フランス近代絵画の祝宴/岐阜県美術館

絵は“出来事”になる。岐阜県美術館「フランス近代絵画の祝宴」をレポート

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2026年10月8日

絵は“出来事”になる。岐阜県美術館「フランス近代絵画の祝宴」をレポート

展示風景より、ピエール=オーギュスト・ルノワール《泉のそばの少女》1887年 笠間日動美術館蔵

名画をただ見るだけでなく、その絵が生まれた「出来事」まで想像してみる。

岐阜県美術館で、モネやゴッホ、マティス、シャガール、藤田嗣治、ピカソらの作品を紹介する「フランス近代絵画の祝宴」が開催中です。

開幕にあわせ、2032年の開館50周年に向けた新プロジェクト「ギフトルドン」も発表されました。

本記事では、展示室の見どころと、日比野克彦館長が語ったこれからの美術館像を紹介します!

モネ、ゴッホ、ピカソらの名画が岐阜へ

会場に並ぶ約227点は、モネ、ルノワール、ゴッホ、藤田嗣治、ピカソといった誰もが一度は名前を聞いたことのある巨匠たちの作品です。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

彼らは19世紀末から20世紀にかけてパリに集った芸術家たちで、互いに刺激を受け、新しい表現を生み出しました。

本展の魅力は有名作家を一度に見られることだけではありません。

展示を通して、芸術家たちが何を感じ、何を表そうとしていたのかを想像できる構成となっています。

見どころ①
巨匠たちは何を見て、何を描いたのか?

同じ時代を生きていても、画家によって目の前の世界の捉え方はさまざまです。

例えば、モネの《ロンドン、チャリング・クロス橋》では、橋そのものを細かく描くというより、霧の中に溶けていく光や空気まで表そうとしているように感じられます。


展示風景より、左:フィンセント・ファン・ゴッホ《サン=レミの道》1989-90年笠間日動美術館
右:クロード・モネ《ロンドン、チャリング・クロス橋》1900年頃_笠間日動美術館蔵

一方、ゴッホ《サン=レミの道》に近づいてみると、力強い筆の動きや、絵具を重ねた跡が見えてきます。

また、マティス《窓辺にすわる女》からは、形を忠実に写すだけではなく、色や構図によって自分が感じた世界を表そうとする姿勢が伝わってきました。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

実物を前にすると、画像や画集では分からなかった絵具の厚みや筆づかいにも気づかされます。

まずは少し離れて作品全体を眺め、次に近づいて画面の細部を見てみるのがおすすめです。

画家が何を見て、何に心を動かされ、どのように画面へ残そうとしたのか?

巨匠たちの異なる視点を見比べられることが、本展の大きな見どころです。

見どころ②
作品のそばにある「画家の言葉」

会場では、作品とともに画家たちが残した言葉も紹介されています。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

完成した絵だけを見ていると遠い存在に感じられる巨匠も、制作の際の心情を知ると身近に感じられます。

日比野克彦館長は、本展を読み解くキーワードとして「絵は出来事である」と語ります。

絵は、画家がある風景を見たり、誰かと出会ったり、喜びや悲しみを感じたりしたことで心が動き、その出来事が色や線となって画面に残されています。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

そして、絵を見る人にも新たな出来事が起こります。

作品の前で足が止まる、ある色に引きつけられる、画家の言葉を読んで見え方が変わる。さらに「自分でも描いてみたい」「もう一度見たい」と思うことも、作品から生まれた出来事のひとつです。

本展は名画を知識として学ぶだけでなく、作品と向き合った自分の中に何が起こるのかを確かめる展覧会でもあります。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

「絵は出来事である」という考えは、作品を見るだけでなく、自分でも手を動かしてみる取り組みにもつながっています。

同時開催中の「えをみて えをかく 展覧会」など、鑑賞者が新たな行動を起こす参加型の企画も展開しています。

名画との出会いは、人生を変えることがある

記者発表では、江崎禎英知事が自身の人生を変えた作品について語りました。

本展の出品作ではありませんが、高校生の頃に東京でミレー《晩鐘》を見た体験が、その後の進路を考え直す一つのきっかけになったといいます。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

もともとは物理学者を目指していたという江崎知事。もしあの日《晩鐘》を見ていなければ、今とは違う人生を歩んでいたかもしれないと振り返りました。

現在もパリを訪れると、オルセー美術館で《晩鐘》を見ながら、「お前のせいだぞ」と作品に語りかけるそうです。

一枚の絵との出会いが、その後の進路や人生の選択に影響することがある。このエピソードは、日比野館長が語る「絵は出来事である」という言葉にもつながっています。

「ギフトルドン」とは?
開館50周年へ向けた新プロジェクト

2032年、岐阜県美術館は開館50周年を迎えます。これを記念して、「ギフトルドン」プロジェクトが発表されました。

「ギフトルドン」は、ルドンの作品だけを紹介する展覧会名ではありません。

岐阜県美術館のコレクションと活動を起点に、アートの力を教育や福祉、産業などへつなげていく長期的なプロジェクトです。

美術館を一部の愛好家だけの場所ではなく、誰かが安心して過ごし、新しい行動を始められる場所にする。新世代美術館を目指すものです。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

「フランス近代絵画の祝宴」は、その最初の企画展として位置づけられています。

記者発表で日比野館長は、生成AIを使えば短時間で画像を生み出せる時代だからこそ、自分の身体を動かし、手で描く過程が重要になると語りました。

実物の作品を前にすると、人が迷いながら引いた線や、絵具を重ねた跡が見えてきます。

画面越しでは分からない質感を確かめ、自分の心がどのように動くのかを感じることも、美術館で絵を見る意味の一つです。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

Q&A

Q.「フランス近代絵画の祝宴」はどんな展覧会ですか?

モネやゴッホ、マティス、シャガール、藤田嗣治、ピカソなど、フランス近代絵画を代表する芸術家の作品を紹介する展覧会です。

作品とともに画家の言葉にも触れ、絵が生まれた背景を想像できます。

Q.「ギフトルドン」とは何ですか?

岐阜県美術館が2032年の開館50周年へ向けて始動した新プロジェクトです。

ルドンコレクションをはじめとする美術館の資源を、教育や福祉、産業、人材育成などへつなげていくことを目指します。

Q.学生料金や無料対象はありますか?

一般1,300円、大学生1,100円で、高校生以下は無料です。最新の開館情報や各種割引は公式サイトをご確認ください。

まとめ|あなたにとっての「出来事」になる一枚を

展示されているすべての作品を理解しようとしなくても、一枚だけ、なぜか気になる絵が見つかれば、それも大切な鑑賞体験です。


「フランス近代絵画の祝宴」展示風景

画家に起きた出来事から生まれた絵が、時代や場所を越えて、今度は見る人の心を動かす。「フランス近代絵画の祝宴」で、あなたにとっての新しい出来事になる一枚を探してみてはいかがでしょうか。

今後の「ギフトルドン」で何が起こるのかも注目ですね!

展覧会概要

フランス近代絵画の祝宴

会期:2026年9月26日(土)~12月13日(日)

開館時間 10:00〜18:00
※ 夜間開館:10月16日(金)、11月20日(金)は20:00まで
※ 展示室の入場は、閉館の30分前まで

休館日:毎週月曜日(祝・休日の場合は翌平日)

会場:岐阜県美術館

アクセス:JR「西岐阜駅」から徒歩約15分。
JR「岐阜駅」6番乗り場、または名鉄「岐阜駅」1番乗り場から岐阜バス「鏡島市橋線」に乗車し、「県美術館」下車。

公式サイト:https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/

Exhibition Information

展覧会名
フランス近代絵画の祝宴
開催期間
2026年9月26日~12月13日
会場
岐阜県美術館
公式サイト
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/