「柳原良平」流のごきげんな船旅を美術館で堪能【茅ヶ崎市美術館】

「開高天国」原画　2005年　大阪市立中央図書館

とんがった鼻が特徴的な優しい笑みを浮かべたこちらのバーテンダー。
きっと誰もが一度は見たことあるキャラクターだと思います。

「アンクルトリス」と呼び親しまれるこちらのキャラクターは、作家・柳原良平（1931-2015）によって生み出されました。

（左）キャンディーボックス　制作年不明（中央）アンクルトリス楊枝入れ　1950年代後半～60年代前半（右）アンクルトリス楊枝入れ　制作年不明　いずれも、大阪市立中央図書館

イラストレーション、エッセイ、漫画や絵本、さらには船の専門誌など、さまざまな分野で活躍した柳原良平の画業を紹介する展覧会が、茅ヶ崎市美術館で開催中です。

「柳原良平　ごきげんな船旅」

柳原良平（1931-2015）は、寿屋（現・サントリーHD）宣伝部でアンクルトリスをはじめとする数々の広告イラストレーションを…

茅ヶ崎市美術館 | 神奈川県

2024年9月3日~11月10日

展覧会名は「柳原良平　ごきげんな船旅」。
その名にふさわしく、展示室内は柳原が描いた船の作品がずらりと並びます。

（左）豪華客船さくら丸《ロマンの旅》1971年　横浜みなと博物館

柳原流の「船旅」が楽しめる見どころを、本展を担当した小澤由季学芸員にお聞きしました。

柳原良平の画業を紹介

柳原良平は、寿屋（現・サントリーHD）宣伝部で、アンクルトリスをはじめとする数々の広告イラストレーションを担当しました。

（左）トリスウヰスキー　1956年　大阪市立中央図書館

船好きということもあり、もしかして茅ヶ崎市出身・・・？と思いきや、柳原は東京都出身。

茅ヶ崎市ゆかりの作家というわけではありませんが、実は柳原と茅ヶ崎市は切っても切り離せない関係があります。

茅ヶ崎市は、柳原を寿屋宣伝部に誘った山崎隆夫や、アンクルトリスのキャッチコピーを担当した作家・開高健が住んでいた土地なのです。

展示風景

本展第1章では、柳原の人生を変えた人びとの作品と、柳原の初期作品を展示。

寿屋時代の上司・山崎×部下・柳原の作品が、同じ空間で展示されているのも見どころのひとつです。

柳原良平×ハワイ
ごきげんな船旅へレッツゴー♪

（左）トリスを飲んでHawaiiへ行こう！（ポスター）　1961年　コピー：山口瞳（右）トリスを飲んでHawaiiへ行こう！（新聞広告）1961年9月11日　コピー：山口瞳　いずれも、大阪市立中央図書館

「トリスを飲んでHawaiiへ行こう！」。こちらは、1991年に寿屋が実施した販促促進キャンペーンのポスターです。

現代の日本人にとって「ハワイ」は、とても身近な観光地ですよね。

しかし、1961年当時はハワイは遠い国でした。
というのも、当時はまだ海外を自由に行き来することができなかったのです。

海外渡航が自由化したのは、1964年。
実は2024年は、海外旅行自由化60周年とめでたい年なんですよ♪

（手前）ホノルル港のアロハ・タワー　1972年　横浜みなと博物館

展示では、柳原が実際にハワイへ行ったときのエッセイで使用された挿絵も紹介。

60年代の船旅のようすも、柳原のかわいらしいイラストで紹介されています。

戦艦・客船・働く船！
「船」が大好きな柳原良平

柳原は無類の船好きとして知られていました。
むしろ船が好きな人からは、アンクルトリスよりも「船の画家」としての印象の方が強いのだとか。

セブンシーズ号9月2日就航　1975年　横浜みなと博物館

本展では、柳原が描いたさまざまな船の作品を展示。
本展で展示されているこれらの作品は、実は氷山の一角にすぎないとのこと！

みなさんもお気に入りの船の作品を見つけてみては？
スフマート編集部は、こちらの作品がお気に入り♪

（左）浅間丸　1977年　横浜みなと博物館（右）大阪商船南米航路ぶら志る丸　1970年　大阪市立中央図書館

《大阪商船南米航路ぶら志る丸》です。

一見するとリアルな船の作品。しかし、アンクルトリスのかわいらしい雰囲気も隠れているのです。
こちらは、ぜひ会場でじっくりと鑑賞してみてください。
ヒントは左下のヨットと船の甲板ですよ！

「アンクルトリス」をはじめとする、数々の広告イラストレーションを担当した柳原良平の画業を紹介する展覧会「柳原良平　ごきげんな船旅」。

受付前では、本展オリジナルの横浜銘菓「横濱ハーバー」も販売しています。

ミルクハーバーモンブラン10個入（本展ミニブック付）　2,300円（税込）　※数量200個限定販売

展覧会のおみやげにピッタリなグッズです。「柳原良平　ごきげんな船旅」の会期中しか買えないので、お見逃しなく。