?」そう思う人いるかもしれませんが、いいえ、違います。

春信も、歌麿も、広重も、これらの浮世絵作品は、現代の江戸木版画の彫師・摺師が江戸時代から伝わる技法で制作したものです。
江戸時代の人びとが、実際に見ていたかもしれない。
通常の美術展では、なかなか味わえない「リアル」な浮世絵を間近で鑑賞できる展示です。
しかも、入場無料&撮影OK!そんな本展の見どころをご紹介します♪
浮世絵の歴史を語る上で、絶対に外せない2人の絵師がいます。
ひとりは、浮世絵の創始者と言われている菱川師宣(ひしかわもろのぶ)。
東京国立博物館が所蔵する名品《見返り美人図》で、広く知られている浮世絵師です。

もうひとりは、本展で取り上げられている鈴木春信です。
春信は、色数が限られていた浮世絵版画に、多色摺り(錦絵)の木版画を実現させた人物です。
「吾妻錦絵(あずまにしきえ)」と名付けられた春信の作品は、大ヒット商品に。以降、浮世絵は黄金期を迎えました。
なぜ今回「とらや」で、浮世絵と江戸木版画の企画展が開催されているのでしょうか。
その謎は、とらやを代表する小倉羊羹(ようかん)『夜の梅』に隠されています。

『夜の梅』の歴史は古く、菓銘(菓子の名前)は、1694年の古文書に見ることができ、羊羹としての記録は、1819年にさかのぼります。

名前から「梅味」を連想する人も多いのだとか。「小倉羊羹」ですので、小豆の味ですよ!
「梅」という言葉が使われているのは、切った断面に見える小豆の粒を夜の闇に白く咲く梅の花に見立てたことに由来します。

春信の作品にも、とらやの『夜の梅』に共通する題材の作品があります。
白い梅が浮かび上がる幻想的な作品。
画面中央には夜の闇に提灯を向けた、優美な女性が描かれています。
現代の江戸木版画の彫師・摺師によってよみがえる当時の技術にも注目です。

足元の足袋(たび)や着物の袖口はあえて着色せず、紙本来の白で表現しています。ふんわりとした布の質感が伝わってくるようです。
この技術は、本当に肉眼で観ていただきたいです。
日本国内のみならず、海外に熱狂的なファンがいる浮世絵。
実は現代まで、その技術が継承されているのはご存じでしょうか。
2007年には「江戸木版画」として国の伝統的工芸品にも指定されています!

本展の主な展示作品は、台東区で現在も江戸木版画を制作する「長尾版画匠」の職人によるものです。
彫師・長尾次朗氏と摺師・長尾雄司氏はともに長尾版画匠の3代目。
元々は摺り専門でしたが、次朗氏が彫師の技術を学び、現在の分業体制になりました。
印刷が機械化され、江戸木版画職人は次々と廃業し、東京にはわずか20~30人ほどしかいないといいます。
受け継ぐ人もそうですが、江戸木版画に使う特別な和紙である越前紙や伊予紙なども徐々に無くなっているといいます。
本展では、版画の制作に使用する道具についてもパネルで紹介しています。


「蒔物菓子(まきものがし)」を知っていますか。
これは、日本舞踊や長唄(ながうた)などの日本の伝統芸能のおさらい会(発表会)で、出演者が関係者に配るおみやげの菓子です。
この菓子箱の掛紙も、木版画の多色摺物でした。
手間がかかっているように思いますが、カラー印刷が高価だった時代には、木版画の方が安く注文できました。

和菓子屋では、この蒔物菓子のために「おさらい集」という掛紙の見本帳を用意していました。
おさらい集には、演目にあわせたデザインが100種類以上掲載されています。

写真下は、舞踊「藤娘」の掛紙。映画「国宝」にも登場した演目です。
その上の掛紙は、なんの演目かわかりますか?
橋の上で少年と大男が戦う話といえば・・・。
答えは、会場でご確認ください♪
お気に入りの作品を見つけたら、人気投票に参加してみましょう!
お手持ちのスマートフォンで、会場内にあるパネルのQRコードを読み取ると投票できます。

※順位は撮影当時のもの(2026年6月11日撮影)
2階の売場では、季節の羊羹を紹介するミニ展示も開催中です。

季節ごとにこれほど多くの種類の羊羹を出していたんですね。
季節に合わせたデザインの箱にも注目です!
休日は赤坂見附にあるとらや 赤坂店で、ゆったりと和菓子を楽しんでみては?
