塩田千春の作品から他者との「つながり」を考える。圧巻のインスタレーションに注目
2024年10月3日
仙厓ワールド ―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画―/永青文庫
江戸時代から戦後にかけて目白台にあった広大な細川家の屋敷跡にある永青文庫は、細川家に伝来する歴史資料や美術品などの文化財を管理保存・研究し、一般公開する施設です。
永青文庫の設立者・細川護立(もりたつ)が集めた数ある美術品のなかで、質・量ともに充実しているのが、仙厓義梵(せんがいぎぼん/1750-1837)などが描いた禅宗美術コレクションです。
展示風景 ※写真は前期展示のもの
2016年に開催された秋冬季展「仙厓ワールドー来て見て笑って!―仙厓さんのゆるカワ絵画―」の第2弾となる本展では、選りすぐりの仙厓作品に加えて、仙厓の兄弟子にあたる誠拙周樗(せいせつしゅうちょ/1745-1820)など、周辺の禅僧による書画を合わせて展示します。
これまで取り上げられる機会のなかった、永青文庫の知られざる禅画コレクションの一端を紹介する展覧会です。
※展覧会の詳細はこちら
仙厓が描いたユーモアあふれる禅画は、出光興産の創業者である出光佐三や、世界的な禅学者である鈴木大拙など、多くの著名人を魅了しました。そして、彼らに負けず劣らず仙厓に魅了されたのが、細川家第16代の細川護立でした。
細川護立の禅画コレクションといえば、300点にものぼる白隠慧鶴(はくいんえかく/1685-1768)の作品が有名ですが、晩年は白隠よりも仙厓の作品を身近に置いて愛でていたのだそう。護立が収集した仙厓の作品数は100点を越え、仙厓の作品を多く持つ出光美術館や福岡市美術館などに次ぐ所蔵数です。
展示風景 ※写真は前期展示のもの
永青文庫が所蔵する仙厓コレクションは、仙厓が本格的に禅画を描き始めた50歳代から、最晩年の80歳代後半までを網羅しているとのこと。本展で展示されている仙厓コレクションを通観するだけで、仙厓の画風の移り変わりを読み取ることができますよ。
(中央)仙厓義梵《龍虎図》江戸時代後期(19世紀) 永青文庫蔵 前期展示
巧みに対比された渦巻く雲の間から現れる躍動感あふれる龍と、竹の根元にちょこんと座っている静かな虎の姿に注目。龍虎図の多くは、虎が龍を迎え撃つように向き合って描かれていますが、本作の虎は穏やかな表情を見せています。
本作は、画中に引手跡があることから当初は襖絵として描かれていたことが分かっています。
(左から)誠拙周樗《牛図》江戸時代後期(18世紀末~19世紀)前期展示/誠拙周樗《達磨図》文政元年(1818)冬 前期展示/誠拙周樗 賛《誠拙周樗像》文化3年(1806)通期展示 すべて、永青文庫蔵
禅画の画題の中で、もっともポピュラーな達磨図(だるまず)。達磨といえば「だるまさんが転んだ」などの遊びのほか、張り子の赤い達磨人形でもおなじみですね。達磨は禅宗の初祖とされ、6世紀初めにインドから中国へ渡って禅を教え広めた人物として知られています。
その達磨図を多く手がけたのが白隠です。そのため白隠の達磨図は、手本とされることもあったのだそう。仙厓の兄弟子である誠拙周樗の《達磨図》も白隠の作品を手本として描かれました。
本展では、仙厓周辺の禅僧たちが描いた作品も展示されています。永青文庫の禅画コレクションを堪能できるチャンスです♪お見逃しなく。
仙厓たち禅僧が当時の人びとに、やさしく説いた禅の世界をたっぷりと楽しめる本展。前後期で大幅な展示替えがあります。詳しくは本展の出品リストをご確認ください。
※前・後期で大幅な展示替あり
前期:5月21日(土)~6月19日(日)
後期:6月22日(水)~7月18日(月・祝)
本展のチケットを5組10名様にプレゼント!
〆切は2022年6月12日まで。
※当選は発送をもって代えさせていただきます。