PROMOTION
クロード・モネの世界にひたる。日本初公開作品を含む〈睡蓮〉などを堪能【国立西洋美術館】
2024年11月1日
現代日本画「WABI/SABI」展/郷さくら美術館
奥深い美しさや静寂、儚さなど、悟りの概念に近い“わびさび”。
そんな日本独特の美意識をテーマにした展覧会が、郷さくら美術館にて開催中です。
展示風景
本展では、わびさびという言葉にふさわしい作品をセレクトし、全部で26点紹介。
同時開催中の「桜百景展 vol.25」とあわせて楽しむことができます。
※展覧会情報はこちら
わびさびは、禅の影響で生まれた日本独特の美意識ですが、本来「わび」「さび」は個々の意味を持っています。
日本庭園や金継ぎ、俳句など幅広いジャンルで「日本の美」や「日本文化の美」を表現する言葉のひとつとして、二つの言葉を組み合わせた「わびさび」という言葉が用いられています。
展示室を入るとまず現れるのは、佐藤 晨(さとう しん)の《冬の月》です。
佐藤 晨《冬の月》2007年
こちらはもともと銀箔が使われた作品でしたが、時間とともに銀箔が空気中の成分によって黒ずみ、完成時より暗い印象の作品となっています。
画材の性質上、経年劣化が起こりやすい繊細な日本画。きれいに修復するのではなく、徐々に朽ちていくありのままの状態を、年月を重ねてきたしるしとして考える世界観は、わびさびと親和性があります。
ほかにも、茶室やお寺、陰翳礼讃(いんえいらいさん)がテーマの作品も展示。黒い壁の展示室によく映える作品が並びます。
展示風景
陰翳礼讃とは、小説家・谷崎潤一郎の随筆で語られる「日本の芸術的な感性」のこと。
可能な限り空間を明るくしようとする西洋文化に対し、日本ではむしろ陰影を利用し、その中に美を見出してきました。
障子から入ってくる柔らかい光や、薄暗い空間でも存在をしっかりと感じる仏像など。この美学は、茶道や日本古来の建築であるお寺にも大きく関係しています。
本展では出品作品26点のうち、4点が新作として初公開されます。
これら4点はすべて、日本画家・中川 脩(なかがわ おさむ)によるものです。
展示風景より右、中川 脩《金閣寺雪景》2021年
金閣寺の雪景色の美しさに感動したことから生まれた《金閣寺雪景》は、冬景色を背景にきらびやかな金閣寺が描かれています。冬のしんしんとした寒さが伝わってきますよ。
中川 脩作品を観に、来館される方も多いのだとか。同時開催の「桜百景 vol.25」でも1点新作がお披露目されていますので、こちらもぜひお見逃しなく。
本展でスフマート編集部が気になった作品は、浄土教の来迎図という仏画をモチーフにした、竹内浩一の《戯画猿来迎》です。
竹内浩一《戯画猿来迎》2003年
来迎図とは、煩悩のある生物を雲にのせて、浄土へ連れて行ってくれるというもの。本作では、猿が使者となって、雲は蓮になって描かれています。
禅を学んだ竹内浩一ならではのユニークな作品です。猿のふわふわな毛質や、豊かな色合いにも注目してみてください。
2階で同時開催の「桜百景 vol.25」では、恒例の桜の絵画を展示。全国の桜の名所・名木を描いた作品が並びます。
展示風景
秋も深まりましたが、目黒川のほとりの美術館で、季節はずれのお花見をぜひ楽しんでください。特に今回のセレクトはわびさびのシンプルな作品と対になるように、華やかなものばかりです。
展示風景より右、粂原 愛《つぎて咲くべく》 2018年
《つぎて咲くべく》は樹齢2000年の山高神代桜をモチーフとして描いた作品。本作は新進気鋭の作家・粂原 愛によるもので、日本画でありながらどこか写真をコラージュしたかのような、新しさも感じられます。
何かと制約が多く、疲れがちな現代。わびさびを感じさせる作品に囲まれて、心を落ち着けてみてはいかがでしょうか。