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2024年11月21日
初春を祝う―七福うさぎがやってくる!/静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)
こんにちは!
趣味で気の向くままに美術館巡りを楽しんでいるかおりです。
今回からスフマートの読者レビュアーとして記事を書かせていただくことになりました。
これからどうぞよろしくお願いします。
さて、2023年も半ばを過ぎ、美術館もさまざまな展覧会が目白押しとなっています。
そんななか、新年初の美術展はどこに行こうかと迷った末、静嘉堂文庫美術館で開催中の美術展「初春を祝う―七福うさぎがやってくる!」へうかがってきました。
日比谷通りをてくてく歩いていくと入り口が!
静嘉堂文庫美術館は昨年10月に東京・丸の内の明治生命館に移転したばかり。移転後初の新年を迎えることになります。
今回の展覧会も、タイトルに「静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展」とうたわれており、いろんな意味でおめでたい展覧会です。
さっそく雰囲気のある建物に入っていくと、中央にひとつ部屋があります。
そこから各ギャラリーへ行く、という流れになっています。
歴史ある重厚さとモダンさが合わさったホワイエ
まず登場するのが、近代日本画壇の巨匠、横山大観の《日之出》です。まさに新春にぴったりの絵!
横山大観《日之出》
お正月といえば初日の出。
みなさんのなかにも、元旦に朝日を浴びてお正月を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
滝和亭《松に鵲・梅竹に鳩図屏風》
さらに続く、松、梅、竹の描かれた金屏風で華やかな気持ちが高まります。
そんなお正月の晴れやかで清々しい気分を感じたら、さっそく今回の主役の登場です!
五世大木平藏《木彫彩色御所人形 のうち 宝船曳》
か、かわいい!
華やか、賑やか、おめでたい!
どこからか、ドンドコ、ピュロロ〜と、笛や太鼓の音も聞こえてきそうです。
楽しそうなお餅つきの様子
鯛車を引く行列
輿を引く人びと
献上品もお忘れなく
しかもみんなうさぎの面を頭にちょこんとのせてあってかわいい!
表情もみんなたのしそうですよね。
あわせて58体あるこれらの木彫りの御所人形たちは、卯年生まれの岩﨑小彌太(三菱第4代社長、1879-1945)の還暦を祝って孝子夫人が贈ったものだそうです。
夫婦仲のよさや、贈り物チョイスに夫人の趣味や遊び心が垣間見える気がします。
もしこれらの人形が私の手元にあったら、いろいろストーリーを想像しながら、自分なりに並びを変えて飾ってみたい!という気持ちになりました。
この気持ちにはなんだか覚えがある…
あ! シルバニアファミリー!
奇しくもうさぎつながり。笑
うさぎグッズはまだまだ続きます。
絵画に小物、なんでもござれです。
「かわいい」の代表のようなうさぎもりだくさんな展示室は、もう隠し切れないかわいさにあふれているのです。
こちらは中国の画家の作品。
李培雨《兎図》(左)と《双兎図》(右)
こちらの3作品もすてき。
うさぎのかわいさや梅の花の華やかさ、人びとがなごやかに語り合う姿に目を惹かれます。
右から、周綸《月下兎図》、沈南蘋《梅花双兎図》、李士達《歳朝題詩図》
会場には、同じく動物を描かせると右に出るものはいない、卯年生まれの大人気の日本画家、堂本印象の作品もあるので、ぜひ実物を見てみてくださいね。
小物もかわいいのです!
あぁ床の間に飾りたい・・・!(うちには床の間はありませんが。笑)
左から、漳州窯《呉州赤絵兎文香合》、《兎忍草蒔絵香合》、惺入(樂家13代)》、《樂兎香合》、《青磁鶴香合》
他にもお正月にぴったりなお道具たち。
こんな立派な盃でお屠蘇を飲んでみたい!
うるしの盃で飲むお屠蘇はいいですよね〜!特別感があります。
《猩々蒔絵三つ組盃》
こんなお重におせちなどつめて、お外ごはんなんていいかもですね!(ちょっと寒いですが。笑)
春先にお花見もよさそうですね!
最後は七福神と初夢、というテーマです。
七福神のモチーフを配した錦絵はあざやかで壮観!
そして酒井抱一の絵手鑑のうち「富士山」という富士山と太陽を配した絵が登場。
そこで最初に見た日の出の絵を思い出し、またもう1周したい気持ちになったのでした。
(そしてもう1周しました。笑)
もちろん、最後にドドンと静嘉堂文庫美術館の目玉の収蔵作品である「曜変天目」も見れますよ。
不思議な目を奪われる深い青。
ぜひ実物をご覧になって、引き込まれてくださいね。
そんなわけで、今回の静嘉堂文庫美術館の展覧会「初春を祝う 七福うさぎがやってくる!!」は、とってもかわいく華やかでおめでたい展覧会でした。
日本や中国の作品は、自分の日常の文化に近過ぎて、ともすれば「ちょっと地味」と思ってしまう人も多いのかなと思います。
そんな人に、ぜひこの展覧会でお正月のお祝い気分を味わい、美術作品のかわいさ、華やかさを堪能してもらえたらなと思います。
建物自体もとても雰囲気があって素敵なので、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
それでは愉しいアートライフを♪